ユーザーとのコミュニケーション方法として、ライブ配信が定着してきました。ライブ配信ができるツールは様々ありますが、ここでは企業のSNSアカウント運用との親和性の高いプラットフォームであるYouTube、Instagram、Facebook、Twitterについて、それぞれの特徴、メリット・デメリット、配信方法を解説します。※LINEは、「LINE VOOM」にライブ配信・視聴機能を2023年度中に追加予定
オンラインのコミュニケーションがより重要に
新型コロナウイルスの感染拡大により、新しい生活スタイルが求められるようになっています。人の移動や接触を避けるニューノーマル時代は、リモートワークなどの新しい働き方の普及や、リアル店舗からオンラインショップへの移行など、これまでの事業活動の見直しにつながっています。
消費者行動においては、自宅で過ごす「おうち時間」が増えたことで、オンラインの利用時間が増えています。特に「インターネットショッピング」「有料動画配信サービスで視聴」「動画を無料視聴」などの行為が増えていることが調査結果で明らかになっています。
参考:野村総合研究所 新型コロナウイルス感染拡大で生活におけるデジタル活用が急進展
こうした生活の変化を受け、オンラインのリアルタイムなコミュニケーション方法としてライブ配信(Live配信、ライブ放送)を活用した情報発信やプロモーション、イベント開催などが注目されています。
ライブ配信ができるプラットフォームは様々ありますが、ここでは次のプラットフォームでのライブ配信の特徴や使い方について紹介します。()内はプラットフォーム内のライブ配信の呼び方です。
- YouTube(ライブ配信)
- Instagram(Instagramライブ)
- Twitter(ライブ放送)
- Facebook(ライブ配信)
- LINE(LINE LIVE)
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YouTubeライブ配信
動画プラットフォームのYouTubeは、配信方法、視聴方法が多彩です。ライブ配信では、コメントのやり取りのほか、有料のコメントも用意されており、配信者が収益を得られるような機能も用意されています。
メリット
- 視聴者、配信者、ともにユーザーが多い(月間アクティブユーザー数:7,000万人以上/2022年10月時点)
- Web、アプリ、ゲーム機など、様々な方法で視聴できる
- PC、YouTubeアプリの他、ストリーミング ソフトウェアまたはハードウェア エンコーダを使って配信できる
- コメントで双方向のコミュニケーションがリアルタイムでできる
- チャットのモデレーターを設定できる(コメントの削除など)
- ライブ配信を通して広告収入を得られる(チャンネル登録者数が 1,000人以上、かつ有効な公開動画の総再生時間が直近の12か月間で 4,000時間以上などの条件あり)
- Super ChatやSuper Stickersなど、コメントを通した収益化ができる
参考:YouTubeでライブ配信
デメリット
- 配信者が多いので、埋もれやすい
- チャンネル登録者が少ない場合、ライブ配信告知は別のSNSで行うなど工夫が必要
配信方法
PC、YouTubeアプリ、ストリーミング ソフトウェアまたはハードウェア エンコーダから配信できます。エンコーダからの配信では、複数のマイク、カメラ、ミキサーなどを介して本格的な配信をすることができます。
スマホアプリからの配信では、チャンネル登録者が1,000人以上必要です。スマホアプリの場合は、「ライブ配信を開始」から配信できます。PCからの配信では、PCに接続されたウェブカメラから配信を行います。チャンネル登録者などの条件はありません。
配信にあたっての注意点
ライブ配信を行うには、過去90日間にライブ配信に関する制限を受けていないこと、かつチャンネルの確認(電話番号を登録する)が必要になります。チャンネルの確認から最初の配信まで、最大24時間かかることがあるので、ライブ配信を行う前にテスト配信を行っておきましょう。モバイルからの配信は、チャンネル登録者が1000人以上必要です。
Instagramライブ
Instagramは、ライブ配信によるユーザーとのコミュニケーションを通したプロモーション、商品案内が行いやすいプラットフォームです。その理由は、もともとブランドや製品に関心の高い、アカウントのフォロワーがいるからです。双方向のコミュニケーションで、店舗での接客のようなやり取りができるのが特徴です。
メリット
- アカウントのフォロワーに見てもらいやすい
- エンゲージメントの高いファンにはライブ配信の通知が行く場合がある
- コメントで双方向のコミュニケーションがリアルタイムでできる
- Instagramアプリから簡単に始められる
- 投稿やストーリーズで事前告知、ライブ中に答える質問の募集などができる
- コメントコントロール(承認)設定ができる
- 配信後にアーカイブをリール(動画)に残せる
参考:Instagramライブの設定方法
デメリット
- 最長1時間の制限あり(再開可能)
※公式の発表はないが、フォロワー数や視聴者が多いなどの条件により1時間以上配信できるアカウントもある - PC、ストリーミング専用ソフトウェアなどからの配信ができない
-
注意点:BGMをかけていると突然配信停止(著作権侵害)になることがある
配信方法
Instagramアプリから配信できます。プロフィール画面右上の「+」マークを押して「ライブ」を選択、またはフィードから、スクリーンを右にスワイプすると、ライブ動画を配信できます。
ライブ配信に慣れていない方は、「練習」をすることもできます。ライブの共有範囲で「練習」に設定することでライブ配信を練習することができ、準備ができたら共有範囲を変更して配信することも可能です。
配信にあたっての注意点
最長1時間となっているので、終了時間を意識して配信しましょう。1時間以上になる場合は、再度ライブ配信をスタートすることになります。
コメント自動返信でInstagramライブの効果を最大化
Instagramライブでは、ユーザーからのコメントへの反応など、双方向的なコミュニケーションが重要です。
しかし、すべてのコメントや質問に反応しようとすると、膨大な時間と手間がかかります。効率化のためにも、コメント後にDM上で自動返信を行うInstagramチャットボットツールを活用してみましょう。
よくある質問やコメントには自動返信、複雑な回答が求められる場合には手動返信を実施しましょう。そうすることでユーザーとのコミュニケーションを広げられてInstagramライブの効果を最大化することが可能となります。
引用:https://about.fb.com/ja/news/2021/03/liverooms/
■Instagramチャットボットツール「autou(オウトウ)」
https://www.comnico.jp/products/autou/jp
Instagramチャットボットツール「autou(オウトウ)」は、DMの自動返信を可能にするツールです。
例えば、ライブで紹介した商品に対してコメントを行ったユーザーに対して、ECサイトのリンクや商品情報を案内する、クーポンを配布する、といった購買への導線を作ることが可能です。
ここではライブ配信について解説しましたが、他にもさまざまな施策で活用いただけます。
■autou(オウトウ)の主な機能例■
- ライブ配信やフィード投稿へのコメントやメッセージへの自動応答
- トリガーに応じたシナリオ分岐
- ダイレクトメッセージ上での即時抽選
- 診断コンテンツの作成
詳しい機能についてはこちらをご覧ください。
Facebookライブ配信
Facebookでは、Facebookページ、グループ、イベント、個人アカウントからライブ配信ができます。Facebookページから配信して、プロモーションやイベント中継を行えます。
メリット
- Facebookページからの配信ができるので、フォロワーに届けやすい
- アプリ、PCから配信できる
- 動画ソフトウェア、ハードウェアを使って配信することもできる
- コメント、いいねなどで双方向のコミュニケーションができる
- 任意のコメントを固定する機能がある
- ライブ中にアンケートをとれる機能がある
- 配信後にライブ動画を保存できる
- クロス投稿をオンにしているページに、ライブ動画を配信することができる(ライブクロス)
参考:ライブ動画配信を設定する
デメリット
- Facebook以外からは視聴できない
参考:Facebookでライブ動画を見つけるにはどうすればよいですか。
配信方法
アプリ、PC、動画ソフトウェアから、ライブ放送を配信できます。Facebookアプリから配信する場合は、配信するページに移動して、「ライブ動画」をタップすれば、配信が始まります。
配信にあたっての注意点
配信は、ページ以外に、グループ、イベント、個人アカウントからも配信できますが、Facebookページからの配信が最も機能が豊富です。北米では、Facebook LIVEからショッピングができる機能がありますが、日本ではまだ公開されていません。
Twitterライブ放送
Twitterアカウントからライブ放送を簡単に作成することができます。投稿の作成画面でカメラアイコンをタップし、画面下部にある「ライブ放送する」をタップすることで実施できます。
メリット
- ライブ放送を始めるとツイートとして、フォロワーのタイムラインおよび放送者のプロフィールに表示される
- コメント、ハートで双方向のコミュニケーションができる
- 他のユーザーのライブ放送は、タイムライン・通知・検索・トレンドから探して視聴することができる
参考:Twitter上でライブ放送を作成する方法
デメリット
- ツイートを非公開にしている場合はTwitterからライブ放送を行うことができない
配信方法
投稿の作成画面でカメラアイコンをタップし、画面下部にある「ライブ放送する」をタップすることで実施できます。
配信にあたっての注意点
放送終了後のライブ放送のタイトルとサムネイル画像を変更することができますが、ライブ放送のタイトルは3回までしか変更できないため、ご注意ください。さらに、Twitterに表示されるまでに最長で15分かかる場合があります。
LINEの配信サービスについて
LINEの配信サービスである「LINE LIVE」は、2023年3月31日(金)にサービス提供を終了しています。2023年度中に「LINE VOOM」でライブ配信・視聴機能を追加予定です。
参考:https://lineblog.me/livepress/archives/13318746.html
ライブ配信の機能比較
各プラットフォームの一部の機能を整理しました。自社に合った配信方法を探す際に参考にしてください。
配信アプリ | PCからの |
配信通知 |
双方向の |
アーカイブ |
|
YouTube | 不要 | ○ | × (ユーザー自身が設定) |
○ (コメントの削除機能あり) |
○ |
不要 | × | △ | ○ (コメントの承認機能あり) |
○ |
|
不要 | ○ | × (ユーザー自身が設定) |
○ (アンケート機能あり) |
○ | |
不要 | ○ | ○ | ○ | ○ |
▶︎オンラインライブ配信の企画や配信支援などのご相談はこちら
企業のライブ配信活用事例
今回は、追加のアプリダウンロードが不要で手軽に始められる、YouTube、Instagram、Facebookの3つのプラットフォームで、実際にライブ配信を行っている企業アカウントの事例を紹介します。
プロモーション、イベント中継、オンラインレッスンなど、様々な活用がされています。
■YouTube
ナイキジャパン
https://www.youtube.com/playlist?list=PLm0oWRDX73Gnoe_o-MIVTYz8CuaGwsR9Oナイキジャパンの公式YouTubeでは、毎週木曜の19:30からトレーナーがワークアウトのレッスンをするライブ配信をしています。ヨガ教室、スポーツジムなどに行きにくいコロナ禍で、ライブ配信を見ながら自宅でトレーニングする人も増えています。トレーナーは、ナイキのスタイリッシュなウェアを着用しており、視聴者の購買意欲を刺激します。配信した動画はアーカイブされて、後からでも見ることができます。
参考:https://www.nike.com/jp/ntc-live
ONE CAREER
https://www.youtube.com/channel/UC9pZvPeH3Ic0fnAZXZNJCow/featured学生向け就活口コミサイトの「ONE CAREER」のYouTube公式サイトでは、人材募集中の企業の人事担当者が出演し、YouTubeライブによる企業説明会を配信しています。ライブ配信では、人事担当者による会社說明に加え、司会者とのとのパネルディスカッション、視聴者から募集した質問への回答などが行われています。ライブ放送はアーカイブされていて、後から視聴することもできます。
参考:https://www.onecareer.jp/event_bundles/12
■Instagram
COHINA
https://www.instagram.com/cohina.official/アパレル系Instagramのライブ配信といえば、COHINAと言われるくらい、ライブ配信で存在感を出しているのが、小柄な女性向けのファッションアイテムを販売するCOHINAです。COHINAは、毎日ライブ配信を行っています。155cm以下の小柄女性というターゲットが明確なため、ライブで服を着用して紹介する人もみな小柄な女性で、着用イメージがわきやすくなっています。コメントでは、「●●と組み合わせて見せてほしい」、「●●色があれば欲しい」など、様々な意見や要望、質問が寄せられ、ライブ中に答えています。やり取りを通して生まれる商品もあり、商品開発にも参加できるユーザーコミュニティとしても活性化しています。
参考:https://note.com/cohinaayako/n/ne54f39a187a8
コスモホーム
https://www.instagram.com/cosmohome_style/注文住宅の設計・施工を行うコスモホーム。不動産業界でも、コロナ禍においてはモデルルーム、内覧会などの対面営業がやりにくくなっている中、同社では毎週末にモデルハウスからInstagramでライブ配信を行っています。毎回、家造りに関するテーマを決めて、各分野のプロが登場し、家造りのポイントを解説し、視聴者からの質問にも対応しています。
参考:https://cosmohome-co.com/2020/04/42687/coscosmo/
■Facebook
鈴鹿サーキット
https://www.facebook.com/suzukacircuit/鈴鹿サーキットでは、コロナ禍以前からレースの様子をFacebookやYouTubeでライブ配信していました。最近もF1第5戦70周年記念GPなどのライブ配信をしています。県境を越えた移動がしにくく、サーキットに足を運べない人でもFacebookからライブを楽しんでいます。
参考:https://www.suzukacircuit.jp/
まとめ
新型コロナウイルスの影響により、ライブ配信で臨場感のあるコミュニケーションを実践している企業が増えています。リアルタイムで複数人とコミュニケーションできるライブ配信は、新しい接客スタイルとしてコロナが収束した後でも、購買促進、エンゲージメント向上のために活用されていくでしょう。
紹介したように、ライブ配信ができるプラットフォームは様々あります。それぞれの特性や自社で配信したいコンテンツを検討した上で、最適なプラットフォームで配信してみましょう。どのプラットフォームでも、突発的に配信するよりも、事前に告知を数回行う、あるいは日曜日の午後8時など定時配信をする方が、視聴者を多く集められます。ライブ配信前から入念な準備を行っておきましょう。
なお、コムニコではオンラインライブ配信の企画や配信支援などを行っておりますので、ぜひお問い合わせください。
2017年に株式会社コムニコへ入社し、新規の企画提案営業を経て現在はアカウントプランナーとしてSNSマーケティング支援に携わる。 業界業種問わず、BtoC・BtoB企業の課題解決に向けてSNSアカウントの運用からキャンペーン、広告など幅広く運用支援を行っている。