SNSを活用したいと考える企業は年々増えていますが、SNS運用を行う企業が重視すべきなのが「ビジネスに貢献する成果を出すこと」です。そのためには、「なぜSNS運用を行うか」を明確にすることから始める必要があります。
この記事では、SNS運用の貢献度を測る方法のほか、その前提となる運用目的やKPI・KGIの考え方についてもまとめました。
まずはSNS運用の目的を明確にする
企業がSNS運用を始める前に、まず考えるべきなのはSNSの運用目的です。
SNS運用は、目的ではなく手段の一つ。SNSに限らず、どのようなマーケティング活動においても、まずは目的を考え、その目的を達成するためには「どのような手段や施策を講じるのがいいか」という順番で考えていくことが重要です。
KGIとKPIの違い
マーケティングの目標設定においては、KGIやKPIという言葉がよく聞かれます。
KGI(Key Goal Indicator)は、最終ゴールとなる「目的」を表す指標のことです。それに対し、KPI(Key Performance Indicator)は、その目的達成までの進捗度や達成度を測る、中間的な「目標」を指します。
参考までに、生活者の主な購買行動の流れを表したマーケティングファネルと各段階におけるKGI例、そして、そのKGIに対して企画されることの多い施策例をまとめました。
購買行動モデル | KGI | SNS施策の例 |
認知 | 潜在顧客の認知獲得 | SNS広告・インフルエンサーの活用 |
興味・関心 | ブランド好意度の向上 | キャンペーンの実施・クチコミの活用 |
比較・検討 | 純粋想起率の向上 | 公式アカウントでの情報発信 |
購入 | 購入意向の向上、売上の向上 | SNS広告、インフルエンサー活用 |
リピート | LTV(Life Time Value)の向上 | ソーシャルリスニング・アクティブサポート |
推奨行動 | NPS(Net Promoter Score)の向上 | キャンペーン |
SNS運用での主なKPI指標
一方、KGI達成までの中間指標であるKPIには、各SNSのインサイトや分析ツールなどですぐに計測できる数値を設定し、定期的にウォッチして評価します。例えば、KGIが「潜在顧客の認知獲得」なのであれば、フォロワー数やリーチ数、インプレッション数など、投稿がどれほどの人に届いているかをウォッチすることで、KGIの進捗度が評価できます。
SNS運用でよくKPI指標として用いられるのは、以下のようなものです。
- フォロワー数:アカウントをフォローしているユーザー数
- リーチ数:投稿や広告が到達したユニークユーザー(異なるユーザー)の数。コンテンツがどれだけの人に表示されたかを測る指標。
- インプレッション数:投稿や広告が表示された回数。リーチとは異なり、同じユーザーに複数回表示された場合もカウントされる。
- エンゲージメント数:投稿や広告に対するユーザーのアクションの総数。例として、「いいね」や「コメント」、「シェア」、「クリック」などが含まれる。コンテンツへの関与の度合いを測定する指標。
- エンゲージメント率:エンゲージメント数をリーチ数で割った割合。投稿がどれだけの人にリーチし、その中でどれだけの人が反応したかを示す。
- 反応数:特定のアクション(例:いいね、コメント、シェアなど)に対する総反応数。
- 反応率:反応数をリーチ数で割った割合。投稿が到達した人の中で、特定のアクションを取った人の割合を示す。
- SNS上のUGC数やタグの使用回数:ユーザーがブランドや製品について自発的に作成したコンテンツ(例:写真、レビュー、投稿)の数(UGC数)や、関連するハッシュタグの使用回数。ブランドに対するユーザーの関心や支持の度合いを示し、信頼度や人気度の指標ともなる。
KGIの設定
KGIを設定するときは、まず、組織が何を目指すのか、どのような結果を求めているのかを明確にすることから始めましょう。そこから、企業全体の最終目標として、数値で表せる指標に落とし込みます。指標は、長期にわたって企業全体の成功を測れるものが望ましいです。そうすることで、定期的な調査でその数値の進捗を測り、達成度を評価できるようになります。
KGIの設定が難しいという場合は、コムニコなどSNSマーケティングのプロに相談するのもよいでしょう。
ここからは、実際にKGIとして設定されることが多い指標と確認方法をまとめます。
KGI=購入意向、売上:流入数を確認する
SNS運用の目的として、売上につなげたいと考えている企業は多いでしょう。KGIを売上への貢献度とするのであれば、SNS経由の売上を計測することで、指標とすることができます。SNS経由の売上金額の計測が難しい場合、まずはECサイトへの流入数を計測しましょう。流入数×コンバージョン率×客単価でSNS経由の売上を算出することができるため、SNS運用の貢献度の評価につなげられます。
投稿の詳細から確認
ご紹介したように、各SNSプラットフォームにはインサイト(アナリティクス)機能が備わっています。これらの機能で確認できる各投稿のクリック数やエンゲージメントのデータから、流入数を確認できます。
SNSによっては商品の購入ページに直接誘導できるショッピング機能があり、それを使っている場合は売上を確認することができますが、そうでない場合は、基本的にはどの程度サイトへの流入に貢献しているかを確認するのが良いでしょう。
ECサイトの管理ツールでの確認
ECサイトの多くには、分析機能が備わっています。自社が使用している管理ツールが対応していれば、流入数はそこから確認することができます。
そのほか、Googleアナリティクスを使用している場合は、「集客」レポートの「参照元/メディア」や「ソーシャル」セクションで、どのSNSプラットフォームからどれだけのユーザーが流入しているかを確認することが可能です。さらに、データの流入経路を正しく認識させることができるUTMパラメータをリンクに使用すれば、Googleアナリティクスで特定のキャンペーンや投稿の効果を詳細に分析できるようになります。
KGI=潜在顧客の認知獲得、ブランド好意度:定点調査
KGIを認知や好意度の向上とするのであれば、ファン・フォロワーに向けてのアンケートを半年または1年に1回ほど実施することで、その達成状況を調査することができます。
アンケート調査の実施手順
- アンケートの目的を明確にする:アンケートを通して何を知りたいのかを明確にします。例えば、認知度やブランド好意度、製品に対する満足度など、具体的な目的を設定します。
- ターゲットオーディエンス・SNSプラットフォームの設定:調査の対象となるユーザー層(例:既存顧客、新規顧客、特定の年齢層や地域のユーザーなど)を決め、SNSプラットフォームごとのユーザー属性を考慮して適切なプラットフォームを選定します。各SNSにはそれぞれに異なる機能や強みがあるので、それも確認した上で決めるのがいいでしょう。
- アンケートの設計と質問の作成:アンケートの質問はできるだけ簡潔で明確に設定し、回答者が答えやすいようにしましょう。選択形式の質問では選択肢を絞って提示したり、短文回答を求める形式にしたりといった工夫がおすすめです。
- アンケートのプロモーション:アンケートの作成が終わったら、SNSでの投稿やストーリーズ、プロフィールリンクにアンケートへのリンクを掲載して、プロモーションします。アンケートに参加してもらうために、インセンティブを提供する(例:割引クーポン、プレゼント企画など)ことも、ユーザーの参加を促すのに有効です。
アンケートを自社だけで実施しようとすると、それなりの手間がかかります。そのため、コムニコなどSNS運用に特化した企業に依頼して実施するのが一般的です。
出典:株式会社コムニコ サービス資料より(サービス資料ダウンロードはこちら)
>>コムニコにお問い合わせ:「SNS貢献度調査を依頼」する
日々の投稿数値(KPI)の確認方法
KPI指標の例として前項で挙げた数値は、SNSの公式アナリティクスで確認することができます。
以下に、各SNS上での主な数値の確認方法をご紹介します。
X(Twitter)のアナリティクス
X(Twitter)アナリティクスは、現在サブスクリプション加入者限定となっています。
サブスクリプション加入者は、Xプレミアム>アナリティクスから確認するか、ナビゲーションバーに「 https://ads.x.com/user/(半角英数字のユーザーアカウント)/tweets/ 」と入力することで確認できます。
アナリティクスは、以下のような画面になっています。インプレッション数やエンゲージメント率、フォローの増加数などが見られます。また、数値の推移がグラフで確認できるようになっています。
Xの公式アナリティクスについてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:【2024年最新】X(Twitter)アナリティクスを使った分析・解析方法を徹底解説!
Instagramのアナリティクス
Instagramのアナリティクスである「インサイト」を使用するには、アカウントが「プロアカウント」の設定になっている必要があります。
アカウント全般のインサイトは、スマホアプリ版のプロフィールページにアクセスし、右上のメニューボタンから「インサイト」を選択します。
または、プロフィール文下の「プロフェッショナルダッシュボード」ボタンをタップすると、「リーチしたアカウント」「アクションを実行したアカウント」「合計フォロワー数」「あなたがシェアしたコンテンツ」のインサイトが見られます。
Instagramインサイトについてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:【2024年版】Instagramインサイトの分析・解析方法を徹底解説
Facebookのアナリティクス
Facebookのアナリティクスも、Instagramと同様にインサイトと呼ばれています。Facebookインサイトは、Facebookページの管理者が確認できるようになっています。
インサイトを表示するには、Facebookページの左側のメニューから「インサイト」をクリックします。
以下のような画面で、フォロワー数やフォロワーの属性、「いいね!」数、リーチ数、一つひとつの投稿の詳しいパフォーマンスなどを確認することができます。
Facebookインサイトについてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:Facebookインサイトを使ってFacebookページを分析・解析する方法
TikTokのアナリティクス
TikTokは、ビジネスアカウントの設定にすることで、動画の詳細分析が可能なアナリティクスの「ウェブビジネススイート」が使えるようになります。
「ウェブビジネススイート」は、PCからも確認することができます。TikTok「ウェブビジネススイート」へは、アイコンから「ビジネススイート」を選択します。
「ウェブビジネススイート」では、動画の視聴数や視聴者リーチ(動画を1本以上見た人の数)、プロフィール閲覧回数、いいね数、シェア数、コメント数、新規フォロワー数などの数値が確認できます。
TikTokインサイトについてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:【PCでTikTokを分析】TikTokビジネスアカウント切り替え方法・インサイトの見方
このように、SNSによって項目には多少違いがあるものの、公式アナリティクスでは主な指標を確認することができます。しかし、一つひとつの数値を確認しようとすると時間がかかってしまったり、必要な数値だけを絞るといったアレンジができなかったりもするため、使いづらい面もあります。そこで、SNSの詳しい分析には、「コムニコ マーケティングスイート」などのSNS分析機能を持つSNSツールの導入が便利です。
>>SNS投稿管理ツール「コムニコ マーケティングスイート」資料請求・お問い合わせ
日々の投稿分析を自動化しよう
ここまで、SNS貢献度を測るための手法として、日々の投稿を確認してKPI・KGI進捗を追うことを説明してきました。しかし、無料で使える公式ツールからのレポーティングは手間がかかる上に、SNSについて詳しい人でなければ理解が難しいという問題があります。また、アカウント数が増えれば増えるほど、かかる時間も増加していきます。
そこでおすすめしたいのが、ツールの活用です。ツールを使って業務を効率化すれば分析にかかる時間が抑えられ、その分、企画や投稿クリエイティブの作成に時間をかけることができるようになります。結果として、運用の成果につながっていくというわけです。
コムニコが提供している「コムニコ マーケティングスイート」は、Instagram、X(Twitter)、Facebook、TikTokに対応している、投稿管理および効果測定の支援ツールです。なかでも、自社のKPIに合わせて必要な数値だけを選定して表示できるサマリー機能が便利です。
「コムニコマーケティングスイート」の詳しい機能や、それらを使ったレポート作成のポイントを詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
参考記事:SNS運用を成功に導く!ツールを活用したレポートの作り方
KPI:日々の投稿数値が確認できる
「コムニコ マーケティングスイート」の分析機能では、投稿ごとに、リポスト(リツイート)・シェアやいいね、クリックなどのデータが確認できます。
表示列のカスタマイズも可能で、見たい数値を見たい順に並べることができます。また、「リポストが多い順に並べ替える」、「エンゲージメント率が高い順に並べ替える」など、分析機能にあるすべての項目でソートをかけることができるため、簡単に日々の数値確認ができるようになります。
KPI:Instagram上のUGCやタグの数が確認できる
Instagramクチコミ分析の機能では、製品やブランドがInstagram上でどのように語られているかの定期的なチェックができます。投稿数や投稿内容から、製品の改善やアカウント運用への気づきを得て、ビジネスに生かしましょう。
また、指定したハッシュタグと併せて使用されているハッシュタグを、ワードクラウド形式で表示することもできます。指定したハッシュタグの周辺ハッシュタグを調べれば、クチコミの傾向が把握できます。
KPI・KGI:レポートを自動で作成
Excelレポート機能を使用すれば、データの集計やグラフの作成に時間をかける必要はなく、ボタンを押すだけで、数秒で月次レポートが作成できます。レポートには、過去半年間のデータ推移や当月のフォロワー数推移、投稿一覧などが含まれます。
まとめ:運用目的を整理してSNSの貢献度を確認しよう
SNS運用で成果を出すためには、まず、運用目的を明確化し、KGIとなる数値を設定することが重要です。SNSの貢献度の測定方法は、KGIが売上であれば流入数、認知や好意度の向上であればアンケート調査など、その目的に応じて変化します。
また、KGIの達成度を定期的に測るための中間指標であるKPIには、各SNSのインサイトや分析ツールなどですぐに計測できる数値を設定します。各SNSで提供されているインサイトは無料で使うことができますが、レポーティングには手間や時間がかかるため、コムニコなどが提供する分析ツールの活用が便利です。また、ツールを活用することで、より効果的な運用につなげることもできるようになります。ぜひ検討してみてください。
>>「コムニコ マーケティングスイート」資料請求・お問い合わせ
また、SNSのKGI・KPIの設定や、効果測定のやり方などにお困りの場合は、お気軽にコムニコにご相談ください。
>>SNS運用はコムニコにお任せ!サービス内容や支援実績資料をダウンロード
>>コムニコにお問い合わせ:「SNS貢献度調査を依頼」する
コンサルタントとして入社し業界問わず案件を担当。その後マーケティングチームに所属し様々なSNSアカウントの運用経験を活かしながら、記事執筆やセミナーの運営に従事している。