2024年6月12~13日の2日間にわたって、Facebook Japanが主催する広告主向けイベント「House of Instagram」が開催されました。
本イベントでは、Instagramをビジネスに活かせるヒントや、成果につながる運用のコツが多く紹介されています。この記事では、Instagramの最新情報や、明日から活用できるクリエイティブのポイントなどを中心にまとめました。
2024年のHouse of Instagram
「House of Instagram」とは、Facebook Japanが年に1回開催する広告主・マーケター向けの大型イベントです。Instagramがビジネスにどのように活かせるのか、最新の成功事例やプロダクト活用方法を、ゲストスピーカーによる講演を交えて紹介しています。
オンラインとオフラインのハイブリッドで開催された2024年は、AIを使ってMetaが開発・提供している最新テクノロジーの話題も盛りだくさんでした。
この記事では、数あるセッションの中から、日頃のInstagramの運用に役立つ情報やクリエイティブにまつわる情報をまとめました。
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Facebook Japanが公開している各セッションの動画は以下のURLよりご視聴いただけます。
https://business.instagram.com/house-of-instagram?locale=ja_JP
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Instagramの最新動向
イベントのオープニングセッションでは、Facebook Japanの代表取締役である味澤氏が、Instagramの最新動向について紹介しました。
国内ユーザー数は推定6,600万人以上
Instagramの日本のユーザー数について、具体的な数字は公開されていません。しかし、実際の数字に合わせたスケールで描画したというグラフを見ると、2024年は、2019年のユーザー数である3,300万人の倍以上に伸長していることがわかります。
ユーザーによる利用傾向
Instagram上でユーザーがよく利用するコンテンツは、ハッシュタグ、ストーリーズ、ダイレクトメッセージ。これらを使ってコンテンツをシェアし、ユーザー同士でつながっていくという使われ方が多いようです。
特記すべきは、日本のZ世代の生活者のうち62%が、商品やブランド、そのほか好きなものを探す際に、最も使うプラットフォームとしてInstagramを挙げていること。Z世代には、Instagramが発見のプラットフォームとして浸透してきているとのことでした。
また、短尺動画のリールも利用が拡大しており、Instagramの全利用時間のうち50%がリールの視聴に充てられていることもわかっています。
Threadsのユーザー拡大
Meta社は、昨年7月にテキストベースのSNSである「Threads(スレッズ)」を新たにローンチしました。Threadsは、すでに世界100カ国以上で利用が拡大し、1.5億人の月間アクティブユーザーを獲得しています。
その中で、日本は特に利用者の拡大スピードが速く、継続率やエンゲージメント率も高いことから、Threadsの最も重要なマーケットの一つだと考えられています。そのためThreadsの開発は、日本のオフィスにもエンジニアリングチームを置き、日本のユーザーのインサイトも調査した上で進められています。
日本のユーザー数は公開されていませんが、ニールセンの調査によると、1,000万人を超えて急速に増加しているとのことです。
参考記事:Threads(スレッズ)とは?基本の使い方と企業活用事例9選
Instagramをマーケティングにどのように活用するか
Instagramのコンテンツは、年々進化し続けています。Instagramを活用してビジネスグロースを目指すには、表現方法が多様化する中でどのようなものがユーザーに受け入れられるのかということや、企業だけでなくユーザーやクリエイターも一緒にブランドの価値をつくっていくことを理解する必要がある、と味澤氏は語ります。
まずはInstagramで、ブランドに関するインサイトや会話を理解する。そして、リールのように最も利用されている表現方法を理解し、活用していく。また、自社のブランドに関連するクリエイターを理解し、協業していく。それによって、ユーザーとブランドの関係が強化され、ブランドが自分ごと化されていくのです。
進むAI活用
Instagramでは、 AI活用も進化しています。
たとえば、AIによるコンテンツのレコメンデーションの精度は大きく向上し、私たちが日々目にするコンテンツの50%以上はAIのレコメンデーションによるものになっています。
AI時代のクリエイティブ
Instagram上では、クリエイティブの良し悪しが広告パフォーマンスに大きく影響します。
Instagramで広告効果を向上するには、多様なフォーマットと多様な訴求内容でクリエイティブを制作することが重要です。それをアルゴリズムによって最も適した視聴者に見てもらうことで、パフォーマンスが32%、リーチが9%増加するというデータも出ています。
多様なフォーマットを用いる
Instagramでは、静止画と動画の両方を配信することができます。キャンペーンの中で静止画と動画を併用すると、静止画のみの場合に比べて、CPA(顧客獲得単価)が17%改善すると言われています。
また、Instagramには、フィード、ストーリーズ、リールなど、複数の広告配信面があります。より多くの配信面を活用することで、広告パフォーマンスは73%改善します。
複数の配信面を使用する場合のポイントは、クリエイティブのフォーマットをそれぞれの配信面に合わせて最適化すること。フィードであれば1:1または4:5、ストーリーズやリールであれば9:16の縦型に画像や動画のフォーマットを合わせるのがベストです。フォーマットやクリエイティブの最適化は、Meta社が提供しているツール「Advantage+プレイスメント」や「Advantage+クリエイティブ」で、自動的に行うこともできます。
参考記事:SNS投稿に最適な画像サイズ一覧!X(Twitter)・Instagram・TikTokなど
多様なメッセージを用いる
同じ商品でも、様々な角度から訴求することが重要です。たとえば下着なら、機能性や快適性、デザイン、サイズなど、様々な訴求ポイントがあります。一方で消費者側も、どのポイントに魅力を感じて下着を購入しようと思うかは様々です。そこで、訴求メッセージの異なるクリエイティブを複数制作し、アルゴリズムに最適な配信先を選んでもらうことで、高い成果につなげることができます。
この手法を利用したところ、89%の確率で新しい層のユーザーを獲得できたというデータが得られています。
多様な訴求メッセージを用いる場合のポイントは、メッセージごとにトンマナや伝え方にも変化をつけること。同じブランドや同じ製品であれば、同じような印象のクリエイティブになりがちですが、はっきりと変化をつけ、クリエイティブを多様化することが大切です。
縦長動画作成のポイント
ストーリーズやリールにおいて縦長動画を作成する場合には、最低限守るべきポイントが3つあります。
- 音声ありの動画にすること
- 画角は9:16の縦型にすること
- セーフゾーン(下の画像:黒の網掛け部分)にはリールのUIが重なる可能性があるため、重要な情報を配置しないこと
これらのポイントは、全てパフォーマンスに大きく影響することが統計的にわかっています。
ミドルファネルで成果を出すInstagramの使い方
Instagramは、数年前から自身を「好きと欲しいをつなぐ 自分ごと化プラットフォーム」と定義しています。自分ごと化、ファン化を促すInstagramは、何となく好き、何となく知っているというアッパーファネルと、実際にそれを購入しようというローワーファネルの間のミドルファネルを埋めることに役立ちます。
実際に、Instagramの活用によってミドルファネル、さらにはフルファネルに効果のあった手法について紹介します。
インサイトを計測し、広告に活かす
日本のプラットフォームユーザーの4人に1人が、Instagramでブランドに関する投稿を行っているというデータが出ています。
投稿内容は、単にそのブランドを使って良かったということだけでなく、購入した背景やどのように使っているかというユースケース、もっと効果的に使うためのTipsなど、多岐にわたります。また、ブランドに関する会話の量が多ければ多いほど、そのユーザーにとってそのブランドが自分に合っている、好きなブランドだと捉えられている傾向があるようです。
さらに、Instagramのユーザーの約半数が、何かの購入を検討するときにUGC(ユーザー投稿)を参考にしようと考えていることもわかっています。
つまりブランドに関する会話は、購入はもちろん、ブランドの価値を形成する大事な要素の一つであるとも言えます。その会話をInstagramが提供する「会話量リフトテスト」で計測することで、インサイトの抽出や次のコミュニケーションに役立てることができます。会話リフトは、定期的に計測すると、何によってどの程度会話量が増えたかという検証ができます。
ブランドに関する会話量を増やす
Instagram上での会話量を増やすために有効なことの一つは、クリエイターの投稿をパートナーシップ広告(自社の広告として配信できる機能)として掲出し、一緒にブランドの通常広告も配信すること。ユーザーがクリエイターの広告に求めているのは、何をどういうシーンでどのように使えばいいのかといったことなので、単にクリエイターを起用するのではなく、ユーザーの期待に沿った内容の投稿にすることが重要です。
実際に資生堂の商品を訴求する広告の事例では、そのブランドのメッセージを伝える通常広告に加えて、商品のおすすめ利用シーンを紹介しているクリエイター投稿をパートナーシップ広告に設定。パートナーシップ広告を全体の36%の割合で配信したところ、ブランド好意度リフトは日本の業界平均の11.1倍、その商品に関する会話量リフトは、広告を見た人が見ていない人に比べて3.8倍になりました。
ユーザーファーストの視点でクリエイティブをつくる
クリエイティブを考えるときは、ブランドの伝えたいことを一方的に発信するのではなく、ユーザーのモチベーションやマインドセットを考慮した上で、ユーザーにとって自分ごと化しやすい内容にすることが重要です。
ユーザーが自分ごと化しやすいクリエイティブをつくるポイントは、次の3点です。
- シンプルで簡単に理解ができる
- 面白く、興味を惹き、見続けてしまう(ついスクロールの手を止めてしまう)
- 自分にとって関連性が高く、共感できる
また、配信面によっても、ユーザーの視聴モチベーションは異なります。クリエイティブの作成においても、配信面によるモチベーションの違いを意識することが望ましいでしょう。
たとえば、リールは、退屈しのぎに何か新しい発見をしたいと思って見始めることが多いため、関心を持ってもらうためにはユーザーが見て面白い、わかりやすいと感じるコンテンツが効果的です。
ストーリーズは、その場で自然発生するモーメントをシェアする、24時間経ったら消えるといったマインドセットでユーザーに活用される場合が多く、リールに比べて編集にあまり手をかけない反面、質問スタンプなど、視聴者とエンゲージできる機能がよく使われています。ブランドもこうした機能を活用することで、ユーザーとつながることができます。
フィードは、好きなもの、欲しいものに対して、最短のアクションを取れるようになっています。
リール動画の構成のポイント
Instagramの利用時間の半分以上が費やされているリールで高い効果を得るためには、動画のストーリー構成において次のポイントを意識するといいでしょう。
まず、動画の冒頭では、視聴し続けてもらうためのフックが非常に重要になります。動画の中盤では、伝えるべきキーメッセージをテンポよく、数秒で言い切ります。さらにテンポよく内容を見せ続け、動画の最後で見続けてもらった人にとって価値のある情報としてCTAを表示します。
リール広告としての動画の長さは、15秒以内で十分な効果が見込めます。
まとめ
Instagramのユーザー数は数年前と比べてますます拡大し、特にZ世代を中心に重要なSNSとなっています。
その中で高い成果を得るためには、Instagramというプラットフォームそのものや複数ある配信面の特性、ユーザー心理などをよく理解し、それをクリエイティブに活かしていくことが重要です。House of Instagram2024でも、クリエイティブのヒントが多く散りばめられていたので、ぜひ参考にしてみてください。
コムニコは、Instagramの運用代行、広告配信、キャンペーンやフォトコンテストの実施、クリエイターの起用など、企業のInstagram運用課題を様々な形でご支援をしています。これまでに蓄積した豊富な知見を持っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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2018年に株式会社コムニコへ入社。コンテンツクリエイターとして、企業・自治体のSNS企画・運用・コンテンツ制作を行う。コムニコが持つ知見を広めるために編集経験を活かして「We Love Social」運営・編集・記事執筆などのコンテンツマーケティングを担当。一般社団法人SNSエキスパート協会認定講師としてSNSに関する安全で正しい知識の啓蒙にも努めている。