Instagram上で「タイアップ投稿」と書かれた投稿を見たことはありませんか?
「タイアップ投稿」とはInstagramが提供するブランドコンテンツツールを利用した投稿ラベルのことです。投稿時に企業とクリエイター(インフルエンサー)が設定して協業していることを示すものです。
昨今はコンテンツ量が多く、信頼できるインフルエンサーのおすすめを参考にして商品やサービスを購入する人が増加しています。企業がインフルエンサー活用を行う際に気をつけたい透明性をわかりやすく示すことができ、また分析などの管理が容易になるものですから、ぜひ利用していきたいところです。
では、ブランドコンテンツはどのように実施し、その効果を分析していくべきでしょうか?
この記事では、ブランドコンテンツについて基本を学び、設定のやり方や分析方法を解説します。
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ブランドコンテンツ(タイアップ投稿)って何?
タイアップ投稿とは?
Instagram上で「タイアップ投稿」と書かれた投稿のことを「ブランドコンテンツ」と呼びます。企業やブランドがクリエイター(インフルエンサー)に対して商品やサービスをPRしてもらう場合に、企業やブランドとの関係性を明らかにするために必要です。金銭が発生している場合やギフティングを行う場合は必ず設定しておくようにしましょう。
ブランドコンテンツツール(タイアップ投稿ラベル)の必要性
「タイアップ投稿」の表示は、その投稿を行っているインフルエンサーと、投稿で言及されている商品やサービスの提供元の企業がビジネスの協業関係にあることを明示するものです。これは、投稿を行う際に企業とインフルエンサーの双方で操作を行うことによって設定することができます。
2022年10月に開催された「House of Instagram Japan」内で、 #PR や #タイアップ といったハッシュタグ表記は非推奨と公表されています。そのため、ハッシュタグ表記だけではなく、ブランドコンテンツとしてタイアップ投稿ラベルをつけるようにしましょう。
参考記事:House of Instagram2022開催レポート-マーケティングを加速させる4つのHOW
■ブランドコンテンツを活用するメリット
①投稿の分析ができる
ブランドコンテンツの設定を行うことで、インフルエンサーが行った投稿のインサイトが企業側でもリアルタイムで閲覧できるようになり、分析にも役立てられるようになります。(詳しい閲覧方法は後段で紹介)
②広告利用ができる
ブランドコンテンツの設定を行った投稿は、そのまま広告として配信できるようになります(ブランドコンテンツ広告)。それによって、インフルエンサーのフォロワー以外にも幅広くリーチすることができ、実際の使用感などを合わせた効果的な広告配信を行えます。
③コンテンツの透明性が上がる
投稿がブランドコンテンツであると明示することは、その投稿に対価が発生していることをユーザーやファンに伝えることを意味します。
一方で、投稿に対価が発生しているにもかかわらず、それを明示していない場合はステルスマーケティング(ステマ)となり、宣伝であることを意図的に隠しているとユーザーに受け取られて批判の対象になります。そうなれば、企業やブランドのイメージを下げるだけでなく、炎上につながってしまう可能性もあります。
リスクを回避し、企業やブランドにクリーンな印象を与えて信頼性を向上するためにも、インフルエンサーと協業する場合にはブランドコンテンツを利用したいものです。
また、アメリカ国内ではコミュニティポリシーが新設され、ブランドコンテンツツールを積極的に活用していくことが必要と示されました。
④ステマ規制対策
日本でも2023年10月以降、ステマ(ステルスマーケティング)が『不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法、景表法ともいう)』の禁止行為に指定され、「#PR」「#タイアップ」などの表記だけでは許されなくなっています。
規制の対象となるのは、提供した事業者(広告主)です。 違反した場合は、再発防止を求める措置命令が出され、広告を依頼した事業者名が公表されます。 措置命令に従わない場合は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金などが科されます。
そのため、インフルエンサー施策やギフティング施策を行った場合、広告主である事業者はインフルエンサーに対して、ブランドコンテンツツールの利用やPR手法について伝え、違反のないようにしてもらう必要があります。
詳細については参考記事もご確認ください。Instagramのほか、X(Twitter)やYouTube、TikTokで使える機能を紹介しています。
参考記事:ステルスマーケティング(ステマ)規制とは?インフルエンサー案件は要注意!
PR手法については、コムニコなどのSNS運用代理店に依頼して進めると安心です。
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■ブランドコンテンツツールを活用するデメリット
タイアップ投稿ラベルをつけるデメリットは現在のところありません。
インフルエンサーによっては、「タイアップ投稿だけインプレッションが低い」と感じられる場合もあるようです。しかし、後述するアカウントステータスに何も問題がない場合は、アルゴリズムによる制限はありません。考えられる原因としては、その投稿がフォロワーにとって興味が湧きづらい内容となっており、いいねやコメントなどのアクションが少なく、結果としてインプレッションやリーチが下がったというところであると、Metaは公式セミナーで回答しています。
ブランドコンテンツツールを活用したタイアップ投稿であっても、フォロワーが喜んでもらえるようなコンテンツづくりをしていくのが良いでしょう。
ブランドコンテンツ事例
ブランドコンテンツとして投稿すると、ブランドコンテンツタグとして「○○とのタイアップ投稿」と明示される上に、そこからタイアップ先に遷移できるようになり、その投稿がどのビジネスと結びついているかが明確になります。
旅行・レジャー業界事例:Klook(クルック)
こちらは、旅行・レジャー予約サイト「Klook(クルック)」のブランドコンテンツです。投稿の上部でKlookのブランドコンテンツであることを明示しているため、本文の最初からユニバーサルスタジオジャパンに訪れたことに触れ、その楽しい雰囲気を存分に伝えることができています。これほどユニバーサルスタジオジャパンを中心とした投稿にしても何の宣伝であるかがミスリードにならず、「楽しそうだから行ってみたい、それにはKlookがお得だ」という印象を与えています。
EC業界事例:「NAIL TOWN(ネイルタウン)」
こちらは、ジェルネイル用品を取り扱う通販サイト「NAIL TOWN(ネイルタウン)」のブランドコンテンツです。個人店を営むネイリストとの協業で、簡単な活用ポイントなどもあわせて紹介してもらうことで、「自分もやってみたい、通販サイトを覗いてみようかな」といった行動を後押ししています。
ブランドコンテンツ(タイアップ投稿)の実施方法
ブランドコンテンツに紐づくInstagramのアカウントは、ビジネスアカウント(プロアカウント)あるいはクリエイターアカウントにしておく必要があります。また、企業とインフルエンサーのアカウントを紐づけるために、インフルエンサーにタイアップ投稿ラベルの利用をリクエストしてもらい、企業はそれを承認するというステップなども必要になります。
■Instagramアカウントを、プロアカウント(※)に設定する方法
プロアカウントへの切り替えは、プロフィール画面>「設定」から行います。
こちらの記事でも詳しく説明していますので、参考にしてください。
※ブランドコンテンツの投稿はクリエイターアカウントでも行えますが、企業や店舗で利用する場合はプロアカウントが推奨されています。プロアカウントにすると、分析機能やInstagram 広告などのビジネス向け機能が利用できるようになります。
■ブランドコンテンツツールを利用するための設定
ブランドコンテンツツール(タイアップ投稿ラベル)を使うためには、ブランド側とインフルエンサー側双方での設定が必要となります。それぞれ、アカウントにログインした状態で設定を行う必要があります。
【ブランド(企業・団体)側】
ブランドコンテンツを投稿してもらうインフルエンサーが決まったら、ブランド側は事前に承認を行っておきましょう。
インフルエンサーをブランドコンテンツとして承認する方法
- プロフィール画面>「設定」を選択
- 「ビジネス」(または「クリエイター」)を選択
- 「ブランドコンテンツ」を選択
- 「コンテンツクリエイターを承認」を選択
- インフルエンサーを検索し、「承認」を選択
事前の承認を行わなくても、投稿の際にリクエストをもらい、それを承認することでブランドコンテンツの投稿は可能ですが、事前に承認作業を行っておくと、確認が容易になります。もちろん手動で確認することもできます。
事前の承認なしにタグ付けを許可したい場合は、「ブランドコンテンツの承認」設定をオフにすることもできます。
【インフルエンサー(クリエイター)側】
インフルエンサーは、ブランドコンテンツの投稿を行う際にタイアップ投稿ラベルの追加を行うことで、ブランドコンテンツであることを明示できます。
- タイアップ投稿ラベルの追加は、通常と同様に投稿を作成
- キャプション入力画面の下部の「タイアップ投稿ラベルを追加」選択
- 「ブランドパートナーを追加」
- 投稿に紐づけるブランドを選んで「追加」
- ブランドコンテンツ(タイアップ)投稿が完了
初回は、ブランドコンテンツツールを利用できるようにするための設定画面が表示される場合があります。「プロフェッショナルダッシュボード」から画面に従って設定してください。なお、プロフェッショナルダウンロードを表示させるためにはプロアカウントにしておく必要があります。(上記解説)
タイアップ投稿ラベルを利用できない場合は、Instagramが定めるコミュニティガイドラインに違反しているか、収益化ツールに関するポリシーとガイドラインが遵守されていない可能性があります。
確認するためには、設定とプライバシー>詳細とサポート「アカウントステータス」から確認できます。
詳細:https://help.instagram.com/539126347315373
ブランドコンテンツの分析方法
ブランドコンテンツにすることで、インフルエンサーが行った投稿のインサイトも閲覧や分析ができるようになります。指標と分析のための手順をまとめました。
■インフルエンサー活用施策で分析する指標例
インフルエンサーによるタイアップ投稿はどういった指標で分析するべきでしょうか。
特に複数のインフルエンサーを起用する場合は、いいね数以外にも以下のような指標で成果を分析していく必要があります。
- インプレッション数
インフルエンサーとのタイアップは、企業やブランドがサービスや商品を広めるために行います。
そのため、インプレッション数を確認することでユーザーへ届いた数を把握しておくことが必要です。 - 保存数
ユーザーが保存した投稿であるということは、「いつか体験したい」「いつか購入したい」と思ってもらえたことが考えられます。潜在的なファンの数を把握するために活用できるでしょう。 - コメント
ユーザーのどんな声が集まったかを実際に知ることができます。例えば、「行ってみたい!」「買いました」というコメントが多く寄せられていた場合、効果的なインフルエンサーアサインができた可能性が高くなります。
施策中はモニタリング(コメント監視)を行うようにすると、リスク回避にもなります。
インフルエンサーを起用して投稿してもらったらおしまいではなく、分析をして次にアサインするならどんなインフルエンサーがふさわしいか?というところまで繋げられるようにしておきましょう。
いいね数も重要な指標のひとつではありますが、企業のタイアップ投稿としては、インプレッション数・保存数・コメントを重視すると、実際の購買行動へつなげた形で分析を行うことができます。
■インフルエンサー投稿を分析する
では、インフルエンサー投稿はどこから分析できるでしょうか。
ブランドコンテンツのインサイトは、Instagramと連携しているFacebookページの「Metaブランドコラボマネージャ」の「インサイト」から確認できます。確認できる指標は、プロアカウントで見られるインサイト情報と同じです。
参考記事:プロアカウントの使い方とインサイトの見方を基礎から解説!
インフルエンサー投稿分析を確認する方法
- 「Metaブランドコラボマネージャ」の「インサイト」の確認は、Instagramと連携しているFacebookページの「ビジネスマネージャ」を開き、画面左上のメニューボタンから“分析とレポート”の「Metaブランドコラボマネージャ」を開いて行います。
- 「インサイト」を開き、その中の各投稿をクリックすると、より詳細のデータを確認することができます。また、これらの投稿データは、CSVファイルでダウンロードすることができます。
インフルエンサー選定ポイント
では、インフルエンサーとタイアップしたいと考えた場合、人選はどのようにすべきなのでしょうか。「フォロワー数が多いインフルエンサーであれば高い効果が得られる」と考えてしまいがちですが、考慮すべきはフォロワー数だけではありません。効果的なインフルエンサータイアップを行うために必要なポイントとはどんなところでしょうか。
・アカウント発信が商品やサービス内容と合っているか
フォロワーは、そのインフルエンサーが普段発信する内容に興味を持ってフォローしているため、プロモーションしたい商品やサービスの内容が、普段の発信内容と合っているかどうかをチェックしておきましょう。
普段の投稿の雰囲気に統一感があるアカウントであれば、その雰囲気に商品やサービスが合うかどうかも重要です。
・ターゲット層は合っているか
ターゲットの性別や年齢、職業、趣味などの属性が、そのインフルエンサーのフォロワーの属性に合っているかも重要です。ターゲットに合致するフォロワーが多ければ、興味を持ってもらえる可能性も高まります。
・日頃から熱量のあるファンがいるか
フォロワー数が多いことも大事ですが、その中にどれほど熱量の高いファンがいるかも重要です。
たとえば、5万人のフォロワーがいてもその方に熱烈なフォロワーが100人しかいない場合は、熱量の高いフォロワーが100人いる1万人フォロワーの方のようが高い宣伝効果が見込めます。特に好意的なコメントが多く付いているインフルエンサーは、熱量の高いファンが多いと考えることができそうです。
・リスクのあるインフルエンサーではないか
タレントやインフルエンサーは基本的に個人でアカウントを運用しているため、企業のように複数人の目で投稿内容をチェックすることができません。また、自分の意見を発信する場合もあるため、本人に悪気がない投稿でも思いがけず炎上してしまったりと、タレントやインフルエンサーの炎上件数は多くなる傾向にあります。
そこで、インフルエンサーを起用する際には、炎上リスクの高いインフルエンサーではないかということを調査しておくことが必要です。
コムニコでは、タレントやインフルエンサーのCMやタイアップ起用する際に炎上リスク等がないかを事前に調査するサービス「タレント・インフルエンサーデジタルリスク調査」を提供しています。
まとめ:ブランドコンテンツ活用で効果的なプロモーションを
設定に少しの手間はかかりますが、ブランドコンテンツ(タイアップ投稿)にすることで、コンテンツの透明性が明示され、ブランドとの協業からインフルエンサー自身の信頼へつなげることができます。企業やブランド側としても、インフルエンサー投稿のインサイトから効果測定が容易でき、双方へとってメリットが多い機能です。
インフルエンサー施策として結果を分析すれば、インプレッション数を獲得しやすい投稿およびインフルエンサーの傾向や、指標とする保存数・コメント数を獲得しやすい投稿の傾向なども分かるようになっていきます。また、次回はどのようなインフルエンサーを起用するかの判断材料にもなり、よりインフルエンサータイアップの質を上げていくことができそうです。
インフルエンサー活用として、自社の商品やサービスのPRを依頼する際は、ブランドコンテンツを活用していきましょう。
とはいえ、適切なインフルエンサーを選定し、インフルエンサー施策を成功させることは容易なことではありません。
インフルエンサーを起用してみたいけれど自社に知見がなくて不安な場合や、誰かに相談したいという場合は、お気軽にコムニコまでお問い合わせください。
2018年に株式会社コムニコへ入社。コンテンツクリエイターとして、企業・自治体のSNS企画・運用・コンテンツ制作を行う。コムニコが持つ知見を広めるために編集経験を活かして「We Love Social」運営・編集・記事執筆などのコンテンツマーケティングを担当。一般社団法人SNSエキスパート協会認定講師としてSNSに関する安全で正しい知識の啓蒙にも努めている。