「ブラックフライデー」をご存知ですか?近年ECモールなどで開催されるようになった大規模なセールというイメージかもしれませんが、実はただのセールではありません。いまや、年末商戦の成功を左右する重要な第一歩となってきています。
本記事では、SNS運用担当者の方々がブラックフライデーの機会を最大限に活用し、成果につなげるためのマーケティング戦略を徹底解説。最新のデータや具体的な施策のチェックリスト、さらにX(Twitter)、Instagram、TikTokにおいて実際に成功した企業の事例まで、すぐに役立つ情報をたっぷりお届けします。
ぜひこの記事を読んで、今年のブラックフライデー商戦を乗りこなしましょう!
「ブラックフライデー」は年末商戦の最初の一歩
ブラックフライデーとは、感謝祭(Thanksgiving Day)翌日の金曜日のこと。アメリカで毎年11月の第4木曜日に制定された祝日から始まる「ブラックフライデー」はクリスマスセールの初日にあたり、年末商戦に向けた大規模なセールが行われます。
ブラックフライデーという名前の由来は諸説ありますが、一説には、大規模なセールによって「小売店が1年で最も黒字になる日」だからとされています。アメリカでは、それほどの経済的インパクトをもたらすイベントなのです。日本のブラックフライデーでは11月第4木曜日の前後数日~1週間程度にわたってセールが開催されることが多いようです。日本の消費者の認知度も年々上昇し、ブラックフライデーで大きな買い物や日用品の買いだめをするという人も。
また、日本でもアメリカと同様に年末商戦の口火を切るイベントとして、年々その重要性を増しています。
8割が認知する「ブラックフライデー」を活用すべき理由
先ほども述べたように、日本では年々、ブラックフライデーがセールとしての存在感を増しています。
電子チラシサービス「Shufoo!(シュフー)」を運営するONE COMPATHが2024年10月に行った調査によると、ブラックフライデーについて「知っている」と回答した人は83.7%と、消費者の認知度が8割を超えていることがわかりました。
また、ブラックフライデーにおける2024年の購入予算は、「5千円~1万円未満」が28.4%と最も高く、次いで「1万円~3万円未満」が25.6%という結果に。2023年と比較すると、購入予算を5千円未満とする人が減少する一方、5千円以上とする人が増加しており、全体的に予算は増加傾向にあることがうかがえます。
さらに、コマースメディアを展開するCriteo(クリテオ)が、日本国内のブラックフライデーのオンラインショッピングについて行った調査によると、2024年のブラックフライデーの平均注文額は前年比12%増、ブラックフライデー当日の消費者支出も前年比12%増であったことがわかりました。
また、2023年のデータを分析すると、ブラックフライデーのキャンペーンを実施した小売業者は、キャンペーン期間中に104%の売上増加を記録(毎年10月1日から10月28日までの平均と比較)し、12月の総売上も平均で28%増加していた一方で、ブラックフライデーのキャンペーンを実施していない小売業者は、12月の売上が5%減少していたこともわかりました。
以上の調査データより、消費者にブラックフライデーが広く認知されているだけでなく、ブラックフライデーのセールに対する消費者の期待値も年々高まっていることがうかがえます。また、企業にとっても、ブラックフライデーのキャンペーンを有効活用しない手はなく、そうでなければ逆に売上が減少する可能性もあると言えるでしょう。
ブラックフライデーのマーケティングや販促を行う際は、SNSマーケティングにも力を入れたいところです。
たとえば、2025年6月にアプリ内で商品の紹介から購入までを完結できる機能をリリースしたTikTokでは、TikTokユーザーの33.9%が「TikTokのコンテンツを見て商品やサービスを購入した経験がある」と回答しています。
参考記事:【データで読み解く】TikTok Shop参入のメリット・デメリット〜TikTokが示すECの未来とは〜
これらのデータからも、SNSもブラックフライデーのマーケティング施策の一つとして取り入れることで、さらなる成果が期待できるのではないでしょうか。
SNSでブラックフライデーを攻略!施策のチェックリスト
ブラックフライデーの売上や盛り上げに貢献するために、SNSでできるマーケティング施策は次のようなものがあります。
SNS投稿 | お得商品紹介 / 開催告知 / カウントダウン / 当日リアルタイム投稿 |
プレゼントキャンペーン | 限定商品を景品に / その場で結果がわかるインスタントウィン / 開催前後で注目集め |
広告配信 |
ターゲット広告でリーチ拡大 / 周知 / 興味喚起 |
ライブ配信 | 事前に商品・価格紹介 / 当日は売れ筋紹介 / 質問対応 |
SNS投稿
SNS投稿では、ブラックフライデーでお得に販売する商品の紹介や、ブラックフライデーの告知やカウントダウン、ブラックフライデー開催期間中のリアルタイム投稿などを通して、ブラックフライデーに対する期待感の醸成や、ブラックフライデー開催の周知が可能です。
プレゼントキャンペーン
プレゼントキャンペーンについては、ブラックフライデーの限定商品を景品とした企画や、ブラックフライデーにちなんだ企画などを立案し、ブラックフライデーの開催期間中や開催前後の期間に実施することで、フォロワーやSNSユーザーの注目を集め、関心を高めることができます。
広告配信
広告の配信も行えば、さらなる周知や興味喚起ができます。SNS広告では、興味関心や言及キーワードなどさまざまな条件でターゲティングでき、関連するユーザーに対して効率よく配信できます。プレゼントキャンペーンやクーポン配布など、多くの人に見てもらいたい場合は広告配信もセットで用意しておきましょう。
ライブ配信
ライブ配信では、ブラックフライデー前に商品や価格の紹介を行って期待感を醸成したり、ブラックフライデーの開催中に売れ筋の商品や目玉商品を紹介して購買を促したり、ユーザーの質問に答えてユーザーの疑問を解消したりすることができます。
ブラックフライデー施策・キャンペーン実施タイムライン例
ブラックフライデーは年に1回。ブラックフライデーに関するSNS施策を初めて実施するという人はもちろん、前に実施したことがあるという人も久しぶりで抜け漏れがあったということがないよう、ブラックフライデーに関する施策実施の流れを次にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
①事前準備
まずはアクションを起こす前の準備として、ブラックフライデーのセール対象商品や割引率、プレゼントキャンペーンの内容などを決めます。
次に、コンテンツカレンダーを作成し、どのSNSで、いつ、どのような投稿を行うかを考え、スケジューリングします。また、プレゼントキャンペーンの実施期間や、広告配信を行う期間や予算、広告の内容なども決めておきましょう。
②開催1週間前:告知で期待感を醸成
開催1週間前には、ブラックフライデーの告知はもちろん、ブラックフライデーまでの日数をカウントダウンする投稿や、ブラックフライデー限定の商品をチラ見せする投稿、プレゼントキャンペーンの告知または実施、インフルエンサーによる事前告知など、さまざまな投稿を行って、フォロワーの関心と期待感を高めます。
③開催当日:熱狂を創出
開催期間中は、まさにブラックフライデーの開催中であることを伝える投稿、リアルタイムで目玉商品や商品の売れ行きを紹介する投稿およびライブ配信などを行います。
また、ライブ配信では、ブラックフライデーに対するユーザーの質問に回答することで、ブランドに対する親近感や安心感を持ってもらうことができます。
④開催後:余韻の活用
開催期間が終了した後も、ブラックフライデーの余韻が消えないうちに、次回のセール予告や顧客への感謝を伝える投稿などを行い、エンゲージメントを維持します。また、ブラックフライデーで購入した商品のレビュー投稿(UGC)を募集するプレゼントキャンペーンを実施すれば、ブランドや商品のさらなる認知拡大が望めます。
⑤開催後:施策効果の分析
一連の施策を終えたら、分析しましょう。SNSの運用レポートを作成して、振り返りを行います。どのような施策が成果につながったのか、あるいは思うように成果が上がらなかったのか。評価できる点と反省点を見つけ、次回のSNS運用のヒントにしていきましょう。
参考記事:【パワポ無料テンプレート付き】SNS運用を成功に導く!ツールを活用したレポートの作り方
企業の成功事例【X(Twitter)編】
ブラックフライデーに関して、実際にSNS運用を成功させている企業の事例をご紹介します。
■マウスコンピューター ゲーミング:投票で賞品が決まる参加型のキャンペーン
パソコン通販のマウスコンピューターが展開するゲーミングブランドのマウスコンピューターゲーミングは、ブラックフライデーに合わせてプレゼントキャンペーンを実施。指定のハッシュタグ「#ブラックフライデーに欲しいもの」を付けて、欲しいPC周辺機器を選んで投票すると、投票数1位になったものがキャンペーンの景品になるという企画を行いました。遊び心のある施策で、ユーザーの参加を促すことに成功しています。
■LINEポケットマネー/LINEスコア:画像タップで簡単に投稿できるキャンペーン
お金の借入ができるLINEポケットマネーは、ブラックフライデーを大々的に開催するAmazonで使えるギフトカードをプレゼントするキャンペーンを実施しました。プレゼントの応募方法は、自分の買い物スタイルについて、画像をタップして回答するだけ。ユーザーはコメントやUGC投稿を行うよりも簡単に参加でき、企業側はユーザーのポストによる情報の拡散ができるという、両者にメリットのあるキャンペーンです。
■どん兵衛 公式:黒い商品を訴求
どん兵衛は、ブラックフライデーにちなんで、黒がテーマの商品についての投稿を行い、訴求しました。紹介したのは、濃厚な黒醤油スープに黒胡椒がスパイシーなきつねうどんとUFO。セールとは直接関係ないものの、黒つながりというユニークな視点で興味をそそっています。
■ファッションセンターしまむら:セール品をチラシで紹介
しまむらは、新聞に折り込まれているようなチラシを画像として添付して投稿を行い、ブラックフライデーのセール品を訴求しました。Webではあまり見ない広告ビジュアルですが、紙のチラシを見るときのようなワクワク感を思い出させてくれます。また、一見してセール品がたくさんあることが分かることも興味を引き、思わず画像を拡大して見たくなります。特に目玉の商品は、投稿テキストにも記載していることがポイントです。
■ミニストップ公式アカウント:クーポンを訴求
ミニストップは、ブラックフライデーの期間中に店頭で使えるクーポンを紹介する投稿を行いました。SNSで訴求することによって、ミニストップでブラックフライデーが開催されていることを知らなかった人や普段はあまり来店しない人にもセールの開催を周知し、来店を促しています。また、クーポンはアプリ上で配信されていることから、必然的にアプリのダウンロードも促進しています。
■Pay ID(ペイ アイディー):その場で当たるキャンペーン
ショッピングアプリの「Pay ID」は、アカウントのフォローと引用リポストですぐに抽選に参加でき、その場で結果がわかるインスタントウィンキャンペーンを実施。引用リポストを行う際に、ハッシュタグ「payidブラックフライデー2024」を付けて「Pay IDで欲しいアイテム」を回答してもらうことで、情報の拡散を図るとともに、フォロワーの購買意欲を掻き立てています。
企業の成功事例【Instagram編】
■haconiwa Link(ハコニワリンク)byイオン:フォローするアカウントを選んで応募できるキャンペーン
イオンは、ブラックフライデーに合わせて、アカウントのフォローと投稿へのコメントを応募条件とするキャンペーンを開催。全国に店舗を構えるイオンは、地域ごとにアカウントを運用していることから、応募時にフォローするアカウントは住んでいる地域に合わせて選べるとしました。細やかな視点でユーザーに寄り添っていることや、日頃の情報取得の手段としてしっかりとアカウントを活用してもらいたいといった思いが伝わります。
■shein_japan:投稿に商品IDを記載し、購買を促進
商品を身につけたコーディネートを紹介する画像に商品IDも記載することで、欲しいと思ったユーザーがすぐに検索、購入できるようにしています。商品の興味喚起から購買までの動線をできるだけスムーズにすることで、ユーザーの途中離脱を防ぎ、購入に結びつけています。
■セガ公式アカウント:黒い商品を訴求
セガは、Xの「どん兵衛 公式」と同様に、ブラックフライデーのブラックにちなんで黒い商品を訴求しました。刺繍で描かれているキャラクターもブラックであることが印象的なキャラクターであることから、ブラックを協調することで、普段よりもさらに魅力的に見える訴求となっています。
■NTTドコモ:ECサイトで開催中のキャンペーンを宣伝しつつ、コメント促す
NTTドコモは、ドコモの通販サイト「dショッピング」で開催しているブラックフライデーのキャンペーンを紹介。加えて、「ショッピングの予定はございますか?」と問いかけたり、「ショッピングしたい!と思ったら『🛒』でコメントしてください!」と呼び掛けたりしてコメントを促し、ユーザーとのコミュニケーションを図っています。
■イオン:ブラックにちなんだレシピを紹介し、保存も促す
イオンは、ブラックにちなんで「ブラックパンダオムライス」のレシピを紹介。「ブラックパンダオムライス」は、中心となるライスがパンダの見た目になっていることがフォトジェニックで興味を引きます。レシピに使っている商品も丁寧に紹介して再現しやすいようにしており、「気になった人は保存してね👆」という文言で保存と再現を後押ししています。
企業の成功事例【TikTok編】
■【公式】ヴィレッジヴァンガード:遊び心のあるTikTokらしい動画で、セールを訴求
ヴィレッジヴァンガードは、ブラックフライデーにちなんで、指定の値札がついた商品に少しでも黒色が含まれていれば割引になることを訴求しました。遊び心のある割引方式で、興味をそそる内容となっています。また、動画の最後で「店舗によって品揃えが違うから、お宝発掘しに行って」と伝えることで、店舗の回遊も促しています。
■YOLU -ヨル-🌛:ブランドの世界観を統一しながらブラックフライデーを訴求
YOLUは、Amazonのブラックフライデーで購入したYOLUの商品が届き、梱包を解く様子をミニチュアで再現した動画を投稿。商品が届いて梱包を解くという何気ないシチュエーションですが、それをミニチュアで可愛らしく再現したことでブランドの世界観を損なわず、つい最後まで見てしまう内容となっています。
■島忠・ホームズ【公式】:スピード感のある動画で、視聴完了を促す
ブラックフライデーのセールをただ紹介しているだけに見えますが、映像がスピード感をもって移り変わっていくことから、最後まで見やすい動画となっています。スピード感はありつつも、店舗に飾られているブラックフライデーののぼりはしっかりとフィーチャーすることで、ブラックフライデーを開催していることがしっかりと印象づけられるようになっています。
EC連携の注目サービス「TikTok Shop」も活用できる?使い方は?
TikTokは、TikTokアプリ上で購買までを完了できるEC機能「TikTok Shop」を、2025年6月にリリースしました。
TikTok Shopは、通常のフィードを流れるショート動画やライブ配信、ショーケースタブと連携し、いずれのコンテンツからも直接商品の購入ができるようになっています。TikTok Shopは、外部EC連携ではなく、TikTokが提供するECシステムであることから、ユーザーは数回のステップで商品の発見から購入までを完了でき、企業やクリエイターは商品の販売だけでなく効果測定や分析も同システム上で行えるというメリットがあります。
また、TikTok Shopで商品を購入したユーザーが商品の感想や使用感などをTikTokにコンテンツとして投稿すれば、さらに他ユーザーの認知や興味喚起につながるといった循環も期待できます。
TikTok Shopについてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧ください。
【2025年6月開始】TikTok Shopとは?スタートダッシュを決める始め方・使い方・導入手順を解説!
【データで読み解く】TikTok Shop参入のメリット・デメリット〜TikTokが示すECの未来とは〜
プレゼントキャンペーンに使えるおすすめツール「ATELU」
プレゼントキャンペーンを行うのであれば、SNSキャンペーンの運用の自動化や効率化ができるツールの活用がおすすめです。
株式会社コムニコが提供しているSNSキャンペーンツール「ATELU(アテル)」は、ブラックフライデー期間にSNSで多く実施されるX(Twitter)やInstagramの「フォロー&リポスト(旧リツイート)キャンペーン」や、TikTokの「コメントキャンペーン」に対応しています。
「ATELU」を活用すると、応募者の収集や抽選の効率化、簡易レポートの自動生成による集計作業の効率化、当選メッセージの予約配信、応募者情報の一元管理などが実現でき、SNS担当者の負担になりやすい面倒な作業の低減につながります。
キャンペーン実施回数が累計15,000回(2025年4月時点)と、実績も豊富です。「ATELU」を用いて時間や手間をかけずにキャンペーンを行うことで、SNSの戦略立案や運用に注力したり、キャンペーンを繰り返し実施したりすることができるようになります。キャンペーンの実施を検討している場合は、ぜひツールの導入もあわせてご検討ください。
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まとめ
ブラックフライデーは、今や日本の消費者の8割に認知される、一大イベントとなっています。
さらに、ブラックフライデーでの購入予算が増加傾向にあることや、ブラックフライデーのセールを開催する企業が売上を伸ばし、そうでない企業は売上が減少していること、そして11月末という時期から、年末商戦につながるセールとしてますます重要性を増しています。
そうした中で、他社との差別化を図るため、あるいは他社に後れを取らないために注力したいのが、SNSにおける戦略的なアプローチです。ブラックフライデーに絡めた投稿やプレゼントキャンペーンなどを行いながら、多面的に訴求していくことが求められます。
SNSの活用で、ブラックフライデーのような大規模なキャンペーンの成功につなげるには、入念な戦略設計と日々のマメな運用が欠かせません。しかし、日々の業務と並行して運用しながら、成果を出し続けるのは、簡単なことではありません。株式会社コムニコでは、SNSのプロがお客様の目的に合わせた運用をサポートしています。成果につながるSNSマーケティング戦略を共に考え、実行することで、貴社のビジネス成長に貢献します。
SNS運用でお困りの方は、ぜひサービス資料をダウンロードして詳細をご確認いただき、株式会社コムニコにご相談ください。
>>株式会社コムニコとは?サービス資料をダウンロード
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フリーランス編集者として大手出版社の雑誌・書籍を担当後、コムニコへ。SNSコンテンツクリエイターとして、高知県観光のSNS支援では9ヶ月でフォロワーを約15倍に拡大など、さまざまな業種のアカウント支援を担当。「We Love Social」では、編集長として100以上の記事を執筆し、メディアを月間最大37万PVに成長させた。本質的な信頼を育む「ラバブルマーケティング」を実践する、SNSエキスパート協会認定講師(SNSエキスパート検定上級資格保有)。