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【マーケター必見】AIで進化する広告・クリエイティブ・インサイト|Meta Festival 2025注目セッションレポート

Meta Festival Japan2025レポート|AI時代の最新成功事例や活用方法

InstagramやFacebookを提供するMetaが、広告主向けイベント「Meta Festival 2025」を開催。
AI時代における広告・クリエイティブ・インサイト活用の最前線が語られました。本記事では、マーケターがおさえておきたい注目セッションの内容をダイジェストでご紹介します。
「自社でAI活用を進めるなら、まず何から始めるべきか?」そんな問いにヒントをくれるセッションが揃ったイベントの模様をお届けします。(2025年5月27日開催)

はじめに|Meta Festival Japan2025とは

多くの聴衆が集うMeta Festival Japan 2025の会場風景

「Meta Festival Japan 2025」は、Metaが2025年5月27日に開催した広告主・企業向けのイベントです。一部のパートナー企業を対象にした招待制の形式で実施されました。

Metaは、InstagramやFacebookを提供しており、広告配信においてはAIの活用を早くから推進してきた企業です。今回のイベントでは、「AIと広告の新時代:Metaの広告ツールを活用した最新成功事例を紹介」と題し、AI時代におけるプロダクト活用やマーケティング成果を高めるヒントが共有されました。

登壇者には、Meta日本法人代表 味澤氏をはじめ、アジア太平洋地域の責任者2名に加え、ボストン コンサルティング グループや資生堂、楽天などの企業が登場。それぞれの視点からAI活用の現在地と、Instagramを通じたマーケティング戦略が語られました。

AI時代のマーケティング|Meta日本法人代表からのメッセージ

まず初めに、Meta日本法人Facebook Japan代表取締役 味澤 将宏氏が登壇。「AI時代のマーケティング」と題してAIを活用したマーケティングの潮流とMetaの取り組みを語りました。登壇内容を元に、We Love Social編集部がまとめます。

Metaのグローバルな影響力:主要なKPI数値(数は記事中テキスト記載)

Metaは世界中の人と人をつなぐ様々なプラットフォームを展開しています。そのファミリーアプリ全体のデイリーアクティブユーザー数は34億人(Q1 2025 Earnings Callより)。ビジネス活用も多く、世界中のブランドと利用者・生活者を結びつける存在です。

日本の利用者に選ばれる「Instagram」

さまざまなMetaファミリーアプリのなかで、日本の利用者に最も選ばれているのはInstagramです。2015年に880万だったInstagramの利用者は年々伸長しています。(編集部注:2023年11月時点で6,600万人以上となっており、その後も伸び続けています)
日本のInstagram利用者は、世界と比べても利用率やエンゲージメントが高いのが特徴です。特に、短尺動画を利用する割合が多く、2025年4月に新しい動画作成アプリ「Edits」をローンチしました。

Editsの特徴:

  • ダイレクトにFacebookやInstagramに投稿することができる
  • 高品質な状態でダウンロードしてほかのプラットフォームに活用することも可能

Metaの新しい動画作成アプリ「Edits」の機能を紹介するスマートフォン画面のモックアップ

参考記事:【Instagramが開発した新アプリ】「Edits」解説|使い方・商用利用・SNS活用のコツ

Instagramは、安心安全に使ってもらうために10代の利用者向けティーンアカウントを日本でもローンチし、保護者の管理のもとで楽しんでいただくことが可能になっています。

参考:Instagramのティーンアカウントに新たな保護機能を導入

Meta最新!急成長中のソーシャルアプリ「Threads(スレッズ)」

Metaが2023年7月にリリースしたSNS「Threads」にも注目です。2025年4月末に発表されたMeta IR資料でも利用者増が発表されています。

Metaのソーシャルアプリ「Threads」の紹介:4人に3人が企業もThreadsの会話に参加

世界と比べて日本は、最もThreads利用者の伸び率が高く、そしてエンゲージメントも高いのが特徴です。Threads上でなんらかのビジネスをフォローしている人は4人中3人にも上ります。

2025年4月には、企業も会話に参加できるよう「Threads広告」が利用できるようになりました。

Metaの5年後〜10年後を見据えた新しいミッションステートメント

Metaは2025年、新たなミッションステートメントのもと、AIの可能性を全社的に推進していく姿勢を明確にしました。
これまで「人と人がつながる未来と、それを可能にするテクノロジーを創出します」というミッションを掲げていましたが、これからは「新しい"人と人とのつながり"の未来。私たちは、それを実現するテクノロジーを構築します」と変更し、AI技術を中核に据えた取り組みを加速させていきます。

Metaが掲げる未来のビジョン:新しいミッションステートメントと多様な人々が繋がるイメージ

Metaの成長基盤としての「AI」への投資

これまでもMetaはAIへの多額の投資を続けてきました。生成AI利用が増えた現在であれば「AI」への投資は納得かもしれませんが、Metaは10年以上も先駆的リサーチを続け、AIインフラ投資を行ってきた企業です。今後、「全ての人のためのAI」構築のために投資と開発を加速させる予定です。

2025年の投資予定:

  • 世界最長・最先端の海底ケーブル構築
  • データセンターの構築
  • インフラへの投資

これによってMetaが実現する未来は「すべての人のためのAI」です。

Metaが目指す「すべての人のためのAI」:Llamaモデル、AI Studio、Advantage+など、多様な層へのAI提供を示す

  • 開発者向け
    提供されている大規模言語モデル「Llama(ラマ)」は、オープンソースAIを牽引し、12億件以上ダウンロードされており、20万以上の派生モデルができています。
  • 消費者向け
    Llama 4を搭載したMeta AIが多くのファミリーアプリで利用可能になりました。現在、専用アプリの日本版リリースに向けて準備中となっています。また、Ray-Ban Metaのスマートグラスや次世代ARグラス「Orion」の開発も進められており、音声・映像・動きに対応したマルチモーダル体験の実現が注目されています。
  • クリエイター向け
    会話型キャラクターを作成できる「AI Studio」や、DM対応を自動化する「Creator AI」などのツールも提供され、より多くのファンとつながることができるようになります。
  • 企業向け
    Metaは、AIを広告主の成長を支える基盤と位置づけ、他社に先駆けて広告テクノロジーへの活用を進めてきました。たとえば、画像生成AIの活用によりコンバージョン率が7%向上し、「Advantage+セールスキャンペーン」では顧客単価が9%改善するなど、具体的な成果も示されています。

「最新のテクノロジーを、みなさんのビジネスに少しでも貢献できるよう届けていきたい」
そう語る味澤氏のメッセージには、MetaがAIを通じて「新しい人と人とのつながり」の未来を感じさせるものでした。

グローバル視点で見る、AI活用と広告成果の最大化

Metaは、AIを広告主の成長を加速させる重要な要素と位置づけ、マーケティングの“効果最大化”に向けたプロダクト戦略を進めています。
本セッションでは、アジア太平洋地域のプロダクトマーケティング ディレクター Kishore Parthasarathy氏が、広告運用におけるAIの強みとその成果を語りました。

ソーシャルメディアが商品発見の最大のチャネルであることを示すグラフ(47%がSNSで新しい商品やブランドを発見)

「商品が人を見つける」AI時代へ

Parthasarathy氏は、「検索は“人が商品を探す”仕組みであるのに対し、ソーシャルは“商品が人を見つける”仕組みだ」と語ります。これは、ユーザーが何かを探しに行かなくても、ソーシャル上での行動や興味関心に基づいて関連する商品やサービスが自動的に表示されるということ。例えば、Instagram上でテニス動画を見ていると、美しいバックハンドを学ぶことができる、さらに関連商品としてラケットやウェア、コーチングサービスなどの広告が自然に届く──それが、商品が人を見つけるという新しい発見体験です。

その結果、近年では検索に代わってソーシャルメディアが商品やサービスの発見の場として主流になりつつあります。実際に、広告費の観点でも2022年以降はソーシャルが検索を上回る世界的トレンドになっており、新しい商品やブランドを発見するための最大のチャネルになっています。

広告投資額でも2022年に検索広告を上回り、ソーシャルが世界最大となっています。

そして、Metaが世界中の企業やブランドから選ばれる理由は広告効果が高いからです。実際にMeta広告における2024年の1ドルあたりの広告費用対効果(ROAS)は、3.71ドル。(Q1 2024 Earnings Callより)
この高い還元率があるからこそ、広告効果が高いMetaが選ばれるのです。

Metaが広告主に選ばれる理由:1ドルの広告費に対し3.71ドルの高い広告費用対効果(ROAS)を実現

広告パフォーマンスが高い理由は「AIによる最適化」精度と成果を両立

Metaの広告プロダクト「Advantage+」シリーズは、AIによるリアルタイム最適化と行動予測を活用し、「商品が人を見つける」状態を実現しています。

MetaのAIによる広告パフォーマンス向上の成果:コンバージョン数+6%、広告品質+8%など複数の改善指標

■ Meta Advantage+ 活用で期待できる主な広告成果

  • コンバージョン数(CV数)の向上
    • 全体的なCV数増加:最大 +6%
    • Metaリール広告でのローンチ初期CV数:+5%
    • ークエンスモデル適用時のCV数増加:+3
  • 顧客獲得単価(CPA)の削減
    • 全体的なCPA改善:最大 -9%
    • アプリキャンペーンでのCPA改善:最大 -7%
    • ベストプラクティス活用時のCPA改善:最大 -34%
  • 広告品質の向上
    • 広告ランクやクリエイティブの品質スコア:+8%

Metaの広告AIを活用したAdvantage+では、広告と最も関連性の高い人をつなぎ、発見と行動を促します。需要を満たすだけではなく、創出する、といったものです。

数十億件のデータをもとに、広告主の商品を「今、行動を起こす可能性が高いユーザー」に自動で届ける仕組みとして整えています。

検索とソーシャルの相乗効果を最大に

需要を満たし、創出する。そして「商品が人を見つける」というのはどういうことでしょうか?

Parthasarathy氏は、「検索は“人が商品を探す”仕組みだが、ソーシャルは“商品が人を見つける”仕組み」と説明。
両者を連携させることで、広告効果を飛躍的に高める相乗効果が生まれると強調しました。

ビジネスを成長させるためにSNSでの検索やAIを活用した広告で需要を創出していきましょう。

「人が商品を探す検索」と「商品が人を見つけるソーシャル」の相乗効果で成長機会を創出する概念図

MetaのAIで「需要を満たすだけでなく、創出する」「AIをガイドして、パフォーマンスを最大化する」

このセッションではMetaのAIで広告パフォーマンスを向上させていくこと、そして今後もマーケティング効果を最大化するためのリリースを予定していることを伝えました。

需要を創出するための取り組みとして、Meta Advantage+や、幅広い広告フォーマットの活用を紹介。それを最適化するためのスコアも今後リリース予定です。
そして、AIによるパフォーマンスを最大化するための仕組みとして、目標とその測定方法をサポートするツールを提供予定です。どんなデータを提供し、学習させるのがパフォーマンスを最大化させられるか、という部分です。

先進的なAIと自動化によってブランドがそれぞれの目標を達成し、最も重視する成果に対して最適化できるようにすることを長期的なビジョンとして、近い未来バリューツールを提供します。(順次リリース中)

MetaのAIによるマーケティング効果最大化の要約:需要創出とパフォーマンス最大化のための主要な取り組みとツール

クリエイティブの進化とAIの可能性

AIの進化により、広告クリエイティブはこれまで以上に“文化と共創するもの”へと変化しています。
Metaアジア太平洋地域のクリエイティブショップ ディレクター、Angela Bassichetti氏は、マルチモーダルなAI時代における新しいクリエイティブプロセスについて語りました。

カルチャーの海を乗りこなすためのクリエイティブ三原則

毎日、Metaのプラットフォームには34億人がアクセスし、35億のReelsがシェアされています。この状況はまさに「カルチャーの海」が押し寄せる場所といった状態です。

Metaの広大なユーザーベースとコンテンツ消費量を示す数値:34億人が毎日利用、35億リールが毎日おすすめされている

そして今や、文化は文化を生む時代。
たとえば、ある美しい水中ダンスのReelsが、別のクリエイターに折り紙の発想を与えるなど、創造が連鎖的に生まれる環境が整ってきています。そんな中で、カルチャーに根ざしたブランド表現には次の3原則が必要だと語ります。

Metaが提唱するクリエイティブ戦略の3要素:カルチャーから創造する、カルチャーと共創する、カルチャーのスピードで創造する

カルチャーに根ざしたブランド表現3原則:

  • 文化から生まれるキャンペーンをつくる
  • オーディエンスが語りたくなるトピックと交わる
  • 文化と“同じスピード”で発想する

この「スピード」が、今のマーケティングにおいてはパフォーマンスを最大化する重要な鍵になっています。

【マクドナルドの成功事例】ビッグアイデアではなくシステム・オブ・アイデアによるクリエイティブ

従来の「ビッグアイデアを起点にすべてを設計する」発想から、今は「複数の小さな文脈や共感点を束ねて構築するシステム・オブ・アイデア」へと進化しています。

クドナルドの成功事例を示す「システム・オブ・アイデア」の概念図

その象徴的な事例が、マクドナルドがZ世代向けに実施した「グランマ・マックフルーリー」キャンペーン。
「おばあちゃんはヒーローだった」というファントゥルースを軸に、懐かしさ(ノスタルジア)とブランド体験を融合。

マクドナルド「グランマ・マックフルーリー」キャンペーンの成功事例:多様なおばあちゃんの物語がReelsで共有され4200万人にリーチした様子を示すコラージュ

このキャンペーンでは、多様なおばあちゃんの物語がReelsで共有され、4,200万人にリーチ・4週間で完売という成果を残しました。

AIが支える、新しいクリエイティブの仕組み

Metaが提唱するAI活用のクリエイティブワークフロー3ステップ:01 Illumination(洞察)、02 Ideation(アイデア創出)、03 Creation(制作)

Metaでは、以下の3ステップでAIを活用したクリエイティブ支援が行われています。

  • Illumination(学び):パフォーマンスデータから、効果的な要素をAIが発見
     例:コーヒーブランドの場合、背景に屋外を使うと成果が良いなど
  • Ideation(発想):AIと一緒にアイデア出し、ターゲット発見、Reelsでのインスピレーション収集
  • Creation(制作):画像の自動拡張、背景生成、アニメーション化など多様なアセット生成

これにより、1枚の正方形画像から多彩なバリエーションを展開できるようになり、広告の掲載先に応じた最適化が容易になっています。

さらに、こうしたAI支援を通じて生成された多様なクリエイティブは、Metaの広告オークションにかけられ、最も成果が期待できる組み合わせがリアルタイムに選ばれます。これが“仮想ループ”として繰り返され、キャンペーン全体のROI向上に直結しているのです。

AIを最強の相棒に!想像力は、これからも人間のもの

「AI活用をしましょう」というと、クリエイターとしては身構えてしまう人も多いかもしれません。このセッションの締めくくりに素晴らしいことばが表示されていましたのでご紹介します。

“Creative will be automated... but creativity never will be.”
自動化できるのは作業だけ。想像力は、これからも人間のもの。

AIはその可能性を加速させる「最強の相棒」となりつつあります。作業を自動化して、人間が想像力を発揮し、相乗効果によってクリエイティブの進化を加速させていく未来が見えてきそうです。

Instagramで“好き”と“欲しい”をつなぐマーケ戦略

本セッションでは、AI時代におけるマーケティングのパーソナライゼーションを軸にFacebook Japan クライアントパートナー 稲垣智文氏、岩崎譲二氏、 ゲストにボストンコンサルティンググループ合同会社 パートナー 黒川あやか氏 株式会社ビデオリサーチ シニアフェロー 吉田正寛氏が登壇。
変化する生活者の行動や、InstagramがAIと共にどう進化し、「好き」と「欲しい」を繋ぐプラットフォームとしての役割を果たすか、そして広告主が取るべき戦略について活発な議論が交わされました。

AI時代におけるマーケティングのパーソナライゼーションセッションでの会場の様子

AIが加速させるパーソナライゼーションと変化する生活者のインサイト

AI時代のパーソナライゼーションは、企業にとって大きなビジネスチャンスであると同時に、競争力の源泉となります。「2兆ドル規模」とも。生活者のメディア接触や情報収集のあり方は大きく変化しており、従来の画一的なメッセージではなく、個々に響く「自分ごと化」された共感性の高いコンテンツが求められています。

  • 広告感度の変化
    情報飽和により広告への感度は低下傾向にあるものの、生活者は自ら積極的に情報を収集する動きも活発化。重要なのは「嫌われない広告」ではなく、適切なコミュニケーションで「自分ごと化」を促すことです
  • 視聴態度の変化:
    Metaの調査では、若年層で広告想起に必要な時間は1.4秒と非常に短く、フリークエンシーを考慮した短時間での複数回接触が有効です。また、強制的な視聴よりも、音声ありの「自発視聴」(Metaプラットフォームでは75%以上が該当)が圧倒的に高い効果を示します。

 Instagramの進化とAI時代のクリエイティブ戦略

Facebook Japanでは、Instagramを「好きと欲しいを繋ぐ自分ごと化プラットフォーム」と2022年に再定義し、現在はこれまで以上にAIによるパーソナライゼーションを強力に推進しています。

  • AIによる体験向上:
    Instagramのフィードコンテンツの50%以上がAIによってレコメンドされ、リールはInstagram利用時間の50%を占めるなど、AIがユーザー体験とエンゲージメントを牽引。高度なAIモデル(例:シークエンスモデルラーニング)は、ユーザーの次の関心を予測し、より関連性の高い情報や広告を届けることで新たな需要を喚起します。
  • 広告主の課題とAI活用:
    パーソナライゼーションの実現には、データ活用、組織体制、KPI設定といった課題が伴います。多くのCMOが生成AIの活用(コンテンツ作成、SNSデータ最適化など)に期待を寄せており、これらが課題解決の一助となります。
  • クリエイティブの新たな役割:
    AI時代において、クリエイティブは「新たなターゲティング手法の一つ」。優れたクリエイティブはユーザーアクションを喚起しコストを最適化するため、インサイトに基づいたAIを前提としたクリエイティブ開発が広告主にとって不可欠です。(ある調査では、ブランド力強化を狙ったInstagram出稿は総予算の1/4が最適という結果も示されました。)

ただし、広告主にとっては新たな挑戦も必要になってきました。AI学習を進めるためにはデータ活用も重要です。しかし、活用できる状態ではなかったり、チームごとに分断されていることがよくあります。そのため、広告主は、データ・組織の課題を乗り越え、AIを前提としたクリエイティブ開発に取り組む必要があるのです。

資生堂のInstagram×AI活用事例と組織的アプローチ

本セッションでは、Facebook Japan 営業部長 丸山祐子氏がモデレーターを務め、資生堂のクレ・ド・ポー ボーテ ブランド事業部の千葉裕也氏、エリクシールなどを担当するエイジングケアマーケティング部の小暮亮祐氏が登壇。

高い成長率を誇る資生堂がInstagramへの投資を強化する背景、AIを活用したブランドごとの具体的な成功事例、そしてそれを支える組織的な取り組みについて、具体的な数値や事例を交えながら紹介されました。

資生堂のInstagram×AI活用事例セッションの様子

全社で推進するDXと、Instagramへの戦略的投資の背景

資生堂は近年、デジタルおよびInstagramへの広告出稿額を大幅に増加(2023年から2024年にかけて+58%)。その背景には、顧客の購買行動の大きな変化があります。

  • 購買行動の変化とInstagramの役割:
    来店前に購入商品を決定する顧客が6~7割を占め、実店舗購入においてもデジタルでの事前認知・検討が不可欠に。特に化粧品情報を得るSNSとして、全世代でInstagramがトップクラスの影響力を持っています。また、消費者は本格的な肌効果や成分を重視する傾向が強まっています(「自己編集型メリハリ消費」)。
  • 組織としての本気度:
    この変化に対応すべく、資生堂は宣伝部とは別に各事業部にデジタル専任者を配置。Metaによる大規模な勉強会(300人以上参加)や事業部横断でのQBR(Quarterly Business Review)による進捗確認、成功事例の共有(スコアカード活用)など、組織全体でデジタルケイパビリティ(デジタル技術を活用したビジネスモデルを変革や価値創出)に取り組んでいます。博報堂、Metaとの3社連携でPDCAを迅速に回す体制も構築しました。

AI×Instagramが生んだ「クレ・ド・ポー ボーテ」と「エリクシール」成功の秘訣

具体的なブランド事例として、ターゲット層や課題の異なる「クレ・ド・ポー ボーテ」と「エリクシール」の取り組みが紹介されました。

◼︎クレ・ド・ポー ボーテ(ラグジュアリーブランド)の挑戦と成果

  • 課題: ターゲットを限定したマスマーケティングからの質的拡大、第三者視点の発信強化(パートナーシップ広告1%以下)、グローバルアセット展開下でのクリエイティブ多様化をどう図っていくか
  • AI×Instagram活用: ファーストパーティデータを活用した類似配信(アートや金融など新たなアフィニティも検証)、ターゲットフリークエンシー活用でリーチの質的拡大とCPC減少を実現。クリエイター連携を強化(パートナーシップ広告比率1%程度→28%)。LlamaインサイトをMeta AIに取り込み縦長動画のストーリーボードを作成、コレクション広告活用で既存アセットからも多面的に訴求し、高いアテンションを獲得。
  • 成果: 業界平均の15.3倍という高いブランド好意度を達成し、実購入にも繋がる結果を得ました。

◼︎エリクシール(中価格帯ブランド)の挑戦と成果

  • 課題: データ活用環境の未整備(当初CPA未導入)、ダイレクト広告への投資による認知への影響懸念、クリエイティブアセット数の限界。
  • AI×Instagram活用: コンバージョンAPI導入などデータ環境を整備し、AI学習の質を向上(データスコア5.5点→8.1点)。パフォーマンス目的のキャンペーンでも広告想起・購入意向向上に貢献。AIを活用し、限られたアセットからレイヤー(あしらい、コピー、商品素材等)ごとに予測・作成し、出稿前にバナースコアを算定することで無駄打ちを削減。
  • 成果: コンバージョン数+9%、獲得単価-55%という大きな成果を達成

資生堂の事例からは、変化する顧客行動と市場環境に対応するため、全社的な組織改革とデジタルへの強いコミットメントが不可欠であることがわかりました。そして、InstagramとAIを戦略的に活用することで、ラグジュアリーから中価格帯まで、各ブランドの特性に合わせた課題解決と高いビジネス成長を実現できることを証明しています。

AIはあくまでツールであり、明確な目的とゴール設定、そしてそれを使いこなすための組織体制とスピーディーなPDCAサイクルが成功の鍵となることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

EC・電子書籍業界に学ぶ、Instagramで成果を出すミドルファネル戦略

ダイレクト広告中心だった企業も、市場の成熟と共にブランディングやミドルファネルへの投資を強化しています。
本セッションでは、Facebook Japan クライアントパートナー 豊井みのり氏がモデレーターを務め、NTTソルマーレ(コミックシーモア)の坂元富士太氏と楽天グループ(楽天市場)の尾崎諭氏が登壇。

両社が獲得効果の見えにくいブランド広告やミドルファネル施策に投資する理由、Instagram(Meta広告)を活用するメリット、具体的な配信・効果測定方法、そして今後の展望について語りました。

EC・電子書籍業界に学ぶ、Instagramで成果を出すミドルファネル戦略セッションの様子

なぜ今、ブランド広告・ミドルファネル投資が重要なのか?コミックシーモア・楽天市場の視点

市場拡大に伴う競争激化の中、短期的な獲得指標だけでなく、中長期的な成長を見据えたブランド構築と顧客育成が不可欠です。

  • コミックシーモアの視点:競合激化と差別化
    市場のプレイヤー増加に対し、ブランド広告で差別化を図る必要性を強調。
    ライト層の囲い込みとロイヤル化: ブランド広告でライト層に「コミックシーモア」を印象づけ、利用意向を醸成。さらに、既存ユーザーに対してもサービスの多様な価値を伝え(動画なども活用)、ロイヤルユーザー化を促進。
  • 楽天市場の視点「想起」の重要性と効果測定の進化
    「お買い物と言ったら楽天市場」という第一想起を獲得し、継続的な売上拡大を目指す上で、ブランド広告による利用意向の醸成がKPI。効果測定の進化もありテレビCM等も含めた横断的な第三者計測や、コンバージョンリフト(サブKPI)も重視するように。

Instagram(Meta広告)を活用したミドルファネル戦略と効果測定の最前線

両社は、Instagram(Meta)の特性を活かし、ミドルファネル戦略を推進しています。その鍵となるのが、精緻なデータ分析と効果測定です。

  • クリエイティブと計測
    縦型動画などInstagramに最適化された専用クリエイティブを強化し、ブランドリフト調査で効果を測定。ダイレクト広告(商品訴求)とブランド広告(エンタメ感・利用意向向上)でメッセージを使い分け。
  • コンバージョンリフトの「残存効果」
    Metaのデータクリーンルームを活用し、広告配信「後」も効果が持続・成長する「残存効果」を検証。結果、残存効果を加味するとリフトは約3倍になることが判明。この発見により、ミドルファネル活用の価値を再確認し、約1ヶ月ごとの継続的な投資の重要性も認識。
  • 訴求とクリエイティブ
    競合優位性のある店舗やジャンルを中心に、縦型・音ありなどモバイルに最適化された動画広告で訴求。認知が蓄積されるクリエイティブ設計を意識。
  • Advanced Analyticsの活用
    Metaのデータクリーンルーム「Advanced Analytics」(Metaデータ+第三者データ+広告主データで人ベース分析)を活用。流入・購入双方のリフト傾向、特に新規・離脱・ライト層での高い購入リフトを確認。数ヶ月単位でのPDCAによる分析方法とデータ収集の改善を継続。

EC・電子書籍といった競争の激しい業界において、これまではダイレクト広告中心に活用されてきました。しかし、これからビジネスを継続的に拡大するためには、ダイレクトな獲得施策だけでなく、ミドルファネルへのアプローチ、すなわちブランドの利用意向を高め、将来の顧客を育成する戦略が重要になってきます。

Instagram(Meta広告)は、幅広い層へのリーチ力と、データクリーンルーム等を通じた精緻な効果測定機能を提供することで、このミドルファネル戦略の強力なパートナーとなり得ます。

ブランド広告は短期的な成果が見えにくい側面もありますが、マーケターは今後の成長を見据え「覚悟とコミットメントを持ってデータに基づいたPDCAを回していく」ことが、将来の大きな成長のために求められてきそうです。

まとめ|AIと感性の融合が生む次世代マーケティング – Meta Festival 2025から学ぶ実践的ヒント

Meta Festival Japan 2025は、AIがマーケティングの各領域を新たな次元へと押し上げる可能性を明確に示しました。本記事で紹介したトップ企業の先進事例やMetaの最新AI戦略から、これからのマーケターがAIとどう向き合い、活用すべきかの実践的なヒントを以下に凝縮します。

  1. AIは強力な「相棒」:定型業務自動化と戦略的思考へのシフト
  2. パーソナライゼーションの深化:自ら検索するような「自分ごと化」を促す
  3. 成果最大化の鍵:「質の高いデータ活用」と「迅速な組織変革」
  4. ミドルファネル攻略とクリエイティブの再定義:獲得施策+ブランディングで中長期的成長を目指す
  5. まずは小さな成功体験から:スモールスタートでAIツールを試す

Meta Festival Japanまとめ:AIは最強の相棒、パーソナライズの深化、データと組織改革、ミドルファネル強化、スモールスタートで実践

AIと人間の感性が融合することで、マーケティングはよりパーソナライズされて、効果的、そして創造的な領域へと進化します。本イベントで示された未来の片鱗を掴み、自社のマーケティング活動を次のステージへと進める一助となれば幸いです。


本イベントで紹介されたAI戦略やInstagram活用の高度化は、専門的な知見や運用体制が求められることも事実です。AI時代において、Meta広告やInstagram・Threads・FacebookといったSNSプラットフォームを最大限に活用し、成果に繋げるためには、内製化だけでは難しい場合もあります。そのような場合は、専門家のサポートも有効な選択肢となります。

We Love Socialを運営する株式会社コムニコでもMeta広告やInstagram・Threads・Facebook運用支援・コンサルティングを行っています。SNS黎明期である2008年に創業し、これまで大手企業を中心に2,600件以上*の運用支援をしてきました。(*2024年10月時点)

コムニコでは、この豊富な実績と最新の知見に基づき、お客様のSNSマーケティング戦略をトータルでサポートします。

Meta広告の最新AI機能を活用して広告効果を最大化したい、Instagramでのエンゲージメントやコンバージョンをさらに高めたい、あるいはLLMO戦略の一環としてSNS上でのブランド価値向上を目指したい、といった課題をお持ちでしたら、ぜひコムニコにご相談ください。

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