2020年のInstagramによる広告主・マーケター向けのBtoBイベント「House of Instagram Japan」はオンラインでの開催となりました。今回のイベントのポイントをレポートします。
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House of Instagram Japanとは
2020年11月26日、「House of Instagram Japan」と題したInstagramの公式イベントが開催されました。House of Instagram Japanは、広告主・マーケター向けのBtoBイベントで、Instagramが提供するマーケティングソリューションや最新情報、企業の活用例などが紹介されます。今年で4回目となるイベントですが、今回はコロナ禍での開催とあって、全セッションともオンラインで配信されました。
2020年は、外出自粛や新しい生活様式の影響でデジタル化が加速し、消費者行動にも多くの変化が生まれました。こうした変化にも対応したInstagramの新機能やInstagramの活用事例などが紹介されました。
このレポートでは、イベントのポイントをダイジェストでお届けします。
なお、今回レポートしているセッションは、こちらからアーカイブ動画を確認できます。(視聴は2021年2月26日まで)
基調講演:好きと欲しいをつくるInstagram
基調講演「好きと欲しいをつくるInstagram」では2020年1月にFacebook Japanの代表に就任した味澤 将宏氏が登壇しました。味澤氏は、元Twitter Japanの代表であり、早くから日本国内でのデジタル広告にたずさわってきました。
Instagramにとって日本は最も重要なマーケットであると味澤氏は話し、それは日本でも開発チームを持ち日本発の機能開発を進めていることなどにも現れています。
Instagramのミッションは「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」。利用者は、Instagramで好きなものを発見したいというマインドセットで訪れています。これは、Instagramが、利用者ごとにより多くの好きなことが発見できるように、アルゴリズムでパーソナライズして関連性のあるコンテンツが表示されるようになっているからです。
SNSのキャンペーンで話題になったものの、セールスにつながらなかったという話がありますが「Instagramは、好き、欲しいまで気持ちを動かすことができるメディア。マーケティングファネルの認知からエンゲージメント、購入までの行動までをシームレスに引き起こすことができます」と味澤氏は強調します。特に「発見タブ」は利用者にパーソナライズされて、興味・関心あるだろうものがピックアップされて表示されます。「興味があるものを発見できるから、認知した瞬間自分ごとになり、保存などのアクションにつながる」と味澤氏は説明します。
「利用者が好きなものを発見し、欲しい物を見つけ、アクションする。これがInstagramの価値」と味澤氏は主張します。日本の利用者は積極的にハッシュタグ検索を行う傾向があり、その数はなんと他国の5倍。さらに気になるものを発見すると、42%がブランドを知るためにプロフィールにアクセスするとのこと。
また、Instagramのユーザーの85%がフィード以外の機能、例えばストーリーズ、IGTV、ライブ、ショップ機能などを活用しています。「日本の利用者は、ショッピングタグがついている投稿から商品詳細を見る割合が他国に比べて3倍と非常に高いです。ブランドも、ブランドストーリーを伝えるために、目的に合わせて多面的に機能を活用してほしい」と味澤氏は話します。
続いてInstagramを活用している企業の事例がいくつか紹介されました。そのうちの一つが無印良品です。無印良品では、プロフィールのストーリーズハイライトで、セールや自社アプリの情報など、訪れた人のファーストビューに入れたいものを掲載し、訴求しています。またショッピング投稿で商品をビジュアルで紹介したり、IGTVで商品のストーリーやスタッフを身近に感じてもらえるようなコンテンツを発信したりして、ファンになってもらう工夫をしています。前述したように、フィード以外の機能を使う人は85%であり、Instagramの様々な機能を活用することで、利用者にアプローチできています。なお、投稿の影響は、来店やEC来訪にも影響します。無印良品では、ショッピング投稿の後はECを訪問する人が増えるので、事前に紹介する商品の在庫を補充してから投稿しているそうです。
「御社のブランドもぜひInstagramを活用して、好きと欲しいを作り出してください。他のプラットフォームとは異なる深いエンゲージメントが創出できます」と味澤氏は締めくくりしました。
Global Keynote: 好きと欲しいをつくるInstagramのイノベーション
Global Keynoteで登壇したのは、Instagram 製品部門責任者 ヴィシャル・シャー氏。ヴィシャル氏も、味澤氏と同様にInstagramのミッションである、「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」を紹介し、パンデミックの影響下の中でも家族や自分自身がオンラインで他の人達とつながり続けた経験を話しました。
ここで、ヴィシャル氏はコロナ禍において日本の開発チームがリリースした機能を3つ紹介しました。一つはQRコードの機能です。自分のアカウントをQRコードで表示できるようにし、他のアカウントのQRコードスキャンができるようにしました。2つ目が、フィード投稿にイベント情報をタグ付けする機能です。視聴したい人はリマインダーを設定すれば、開始前に通知を受け取ることができます。コロナ禍において、Instagramライブの活用が増えたことで実装した機能です。3つ目がトップハッシュタグの機能で、今話題になっている10個のハッシュタグをリストにして表示する機能です。日本の利用者が旬の話題に詳しく、トレンドを知ることを好むことからテストを開始しました。
さて、2020年はInstagramの誕生からちょうど10年となる節目の年です。現在は全世界の月間アクティブアカウント数が10億に達し、日本の利用者は3,300万人以上になります。Instagramの特徴の一つが、友だちとつながることと、お気に入りのビジネスとつながることを分けないことです。
ヴィシャル氏は「Instagram利用者の90%がビジネスをフォローしています。また、日本の利用者の83%は、興味のあるブランドの情報を発見した場合はすぐにアクションします。」とInstagramの利用実態を紹介しました。これがまさに、興味関心からビジネスへの「好き」と「欲しい」を生み出すことにつながっています。
ヴィシャル氏は、Instagramは次の3つの領域で、イノベーションを続けていると紹介しました。
- エンターテイメント
- コマース
- つながり
一つ目は、エンターテイメントを楽しむための機能として、動画のリールやIGTVへの注力です。もちろんビジネスも、リールやIGTVを活用しています。2つ目のコマースは、ショップ機能の強化です。80%の人が製品またはサービス購入の判断の参考に、Instagramを利用しているとヴィシャル氏は述べ、Instagramで商品を見つけた瞬間に購入できるように進化しています。3つ目のつながりは、ライブ動画を通したつながりです。複数人でライブ配信が可能になり、今後ライブを通してリアルタイムで買い物ができる「ライブショッピング」機能もローンチ予定です。
最後に、ヴィシャル氏は「ニューノーマル時代においてのリカバリ、レジリエンスのために、オンライン、モバイルでのビジネスの存在が不可欠であり、Instagramは既存顧客のみならず新規顧客獲得、エンゲージのためにも有益なプラットフォームであり、新たなツールの導入も予定している」と語りました。
好きと欲しいをつくるためのブランディング
「好きと欲しいをつくるためのブランディング」と題したセッションでは、Facebook Japan 執行役員 営業本部長の南 勲氏が登壇し、Instagramでブランディングを成功させるポイントや、マーケティングフェーズに合わせた展開方法について説明しました。
南氏は、Instagramでブランディングを行う理由として、Instagramはファンを増やす、好きになってもらうにとどまらず、「欲しい」までつなげられる点をあげました。Instagramは、写真から始まり、ストーリーズ、IGTV、ARエフェクトなど、多彩なビジュアル表現が可能であること、同時にプロフィールページでは多面的なブランドストーリーをストックし、全体像を伝えられることを紹介しました。
「フィードやストーリーズのようなフロー型のコンテンツに加え、プロフィールはストック型のコンテンツであることから、ミニブランドサイトのような役割を持っています」と南氏は話します。そして、Instagramでは利用者は、投稿の保存、商品詳細を見る、店頭で見る、ECで購入するなど、自分ごと化につながる行動を起こすと南氏は言います。
次に、ブランディングを成功させるための3つのポイントとして、次の内容を紹介しました。
喜びにつながる偶発的発見を創出
Instagramは、独自のアルゴリズムでパーソナライズしたコンテンツを表示するため、ブランドとの偶発的な出会いを創出します。フィード、ストーリーズ、発見タブなどのオーガニックコンテンツだけでなく、広告配信をすることでさらに大規模なリーチが可能です。Facebookの広告配信システムは、Cookieベースではなく、人ベースでの配信ができることが強みで、ニールセンの調査では、Cookieベースの広告と比較して、Instagram広告は、キャンペーン開始7日後で、3倍のリーチ、リーチ単価6割削減での配信が可能であることが報告されています。
多面的なブランドストーリーの伝達
利用者の自分ごと化のアクションの一つがプロフィールの閲覧です。日本では42%の利用者が興味、関心を持ったブランドのプロフィールを見ており、ストーリーズ、過去の投稿、プロフィール文などを通してブランドの多面的な側面を伝えられます。キャンペーンでも、表現のバリエーション、インフルエンサーの活用などにより、ブランドのストーリーに深みを加えられると紹介しました。
「欲しい」への共鳴を増幅させよう
ブランド、利用者、インフルエンサーなど、多様な視点のコミュニティによる熱量の高いメッセージが発信されています。ブランドの発信が、利用者のタグ検索に届き、利用者の話題がインフルエンサーの発信につながり、さらにファンが熱量を高めるような発信の連鎖が可能なのがInstagramです。
「しかし実際にどうやって実現するのか、不安に思う人もいるでしょう」と南氏は問いかけました。そこでFacebookでは、キャンペーンの必勝パターンから成功の要素を抽出し、パッケージ化したと発表しました。
これは商品ローンチ前、ローンチ期、フォロー期のフェーズに分けて、それぞれのフェーズごとにTV CMなども含めたメディアミックス戦略、クリエイティブ戦略などの実施パターンを整理したものです。「必勝パターンをフェーズにあわせてまとめているので、目的にあわせて選択できます。広告主がゼロベースで考える必要がなくなりました」と南氏は自信を見せました。
「欲しい」を加速させるInstagramコマース
最後のセッションでは、Facebook Japan コマースチーム 営業部長 丸山祐子氏より、欲しいをつくる「発見型コマース」の仕組みと活用方法が紹介されました。
欲しい物、知っている物を買いに行くコマースサイトに対し、「Instagramは利用者の興味・関心にあわせてコンテンツが表示されるので、商品が顧客を見つけに行くプラットフォーム。すでに強い興味を持ってコンテンツを探しに来ている利用者に対して好きなものを先回りして見せて購買に導くので、発見から購買までのファネルを縮められる」と丸山氏は紹介しました。
Instagramの発見型コマースは、利用者の行動やデータを機械学習して表示コンテンツをパーソナライズし、さらにその行動を元に最適化することで実現されます。「グローバルで行われた調査では、自分に向けておすすめが表示されるサービスで購入する可能性が高いと9割が回答したことからも、購買行動に影響することがうかがえます」と丸山氏。
Instagramでは、発見から購買までつなぐシームレスな購入体験を実現するためのアップデートとして、例えばチェックアウト、ライブショッピング、アプリ内決済など常に進化しています。
コマース向けサービスのショップ機能も今年進化しました。ショップ機能の詳細については、登壇した丸山氏に取材した以下の記事を参照してください。
We Love Social:【Faceboook Japan インタビュー】新しくなったショップ機能のポイントと今後の展開
丸山氏は「日本の利用者はショップ機能にアクティブに反応しています。ショッピングタグのついている投稿から商品詳細を見るのはグローバル平均の3倍、投稿からショッピング詳細を見る人は昨年に比べ65%増加しています」と紹介しました。
続いて、広告を活用して発見型コマースのパフォーマンスを最大化する方法について紹介しました。広告はキャンペーン型と、Always-On型があり、使い分けが重要です。Instagramでは、コミュニティが拡大したことにより、インプレッション数が伸び、CPMが2017年に比べて4割ほど下がっていると丸山氏は話します。
「Instagramの広告は、目的にあわせて機械学習で最適化されて配信するので、正しいキャンペーン目的を設定することが重要。動画再生を目的にすれば再生に最適化されるので、リーチを選択した場合に比べてオーディエンスは小さくなります。リーチを目的に設定すれば、リーチを最大化してCPMを抑えて配信できます」と丸山氏は配信のコツを紹介しました。
また、Instagramの広告アルゴリズムでは、Instagram内外の利用者の情報の量、質をあげることで、より購入意向の高いユーザーへの配信ができます。安価に配信するためにはAlways-On型の広告でクリック率やコンバージョン率を上げていくことが重要です。
クリエイティブについては、ストーリーズ広告用の縦長動画作成、既存画像からの動画作成、商品画像へのブランド名、値段、クーポンの情報の追加など、Instagram広告に最適化することで効率的な配信ができると、事例を踏まえて紹介しました。
まとめ:好きと欲しいをつくるInstagramを活用しよう
今回のHouse of Instagram Japanで繰り返し強調されたことが、Instagramで発見したいという利用者の気持ちと、発見をしやすくするためのInstagramのパーソナライズしたコンテンツ表示、そして、発見から、好き、欲しいへのシームレスにつなげる機能のアップデートでした。
Instagramは、ビジュアルのコミュニケーションですが、そのビジュアルもストーリーズ、IGTV、リール、ARエフェクト、そしてショップ機能など、様々にひろがっています。利用者はこれからの新しい機能を積極的に活用し、特に日本の利用者はアクション率が高いこともイベントを通して伝えられました。
ブランドやビジネスは、こうした利用者の期待に応えるような発信を続けることで、既存ファンを満足させ、さらに新しく発見してつながった新規顧客も魅了することができます。
Instagramをより積極的に活用したい、強化したいとお考えの企業さまは、ぜひコムニコにご相談ください。SNSマーケティング専門のプロがご支援いたします。
2011年、株式会社コムニコへ入社。セールス・コンサルタントとして、業種・業界問わず多くの案件を担当。2019年よりマーケティング領域も兼任し、コンサルタントとしての経験を活かした運用担当者目線のマーケティングを行っている。