Instagram ショッピングが、Facebook ショップ機能(以下ショップ機能)として進化し、さらに使いやすくなりました。
ショップ機能とは、Facebook、Instagram 双方に、ECサイトで販売している商品の詳細を掲載でき、ECサイトに誘導できる機能です。Instagram ショッピングとショップ機能はどう異なり、何が強化されたのか、またどう使いこなしていくべきなのか、Facebook Japan コマース事業部 Insustry Manager の丸山 祐子氏にお話を伺いました。
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新しくなったショップ機能。Instagram の場合は、プロフィールにある「ショップを見る」をタップすると、全画面でショップが表示されます。ショップ機能はECサイトを持つ企業で、Facebook の定める各種要件を満たしていれば誰でも無料で利用できます。ショップ機能について、これまでのInstagram ショッピングとの比較を踏まえて、Facebook Japan 丸山 祐子氏に紹介してもらいました。
日本はInstagram ショッピングの利用が盛んな国
ー2018年に国内で導入されたInstagram ショッピングですが、国内での使われ方はいかがでしたか?
丸山氏:グローバルで比較すると、日本は利用が盛んな国の一つで、多くの企業が利用しています。フィードやストーリーズで見た投稿画像のタグをタップして商品詳細ページを閲覧する、さらにその先のECサイトにアクセスするという利用者もたくさんいます。Instagram ショッピングによって、Instagram は発見のメディアから、発見、検討、購入までシームレスにつながるプラットフォームに進化しました。
導入している業種は、アパレル、ビューティ、インテリア、食品など広がり続けています。導入した多くの企業から、Instagram からのECサイトへのトラフィックが増加したというお声をいただいています。
また、Instagram ショッピングをリリースして1年後にイベントを開催し、そのイベントで導入企業にお話を伺ったのですが、ある企業の担当者は「導入してからカスタマー対応が減った」と仰っており、トラフィックや売上以外の利点を感じていただけたことを興味深く感じました。以前は商品写真を投稿すると、利用者から「価格はいくらか」「後ろ姿はどうか」「素材はなにか」など、コメント欄に質問が寄せられることがあったそうです。Instagram ショッピングでタグ付けするようになって、利用者が自分で商品詳細を確認できるようになったので、質問が減ったのではないかと考えられます。
利用者の立場から見ると、以前はInstagram で見つけた商品の詳細をすぐに知りたいときは、自分でブランド名、商品名で検索して詳細を探すというステップが必要でした。ショッピングが導入されたことで、Instagram のアプリ内で商品詳細ページを見ることができ、さらにECサイトにも簡単に遷移できるため、気軽に購入しやすくなったと思います。
ー今回のFacebook ショップ機能のアップデートの背景を教えてください
丸山氏:新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、中小ビジネスが大きな影響を受け苦しい思いをされています。Instagram でも、料理の注文機能など、今年に入って中小ビジネスを支援する機能を新たに導入しました。
外出を避ける人が多くなったことで、ECは利用者が増えています。誰でも簡単に無料で使えるショップ機能によって、Instagram とECサイトの連携をさらに強化し、新たにEC事業に参入する方々や、これまで以上に注力しようとする方々のビジネスをサポートしたいと考えています。
Facebook との統合と、よりリッチなデザインで誰でも使いやすく
ーInstagram ショッピングから、具体的にどう変わったのですか?
丸山氏:1つは、Facebook、Instagram の両方で共通のショップを公開できるようになったことです。今まではFacebook ページショップ、Instagram ショッピングとプラットフォームごとに異なる機能を提供していたのですが、ショップのUIが統一されたほか、それぞれ別に商品登録などが必要だったものが、コマースマネージャという共通のツールで一元管理できるようになりました。
2つ目は、よりリッチにブランドイメージを表現できるデザインになりました。例えば、ショップのランディングページにカバー画像を設定し、その下に関連する商品の詳細をコレクションとして掲載できるようになりました。
上記のように、アパレルならブランドラインごと、プロダクトラインごとといった形で、コレクション別に商品を整理して複数表示できます。カバー画像も自由に設定できるので、ブランドの世界観をより表現しやすくなりました。
ご注意いただきたいことは、現時点では日本においてInstagram アプリ内で決済の機能は提供していないことです(米国のみテスト中)。最終的な購買は、自社のECサイト内で行う必要がありますので、お使いいただく際には自社ECサイトが必要です。
ショップ機能の導入事例と画像の選び方のコツ
ー導入企業の事例を教えてください。
丸山氏:こちらは、美容家電ブランドのSALONIA(@salonia_official)のショップ機能の活用事例です。
左から2番目がランディングページで、コレクションのカバー画像が表示されます。これはInstagram のプロフィール、もしくはFacebook ページにある「ショップを見る」をタップすると表示される画面です。
カバーをタップすると、コレクションごとに関連する商品が表示されます。全画面で表示されますので、これまでよりも没入感の高いブランド体験を提供することができます。
ーどのような画像を選んだらよいでしょうか?
丸山氏:カバー画像については、コレクションに含まれるアイテムが伝わるものにしましょう。一般的な写真素材ではなく、ブランドのイメージが伝わりやすいものがおすすめです。かつ画像は、シンプルで訴求したい商品がわかりやすい画像を選ぶとよいですね。
コレクションに入れる商品画像も同様に、訴求する商品が何か、パッと画像を見ただけでわかるようにしてください。例えば右側の例は、1つの画像にたくさんの商品が写っているため、どの商品を訴求しているのかわかりにくいですよね。左側のようなわかりやすさを意識することをおすすめしています。
画像や動画でブランドの世界観を表現でき、その世界感に共感するファンを作ることができるのはInstagram の強みです。利用者の「かわいい」「ブランドが好き」という思いが、「ほしい」という気持ちに繋がり、商品を購入するという行動=ECへの導線にもなります。自社アカウントをInstagram でフォローしてくれているということは、ブランドに興味関心を持っているということです。既存のInstagram ショッピングはもちろん、進化したショップ機能を活用することで、ファンをより購買に繋げやすくなったのは大きなチャンスだと思います。
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新機能も続々追加予定!ライブショッピングは効果も大
ー今後追加予定の機能などあれば、教えてください。
丸山氏:現在米国でテスト中の機能がいくつかあります。その1つがライブショッピング機能です。Instagram やFacebook でライブ配信をしている画面上に商品をタグ付けすることができるので、ライブ配信で商品の使い方のアイデアや商品の開発背景などファンが知りたい情報を発信しつつ、そのまま購入までの導線をシームレスに繋げることができる機能です。
米国のコスメブランド、Dragun Beauty (@dragunbeauty)は、新商品のローンチにあわせてライブショッピング機能を効果的に活用しました。ブランドの公式Instagram アカウントだけでなく、インフルエンサーでもあるブランド創設者のアカウントの双方で訴求したこと、そして、ストーリーズやフィード投稿など、既存の機能も最大限に活用しているのもポイントです。
まず、一番左の画像にあるように、新商品の発表にはインフルエンサーであるブランド創設者のストーリーズでカウントダウンスタンプを使用してファンに発信し、2番目のブランドのアカウントの投稿では、商品のタグを付けてフィード投稿で詳細を紹介しています。さらにインフルエンサーであるブランド創設者のアカウントのストーリーズで商品の紹介(左から3番目の画像)や、ライブ配信をすることで、ブランドだけでなく、彼女のファンにも知らせることができました。一番右の画像のように、ライブ配信中に、ライブショッピング機能を活用して商品と「Add to Bag」ボタンを表示することで、視聴者はライブ配信を見ながら購入することもできました。このライブ配信の結果、次のような成果がありました。
- ライブ配信の視聴者数43,000人
- 商品詳細ページのインプレッション33,000imp
- 購入カートに追加された商品5,000点
2つ目がショップ機能と連携したロイヤリティプログラムです。機能の詳細はまだ未定ですが、Facebook などのアカウントと連携して、ECを利用した際にポイントを貯められる仕組みを考えています。これによって、ECをよく利用してくれている利用者を見つけやすくなるなどのメリットがあります。
3つ目が、ビジネス側が顧客対応をよりスムーズにするために、メッセージアプリからもショップを閲覧できるようになります。現在、Instagram 上でのショップへの主な導線は、プロフィールの「ショップを見る」や、発見タブ(虫眼鏡マーク)上部のInstagram ショップになりますが、将来的にはダイレクト機能(ダイレクトメッセージ)、Messenger、WhatsAppなど、顧客とのメッセージの画面上でショップを見たり、購入したりできるようになります。店舗で店員が顧客におすすめ商品を伝えるようなイメージで、個別のやり取りをしながらショップの商品を示すことができます。
Instagram でのコミュニケーションがECの活性化につながる
ーショップ機能を活用する企業に向けて、アドバイスはありますか?
丸山氏:ショップを作って終わり、写真や動画にショッピングタグをつけて投稿して終わりではなく、ストーリーズをあわせて使って訴求したり、ライブ配信で双方向のコミュニケーションをしたりと、ブランドを好きになってもらうためのコミュニケーションをとることが、ECへの流入、売上につながると思います。つまりショップ機能だけでなく、顧客と包括的にコミュニケーションをとることが最適な方法です。
私自身も、Instagram 経由で知ったブランドの商品を購入した経験があります。これまでは、新しい顧客にリーチするのが難しかった中小ブランドでも、Instagram をうまく活用すれば、それが可能になります。新しい購買体験として、Instagram でのコミュニケーションはさらに重要になるでしょう。また、新商品リリースなど、ここぞという時は、広告を配信することでリーチを増やせますので、あわせてご利用いただくといいと思います。
なお、現時点では日本はFacebook・Instagram アプリ内での決済に対応しておらず、ECサイトが必要であると説明しました。もちろん、自社で構築したECサイトを連携いただくことも可能ですが、国内外のECプラットフォームとパートナーシップを結び、ショップ機能をよりスムーズにご利用いただけるように、商品情報をFacebook ショップとECプラットフォーム側で連携できるような取り組みを進めています。商品の追加や変更があったときでも、ECが更新されればFacebook ショップも連動しますので、管理がしやすくなります。これからECを始める方で、特に自社でECサイトを開発するための知見やリソースが不足していると感じられる場合は、パートナー企業のサービスを使ってECを構築することも選択肢の一つとして検討いただければと思います。
9月30日には、パートナー企業の1社であり、ネットショップサービスを提供するBASEさんをゲストスピーカーに迎え、無料オンラインセミナーを開催予定ですので、これからECサイトを作る、もしくはECサイトは持っているけれどInstagram の活用はこれからという中小ビジネスの皆様は、ぜひご参加ください。なお、イベントの詳細はこちらをご確認ください。
おわりに
今回、貴重な機会をいただき、Facebook Japan社へインタビューを実施させていただきました。
ショップ機能のアップデートは大きく2点あり、ショップの運用がより簡単になるコマースマネージャの登場と、ブランドの世界観を作るコレクションの追加です。これまでのInstagram ショッピングは、設定の手間や難しさが障壁になっていると感じていたため、コマースマネージャの登場によって導入企業はさらに増えていくと予想されます。
また、これから展開されるであろうライブショッピングの機能もとても魅力的で、多くの企業(特にD2C)が待ち望んでいる機能だと感じました。
発見から購入までInstagram やFacebook 内でシームレスに行動できることで、離脱を防ぎ、売上につなげることができます。まだショップ機能を導入されていない企業は、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
コムニコでは、ショップ機能の導入も支援しておりますので、導入にお困りの企業様は、ぜひご相談ください。

2011年、株式会社コムニコへ入社。セールス・コンサルタントとして、業種・業界問わず多くの案件を担当。2019年よりマーケティング領域も兼任し、コンサルタントとしての経験を活かした運用担当者目線のマーケティングを行っている。