【SNSリスク分析レポート】最新のSNS炎上を媒体別・性別・業界別・カテゴリ別に解説
日々報道されるSNS炎上事案。
企業のブランドリスクにつながり、株価暴落の可能性も。「直接関わりがないから」「過去の出来事だから」「SNS運用を行なっていないから」では、リスク対策として不十分になってきています。
もちろん、過剰に恐れる必要はないので炎上傾向を理解し、リスク対策した上でバズ・拡散を狙ったSNS運用を行うようにしましょう!
本記事では、SNS黎明期から企業のSNS運用支援専業で行ってきた株式会社コムニコが収集分析したデータを元に2024年の炎上傾向を振り返ります。炎上を分析し、企業がどのような対策をしながらSNSを活用していくべきか確認しておきましょう。
2024年に起きた炎上事件
2024年は、生成AIの使用方法や、これまで黙認されてきたような女性に対する性差別が多くの関心を集め、類似事件の炎上や言及数が増加する傾向が見られました。
株式会社コムニコの調査では、2024年に観測されたSNS炎上事件の総数は168件。
「炎上期間」に言及された関連キーワードの総数は9,842,139件、平均炎上日数は22日。鎮火までに 136日(4ヶ月以上) かかった事例もあります。SNS炎上事案は一度鎮火した後も、類似の事例が起こると過去の事例が再度取り上げられて新たな炎上につながるケースもあり、イメージ低下は免れません。
リスクを抑えるためには、①炎上が起きないよう事前の社員教育、②早急に対応するためのSNSトラブル対応フローの作成をしておくとよいでしょう。
この記事ではレポートを元に概要を解説します。詳細なデータは以下から、2024年に起きた炎上件数や言及数をまとめたSNS炎上レポートと緊急対応フローなどをまとめた資料をダウンロードできます。資料では男女比率も確認いただけます。
SNS炎上事件収集基準
ここでは、好意的な内容が拡散する「バズ」ではなく、批判的な言及・引用ポスト(引用ツイート・リツイート)が多い「炎上」をピックアップしています。炎上事案となる内容や拡散手法はいくつもあり、変化していくものですから、正確に判断するために機械的な収集ではなく、株式会社コムニコの社員が目視で収集し、分析を行っています。
炎上については、業界規模や内容によって影響度が異なるため、基本的には以下の情報を収集しています。
- ネットニュースになったもの
- トレンドキーワードになったもの
- エアリプ(空中リプライ・暗に言及しているもの)が多いもの
- 引用ポストで批判が多いもの
- 批判リプライ・コメントが多いもの
観測した炎上についてはカテゴリ分けした後、ソーシャルリスニングツールを用いて言及数などを割り出しています。
炎上日数については、言及数が炎上前の水準になったことを「鎮火」としています。
なお、いまだ炎上(言及数が増加している)状態になっている事件の平均炎上日数については12月までの数値で区切り計測しています。
■株式会社コムニコとは
SNS黎明期である2008年に創業し、企業のSNSマーケティングを支援してきたコムニコ。
これまで2,600件以上(2024年10月時点)のSNS運用支援実績があります。ブランドセーフティ対策を重視する企業(行政、金融機関、医療・製薬業界など)からも安心してお任せいただけるよう、SNS炎上リスクから守る万全なサポート体制で支援してきました。成果につながるSNS運用のプランニングから、運用代行・効果検証・キャンペーン支援など、SNSマーケティングの目的に合わせた幅広い施策提案・実行を支援します。
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>>勉強会や対策フロー作成などSNSリスク対策支援を相談する
媒体別炎上元媒体観測件数
ここでは、炎上元媒体(炎上の火種)をもとにランキング化しています。
例えば、一般の方が X(Twitter)上でつぶやいた内容が炎上した場合は、「X(Twitter)」。SNS上で炎上した場合であっても、店舗での行為や講演会での発言、屋外広告などオフライン上で起こったできごとが炎上の要因である場合は「オフライン」にカウントしています。
最も炎上件数が多い媒体は「X(Twitter)」で125件(74.4%)。匿名性で気軽に投稿しやすく、拡散力もあることからSNS炎上の舞台となりやすいようです。2023年もX(Twitter)が47.3%で最も多くなっていました。
2024年は炎上の発端となる媒体がYouTube、オフライン、テレビなど、ばらつきが見られました。ここで注目すべきは X(Twitter)以外で発生した炎上事例であっても、X(Twitter)上での拡散が目立ったことです。 炎上の主体である組織が SNSアカウントを持たない場合でも、X(Twitter)上で多数のフォロワーを抱えるユーザーによって言及されることで、本格的な炎上状態となっていくケースが目立ちました。
なお、昨年は「オフライン」が炎上元媒体となっているケースが第2位となっていました。SNSアカウントを持っていないから安心、ではなく、SNSアカウント運用をしていないことがリスクともなり得る時代になってきていることに注意しましょう。
炎上カテゴリ別ランキング
炎上カテゴリは、SNSリスクを含めたSNSノウハウを体系的に学べるSNSエキスパート協会が提唱する「炎上さしすせそ」をもとにアレンジして選出しています。
炎上カテゴリについては炎上理由で区分しています。そのため、例えば政治家によるSNS炎上であっても、政治的思想を含む炎上でない限りは「政治」としてカウントしていません。
まずはカウントされた数の多いカテゴリを見ていきましょう。
■炎上カテゴリ別:炎上件数
カテゴリ別に見ると「リテラシー不足」による炎上事案が突出して多い結果となりました。
続く「モラル」「思想」にも関連しますが、複数名で投稿確認・承認をしていれば防げることができた可能性が高い投稿内容ばかりです。そのため、炎上対策のひとつとして、投稿承認の導入が考えられます。
■炎上カテゴリ別:平均言及数
次に、言及数が多い炎上カテゴリを確認します。カテゴリ内の平均言及数では「政治」が最も多くなりました。2024年を振り返ると、衆議院選挙や自民党総裁選、兵庫県知事選、アメリカ大統領選挙などSNS上で注目を集めた選挙が多かったこともありそうです。
もうひとつの理由として、上位となった「政治」「思想」「オフライン」が炎上元になっている事案について、当人が謝罪や弁明をすることが少ないことが挙げられます。そのため、さまざまなユーザーによる言及が飛び交い、言及数も伸びているのではないでしょうか。
■炎上カテゴリ別:炎上日数平均
最後に、炎上日数の平均を確認します。これは「どれだけ記憶に残ったか」と言い換えても良いかもしれません。
言及が長引けば長引くほど強い印象となりますから、ポジティブな反応が寄せられる「バズ」であれば嬉しい認知獲得となります。しかし、それが炎上事案だった場合はイメージダウンにつながり、一度炎上状態になってしまうと、過去の炎上が取り上げられて再び炎上する可能性もあります。
ここではカテゴリ全体の小さな事案も含めた平均となっていますので、長期という印象は薄いかもしれませんが、実際には最長期間136日となっており、また、過去炎上して再度掘り起こされての炎上事案も複数観測されています。
そして、アカウント切り替えなどの小さな操作ミスであっても10日間程度は言及されてしまう、ということを覚えておきましょう。
炎上しやすい業界や人は?炎上元業界別件数
ここまで、炎上元のカテゴリの傾向がわかってきたかと思いますが、気になるのは炎上しやすい業界や人はいるのか?というところかと思います。
株式会社コムニコでは、業種分類表(経済産業省)を元に、SNS炎上に多い「芸能」「インフルエンサー」「アニメ・漫画」「雑誌メディア」などを追加し、SNS炎上業界を分類しています。炎上事案については、例えば芸能人が他業界について言及する場合など複数業界にまたがる場合もありますが「より炎上している炎上元業界」を集計しています。
■業界別:炎上件数
業界別に炎上件数を確認すると、マスメディアなどで報道されやすい「芸能」「インフルエンサー」が目立ちました。2024年は選挙もあり、言及数や日数で「政治」カテゴリは伸びましたが、「公務」関連は5位と落ち着きを見せています。
2024年は特に、テレビで見ない日はないような人気芸能人による性犯罪が公となり炎上状態になった事案がありました。関連して炎上状態となっているタレント・インフルエンサーによる広告プロモーションへのネガティブな言及が集まり、炎上状態となった事例も見受けられます。
■業界別:平均言及数
業界別の平均言及数では、「食料品メーカー」での言及数が目立ち、続いて「公務」「情報通信」となりました。
食料品メーカーでの炎上事案で言及数が多かったのは、サプリの健康被害に関する不祥事や広告に起用したタレントの過去言及が問われ、炎上状態となった事案です。 このほか、社員の待遇改善や社長の思想が問われる問題が目立ちました。
■業界別:炎上日数平均
業界別の炎上日数平均では、「医療福祉」「食料品メーカー」での日数が多くなりました。
これらの業界においては公衆衛生や倫理上の問題から清廉さが求められることから、炎上によるイメージダウンが大きくなりやすいのではないでしょうか。炎上後の対応を誤って炎上事案がこじれた例も散見されるため、炎上後の対応フローを平時のうちに確立しておくことも重要です。
リスク対策は事前準備が重要
世の中には「炎上マーケティング」という言葉もありますが、一般的に企業が「炎上」して商品の購買やブランドイメージの向上につながることはほとんどありません。「炎上させない」「すぐに鎮火させる」ことが重要です。
昨今は男女対立構造になることで炎上言及や日数が増加する傾向があるため、特に性差別に関連する話題においてSNSの「中の人」のノリによる言及は避けた方がよいでしょう。男性担当者であれば女性にも見てもらうなど、SNS投稿前に立場の違う方にも確認してもらう、詳しくない話題には乗らず詳しい人に聞いて対応するなどの注意ができそうです。
特に、土日祝といった休日の炎上は拡大しやすい一方で対応が遅れることが多く、事前の対策が必須です。
ここで、リスクマネジメントのために確認しておきたいサービスをまとめました。
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SNSリスクマネジメントを学ぶ
一般社団法人SNSエキスパート協会が運営する、SNSの知識、ノウハウを体系的にまとめる検定プログラムを受講し、事前に対応策を学んでおきましょう。
>>SNSエキスパート協会「SNSエキスパート検定」「SNSリスクマネジメント検定」 -
SNS炎上に備えるサービスを利用する
「炎上してしまったら」「災害やシステム障害が起こったら」という「もしも」に備えるサービス。「いつか」が来る前に、他社動向や対応策の提示も含めて、相談できるプロとしてサポートします。
>>「万が一」にそなえる安心のサービス「SNSセーフティネット」 -
投稿承認を行えるツールを利用する
傾向を見てきた通り、複数名で確認していれば避けられた炎上事例は非常に多いものです。
ただし、承認を得る作業というのは時間がかかるもの。時短のために承認を省いていた方もいらっしゃるでしょう。
そこで、投稿の事前予約、承認制をとれるツールの利用することで投稿承認作業負担を低減していくことをおすすめします。こうしたツールを利用することで、差別的な思想や立場の違いによる批判の有無に気づくことができます。炎上ジャンル「誤投稿」「モラル」「リテラシー」「差別」などのリスクを減らすことができます。SNS分析も可能です。
>>SNSアカウントの投稿管理ツール「コムニコ マーケティングスイート」 -
SNSマーケティングのプロに前もって相談する
自社のみで運用するのではなく、第三者としてSNSマーケティングのプロに相談することも立派な炎上対策となります。特に自社運用ではリソースが足りないと感じている場合は、確認漏れが発生しやすくなります。株式会社コムニコでは、チーム体制でSNS企画・コンテンツ・分析など丸ごと支援することが可能です。
SNS機能変更や時勢変化によるもの、天災などによる予測しづらいリスク回避をしながら、SNS成果を高めていきたいという場合は導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
>>SNS運用・コンサルティングのご相談 -
炎上した事件の傾向を確認し、対策する
この記事で紹介してきた通り、昨年に起きた炎上事件を分析してレポートを作成しています。炎上の傾向を把握して対策しておくことも重要な対策のひとつです。緊急対応フローもまとめています。
>>2024年に起きたSNS炎上分析レポート
まとめ
トレンドの移り変わりの激しいSNS業界では、これまで問題ないとされていたことであっても「炎上リスク」となることがあります。特に、企業公式アカウントでは、モラルに反するものや性差別に関する内容により炎上状態となった事案が目立ちました。例えば「(当人にとっての)ほんの少しのセクハラ」はすでに許されないものになっていますし、それが大人気タレントであっても、大きく糾弾されるものになっていることはご存知のとおりかと思います。時代の変化と言い換えても良いかもしれませんが、その反響の大きさはSNS上で大きな渦となります。
2024年は特に、過去の炎上が取り上げられて再び炎上事案となるような事例もありました。「炎上マーケティング」として認知を得られたとしても、一度落ちたブランドイメージは回復しづらいものです。「過去のこと」であっても誰かが言及すると炎上状態になることがあります。
「いつ、何が」炎上するかわからないと思われる企業担当者もいらっしゃるかもしれませんが、火種を作らないリテラシーやモラルを身につけるとともに、「もしも炎上してしまった場合」の備えも重要です。炎上後の対応に失敗して大炎上となった例や、SNSアカウントがなく弁明できなかった場合などがありました。
株式会社コムニコでは、SNS黎明期である2008年からSNS専業で企業のマーケティング支援をしてきました。事前の準備をして、可能な限りリスク回避していけるよう、コムニコがサポートします。必要に応じて部分的な支援も可能となっておりますので、ご相談ください。
>>コムニコのサービス案内資料をダウンロードする
>>勉強会や対応フロー構築などSNSリスク対策に関して相談する
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2018年に株式会社コムニコへ入社。コンテンツクリエイターとして、企業・自治体のSNS企画・運用・コンテンツ制作を行う。コムニコが持つ知見を広めるために編集経験を活かして「We Love Social」運営・編集・記事執筆などのコンテンツマーケティングを担当。一般社団法人SNSエキスパート協会認定講師としてSNSに関する安全で正しい知識の啓蒙にも努めている。