SNSマーケティングを成功させるには、ただ投稿するだけではなく、ターゲットに合わせた施策の選定が重要です。特に飲料・食品業界は視覚的な訴求との相性が良いため、インフルエンサーの活用がカギとなります。
今回は、SNSマーケティングのプロフェッショナルであるコムニコの最新ウェビナーを元に、SNSインフルエンサー施策の一歩先を行く活用法をご紹介。ブランドの認知から購買までをカバーするインフルエンサー施策や、インフルエンサーとの連携方法など、実際の成功事例を交えて解説します。
>>サービス資料DL:食インフルエンサーサービス「ライフ イン ザ キッチン」とは?
飲料・食品業界がインフルエンサーをどう活用していくか?
近年、SNSは消費者とブランドをつなぐ重要なツールとして、影響力を増しています。その中で「インフルエンサーマーケティング」に注目する方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、ただ単にPR投稿を行うだけでは、競争が激化する中で埋もれてしまう可能性があります。
そこで、株式会社コムニコでは、「PR投稿だけじゃない!一歩先のSNSインフルエンサー活用法」をテーマに、インフルエンサーを活用した新しいアプローチを提案すべく、2025年4月25日にセミナーを開催。
特に飲料・食品業界において、料理研究家や飲食系インフルエンサーを活用することで、ターゲット層へのリーチやエンゲージメントを向上させる方法を具体的に解説しました。
インフルエンサーは、単なるPR投稿だけではなく、ブランドとの信頼関係を築く重要なパートナーです。インフルエンサー活用の新たな視点をマーケティング戦略に役立てていただきたく、ウェビナーを元に記事化しました。
登壇者情報:
株式会社コムニコ 青田 広
食・ライフスタイル企業向けのオンライン・オフラインサービスの「ライフ イン ザ キッチン(Life in the Kitchen)」担当。独立系経営コンサル会社にて、長年、食品・小売・ライフスタイル企業を対象に経営・マーケティングのコンサルティングサービスを提供。食インフルエンサーのネットワークを活用した「ライフ イン ザ キッチン」を立ち上げ、2025年よりコムニコに入社。オンライン・オフライン施策の両方に精通している。
モデレーター:株式会社コムニコ 北村 類希
2016年に株式会社コムニコへ入社。SNSコンサルタントとして大手飲料メーカー、食品メーカー、金融、地方自治体など、数多くの企業のSNSマーケティング支援に従事。
現在はエバンジェリストとして、社内外を問わずSNSマーケティングに関するセミナー/ウェビナー/勉強会などに多数登壇。コムニコで培った知見を活かして、一般社団法人SNSエキスパート協会の認定講師としても活動しており、SNSの正しい知識を持つ人材育成に注力。
インフルエンサー施策の基本と効果
インフルエンサーは、SNS上で影響力のある人物やクリエイターのことです。インフルエンサーマーケティングとは、そうしたインフルエンサーを活用したマーケティング施策を指します。
近年、インフルエンサーマーケティングの市場は大きく拡大しています。その勢いはまだまだ衰えを知らず、2029年までの市場予測*においても、すべての主要なSNSで順調に伸長していくと考えられています。
インフルエンサーマーケティングという言葉を聞くと、ハッシュタグ「PR」(#PR)などが付けられた「PR投稿」を思い浮かべる人が多いのではないかと思います。もちろんPR投稿もインフルエンサーマーケティングの一つですが、インフルエンサーをアンバサダーとして起用し、長期にわたってプロモーションを行っていくアンバサダー施策などもあります。
単発のPR投稿は、その投稿を目にした人たちがLPに飛んだり、商品の購入を即時検討したりと、瞬間的な効果が見込めます。一方、アンバサダー施策は、ファンの育成など、長期的な目線で見たときに成果が現れます。インフルエンサー施策と一口に言っても、そのやり方によって得られる成果が異なるため、目的に合わせて最適な手法を選ぶようにしましょう。
インフルエンサーは、X(Twitter)やInstagram、YouTube、TikTokなど、どのSNSにも存在します。基本的にはどのSNSであってもインフルエンサー施策のやり方に違いはありません。
「ライフ イン ザ キッチン」とは
株式会社コムニコでは、2025年1月から食分野に特化したインフルエンサーマーケティング支援サービス
「ライフ イン ザ キッチン(Life in the Kitchen)」 の提供を本格的に開始しました。
>>サービス資料:食インフルエンサーサービス「ライフ イン ザ キッチン」とは
「ライフ イン ザ キッチン」は、企業と食のインフルエンサーをつなげるサービスです。料理やレシピ、飲食シーンの画像や動画はSNSで映えるため、飲料・食品業界とインフルエンサーは、非常に相性が良いと言えます。「ライフ イン ザ キッチン」は、SNSにおけるPR投稿やレシピ開発、インフルエンサーを集めたワークショップの開催、料理教室とのタイアップ、サンプリング、SNSの運用代行など、オンラインだけでなくオフラインの施策にも対応しています。
サービスの最大の特徴は、約2,000名という日本最大級の食インフルエンサーのネットワークを持っていること。
インフルエンサーの中に料理教室を個人で主催している料理家もいるため、料理教室を活用した施策が展開できるようになっています。また、料理ジャンルが和食やイタリアン、フレンチ、発酵、ワンパン、ずぼらなどと多様化していますが、ジャンルに合致したインフルエンサーを起用することで、特定のジャンルを目掛けたプロモーションを打つことができます。
一般的なインフルエンサー施策は、SNSのPR投稿やレシピ開発によって、認知の獲得や興味関心の向上にアプローチします。「ライフ イン ザ キッチン」は、認知の獲得や興味関心の向上だけでなく、オンラインとオフラインの施策を組み合わせることで、購入やロイヤリティの向上も期待できます。
飲料業界における成功事例
乳製品のメーカー様の事例では、4年にわたってさまざまなインフルエンサー施策を展開。ベースとして、食インフルエンサーにアンバサダーになっていただくアンバサダー施策を年単位で実施しながら、定期的な料理教室とのタイアップやレシピ開発、そしてブランドワークショップやブランドサイト、オウンドメディアの運営なども行っています。
その成果として、ブランドの商品のラインナップが拡充し、売上も増加。また、タイアップした料理教室に通う生徒の方々が、ECで継続的に購入するロイヤルユーザーになりました。
ほかにも、メインの料理とのペアリングという形で、メニュー開発や料理教室でのタイアップなど、さまざまな施策が展開できます。
国内大手コーヒー製造企業様の事例では、250の料理教室とタイアップし、コーヒーとある食材のペアリングといった形で、新しい飲み方の提案を行いました。
また、国内大手飲料食品メーカー様の事例でも250の料理教室とタイアップし、ワインのプロモーションの一環として、それぞれの料理教室で料理とワインのペアリングを体験していただきました。
食品業界の施策別活用事例
もちろん食品業界においても、さまざまな施策が展開できます。
■ワークショップ
スーパー様の事例では、食インフルエンサー向けのワークショップを開催。食のインフルエンサーを複数人招待し、実際に商品を体験していただいたり、ブランドの背景を紹介したりしました。
実施後は、参加したインフルエンサーの方々によるSNSのPR投稿やイベントレポートなどが見られました。
また、開催企業様は、自社で運営しているオウンドメディアでの記事化や、SNSへワークショップの様子を撮影した動画の投稿も実施。さらに、このワークショップの内容をアレンジして、SNSで募集した一般のファンの方々に向けたファンミーティングも開催しました。こうした施策の展開は、ロイヤルユーザーの育成も期待できます。
■レシピ開発
家電メーカー様の事例では、レシピ開発を実施しました。四半期ごとに15レシピを開発し、開発した総レシピ数は150にものぼります。また、レシピサイトの制作や、印刷物であるレシピパンフレットの制作も行っています。
調味料メーカー様の事例では、年単位で食インフルエンサーのアンバサダー施策を展開しています。アンバサダーになっていただいたのは、プロの料理家の方々。そうしたアンバサダーの方々に、SNSのPR投稿やレシピ開発をしていただいたり、定期的に商品開発のための定性ヒアリングを行ったりしています。
インフルエンサー活用のポイント
料理教室タイアップのポイント
料理家が個人で主催する料理教室とタイアップした施策です。料理教室は全国におよそ2,500ほどあり、1教室の生徒数は50~100人ほど。単純に計算して、全国の料理教室に少なくとも12.5万世帯が紐づいていることになります。「ライフ イン ザ キッチン」は、その8割にあたる2,000教室程度をカバーしています。料理ジャンルも、パンやイタリアン、フレンチ、健康食品など、多岐にわたります。
生徒の多くは、20~50代の女性。食に対して非常に高い興味を持っており、自分で料理をつくるのが好きなのはもちろん、料理や食にお金を使うといった傾向があります。
料理教室とタイアップを行う場合のポイントは、まず先生である料理家に商品を試していただき、ブランドや商品をしっかりと理解してもらった上で、各教室でレッスンをしていただくようにすること。このプロセスを踏むことで、生徒の方々の理解も深まり、最終的には本当に商品を好きになってもらうことにつながります。
通販食品企業様の料理教室タイアップ事例では、50教室とタイアップし、約2,500人の生徒の方々に商品を体験していただきました。食インフルエンサーである先生にはSNSでPR投稿を行っていただいたほか、その商品はECでの販売も行っていたため、生徒の方々に対してECでの特売の案内もしていただきました。
生鮮食品企業様の事例では、特定の商圏にあるスーパーと連携した料理教室タイアップ企画を実施しました。とある商圏の中でスーパーに近い料理教室をピックアップし、タイアップ。それによって、生徒の方々がそれらのスーパーで商品を買う流れをつくったり、スーパーへの営業活動に役立てたりしました。ECでの販売は行っていないというメーカー様でも、購買行動を後押しできる施策です。
レシピ開発・SNS PR投稿のポイント
インフルエンサーと一口に言っても、「ライフ イン ザ キッチン」には何万人というフォロワーを持つ人もいれば、フォロワーが数千人といったマイクロインフルエンサーも存在します。インフルエンサー施策というと、できるだけ多くのフォロワーを持つ人にPR投稿を1回してもらうということを考える場合が多いかもしれませんが、実はフォロワー数千人のマイクロインフルエンサーを何人も起用するといった方法もあります。
たとえば、フォロワー15万人のインフルエンサーを1人起用する代わりに、フォロワー3,000人のマイクロインフルエンサーを50人起用し、レシピ開発とSNSのPR投稿を依頼したとします。すると、リーチするのべフォロワー数は同じでも、レシピ数は50本となるわけです。
実際にフォロワー3,000人のマイクロインフルエンサーを50人起用し、レシピ開発とSNSのPR投稿を依頼した大手食品メーカー様の事例では、成果としてレシピが50本得られたことに加え、高い反応率も得られました。フォロワーが15万人の有名インフルエンサーであれば反応率が良くて2~3%ですが、この事例ではその数倍の8%となりました。
インフルエンサー選定のポイント
起用するインフルエンサーを選定する際のポイントは、インフルエンサーの属性データをできるだけ細かく把握し、本当に自社のニーズに合う人を選ぶことです。
一般的には、フォロワー数と料理ジャンルを参考にする場合が多いかと思いますが、「ライフ イン ザ キッチン」は一人ひとりのインフルエンサーについて豊富な属性データを持っています。たとえば、過去の経歴や実績、運営している料理教室の有無やその生徒数、レシピのテイスト、居住地域など。エリアや沿線で絞って料理家をピックアップし、地域の小売店やポップアップストア、イベントなどに送客するといった施策も可能です。
効果測定と分析、改善で成果につなげる
効果測定の指標は、施策の内容によって異なります。
SNSのPR投稿であれば、起用したインフルエンサーの総フォロワー数や、そこに向けて発信した際の反応数を指標とするのが一般的です。それに加えて、インフルエンサーに開発してもらったレシピを企業のサイトに掲載する場合などは、レシピ数を一つの指標にすることもあります。
料理教室とのタイアップであれば、体験した生徒数はやはり重要です。また、先生や生徒の方々に、商品を体験してみてどうだったかという定性調査を実施する場合もあります。料理教室の周辺にあるスーパーでの販売状況や売上(POSデータ)、EC上で生徒向けの特売などを行った場合はその販売数などを指標にしてもいいでしょう。
豆腐メーカー様の事例では、タイアップ後に料理教室の先生に調査を行ったところ、生徒の反応が「とても良かった」「良かった」という回答が全体の96%となり、この結果をいろいろな営業活動に生かしています。
食インフルエンサーを集めたワークショップであれば、SNSのPR投稿における指標に加えて、インフルエンサーへの定性調査を行って反応をうかがうことも可能です。
まとめ
インフルエンサーマーケティングの市場は、今後も変わらず拡大していくと考えられています。飲料・食品業界はインフルエンサー施策との相性が非常に良いため、これを活用しない手はありません。
株式会社コムニコが提供する「ライフ イン ザ キッチン」は、食インフルエンサー約2,000名、ご支援件数280件超(2025年3月時点)の日本最大級の食インフルエンサーのネットワークを持っており、オンラインとオフラインの双方で施策の展開が可能です。一般的にインフルエンサー施策というと、SNSのPR投稿を思い浮かべる人が多いかと思いますが、食インフルエンサーが個人で主催する料理教室とのタイアップといったオフライン施策によって、認知拡大や興味喚起だけでなく、購買にもつなげることができます。
コムニコでは、SNSの運用代行や企画立案なども行っていますので、「インフルエンサー施策をやってみたいけれど、何から手を付けていいかわからない」「自社の目的に合う施策が何なのかわからない」といった場合にも、ぜひ一度コムニコまでご相談ください。
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2018年に株式会社コムニコへ入社。コンテンツクリエイターとして、企業・自治体のSNS企画・運用・コンテンツ制作を行う。コムニコが持つ知見を広めるために編集経験を活かして「We Love Social」運営・編集・記事執筆などのコンテンツマーケティングを担当。一般社団法人SNSエキスパート協会認定講師としてSNSに関する安全で正しい知識の啓蒙にも努めている。