TwitterやInstagramの利用が日常となった現在、各SNSには企業のサービスに対するユーザーのリアルな声があふれています。SNSアカウントを持っている企業であれば、「利用してよかった!」などの喜びの声には感謝を伝えることができ、逆にサービスに対する要望や困りごとなどには、直接連絡してサポートを行うことも可能です。
今回は、こうしたSNS上でのユーザーの声を見つけて積極的にコミュニケーションを取る「アクティブコミュニケーション」の基礎知識や実際に行っている企業の事例などをご紹介します。
アクティブコミュニケーションとは?
アクティブコミュニケーションとは、SNS上でブランド名やハッシュタグなどで検索し、自社のことを話題にしているユーザーを見つけ、企業から積極的(アクティブ)にユーザーとコミュニケーションを取る手法を指します。
※アクティブサポートとも呼ばれます。
反対に、メンションのついた投稿やリプライに返信するような、ユーザーからのアクションを受けてコミュニケーションを取ることをパッシブ(受動的な)コミュニケーションといいます。
■アクティブコミュニケーションのやり方
アクティブコミュニケーションをTwitterで行う場合、まずはブランド名や製品名・企業名などで検索(エゴサーチ)を行い、ユーザーの投稿を探します。Twitter上の検索機能を使用してもよいですが、無料アプリ「TweetDeck(ツイートデック)」を利用すると、検索の手間が省けて便利です。
TweetDeckでは、様々な条件でタイムライン(正式にはカラムと呼ばれます)を作成することができます。
以下の画像のように、特定のユーザーのツイートだけを表示するタイムライン、指定したキーワードを含むツイートだけを表示するタイムライン、メンションされたツイートだけを表示するタイムラインなど、細かく条件を指定して、複数のタイムラインを作成することが可能です。この他にも様々な条件で設定できるので、ぜひ試してみてください。
TweetDeckで、製品名やブランド名を含むツイートを表示するタイムラインを作成しておけば、あとはタイムラインをチェックしておくだけ。ツイートを見つけたら、いいねをしたり、返信テキストを考えてリプライしてみましょう。
Instagramでアクティブコミュニケーションを行う場合は、ハッシュタグで検索し、自社について言及している投稿を探してみましょう。アプリの場合は、検索するとまずは人気の投稿(トップタブ)が表示されます。新しい投稿は最新タブに表示されるので、最新タブをチェックしてみてください。
なお、TwitterとInstagramの両方を一緒に確認したい、ツイートのポジネガやセンチメントを分析したいといった、より高度な機能を求める場合は、有料のソーシャルリスニングツールを検討することをおすすめします。
■企業から急にいいねや返信が来たら、嫌がられる?
わざわざブランド名や製品名でツイートを探して急にコメントしたりすると、ユーザーは驚いたり怖がったりしてしまうのでは?と不安に思う方もいるでしょう。
コムニコのTwitterキャンペーンに関する意識調査では、「企業の公式Twitterアカウントからリツイート、返信、「いいね!」されるとどう感じますか?」という質問に対し、回答者のうち92%が好感を持てると回答。不快に感じる人は、「やや不快」も含めて1%程度でした。
企業からのアクションを不快に感じるユーザーはごくわずかで、多くのユーザーは好意的にとらえているといえます。双方向のやりとりができるというSNSの特徴を活かし、積極的にコミュニケーションを取っていくとよいでしょう。
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アクティブコミュニケーションの事例5選
企業は実際にどのようにアクティブコミュニケーションを行っているのでしょうか。活用している企業の事例をご紹介します。
■JAPAN AIRLINES【JAL】
こんにちは。JAL公式アカウントです♪
— JAPAN AIRLINES【JAL】 (@JAL_Official_jp) June 3, 2020
お写真を見つけて、つい声をかけちゃいました👀
爽やかなお天気の中、元気よく飛び立つ機体✈
飛行機もこれからのフライトにワクワクしているようですね٩(๑❛ᴗ❛๑)و
素敵な風景とともに、JALグループの翼を収めてくださり、ありがとうございます📷
JAL公式アカウントは、JALの機体の写真をアップしている人や、JALの商品やサービスについて投稿している人などにお礼のコメントを返信。ユーザーからは「返信をくれてうれしい」「返信ありがとう」など、リプライに対する好意的な反応が返ってきています。
また、こうやってお礼をすることで、その後もJAL関連の写真をアップしようというモチベーションにつながります。好意向上に加えて、ポジティブなクチコミも増える好循環となっています。
■食べチョク 農家・漁師の直売所
ご利用いただきましてありがとうございます😊パクチーいいですね!!これからもよろしくお願いします🥰 https://t.co/RNdkO2mrSK
— 食べチョク🥦🐟🥩農家・漁師の直売所 (@tabechoku) June 13, 2020
野菜などの食材を生産者から直接購入できるオンラインマルシェ「食べチョク」のアカウントです。購入者の投稿を探し、リツイートやお礼コメントを添えた引用リツイートで紹介しています。
実店舗がないオンラインサービスは、商品の実物を見たり触ったりすることができないところが難点でもあります。サービス側が公開している写真だけではなく、購入者が撮影した生の声が紹介されることで、ほかのユーザーも利用時の参考にできる点がポイントです。
■ChargeSPOT公式サポート
初めまして!ChargeSPOTサポートセンターでございます🔋✨ご利用に関しまして、公式HPに記載がございますのでご覧いただければと存じます。https://t.co/gcSswAg5xl
— ChargeSPOT公式サポート (@ChargeSPOT_CS) May 18, 2020
大変な時期ですので、外出の際は十分お気をつけいただき、ご利用いただければと思います🙇♀️何卒宜しくお願い致します!
モバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」のサポートアカウントです。「使い方がわからない」とツイートしたユーザーに利用方法を案内するなど、ユーザーの疑問点やトラブル、要望、問い合わせなどのツイートに丁寧にリプライしています。
こういった新興サービスは、初期のうちは使い方がわからないユーザーが多いことも想定されます。新規サービスの立ち上げ時は、同時にアクティブコミュニケーションを検討してみても良いかもしれませんね。
■SpotifyCaresJP
ツイート拝見しました。こちらでお手伝いします。よければ確認しますので、アカウントのメールアドレスをDMにてお知らせいただけますか? /RX https://t.co/7nxBDFaQEJ
— SpotifyCaresJP (@SpotifyCaresJP) June 2, 2020
Spotify Japanのカスタマーサポートアカウントです。
ユーザーからの不明点や要望などの投稿にリプライするだけでなく、契約や個人情報に関する問い合わせはダイレクトメッセージでのやりとりに移行するという、きめ細かな対応を行っています。埋め込みのツイートでは表示されていませんが、実際のツイートにはダイレクトメッセージの送信ボタンが表示されています。
■Made by Google
おはようございます。ツイートをお見かけしました。Google Pixel 4 の画面が正常に動作しないとのことでご不便をおかけしております。もし現在もお困りでしたら、次のヘルプを参考に端末の再起動などのトラブルシューティングをお試しください。https://t.co/3k2iru0MvV
— Made by Google (@madebygoogle) May 30, 2020
その後いかがですか?よろしければ返信でお聞かせくださいね。
— Made by Google (@madebygoogle) June 2, 2020
Googleのハードウェアに関するサポートアカウント「Made by Google」では、ユーザーへの気配りが感じられる親身な対応が目をひきます。
上記のように、デバイスのトラブルについて投稿したユーザーへのリプライ(一次対応)後、ユーザーからの返信がなかったときには、数日後に再度フォローのメッセージを送っています。返事がないとそのままにしてしまいがちですが、それこそパッシブな対応だと言えるので、問題が解決するまでフォローできる体制を整えておくと良いでしょう。
* * *
後半の3例はいずれもサポートアカウントの事例でした。
最近では、企業のサービスに対するクレームや困りごとがあったとき、お客様相談室やカスタマーサポートには連絡せず、SNS上にそれらを投稿する人も増えてきています。そして、そうしたネガティブな印象を含む投稿はほかのユーザーの目にも触れ、企業のイメージに影響を与えていきます。
自社に関するネガティブな投稿があったとき、返信をしなかったことが原因で問題が起きることは少ないでしょう。
しかし、それらにひとつひとつ対応していくことで、ユーザーの気持ちを変えることができたり、自社サービスをまた利用してもらうチャンスに発展するかもしれません。
今回取り上げた事例のように、ユーザーに寄り添い、企業の誠実さを示していくことが、これからのコミュニケーションには求められています。
アクティブコミュニケーション導入診断!
ここまでアクティブコミュニケーションのやり方や事例をご紹介してきましたが、やはり導入にはハードルがあるもの。
以下の「アクティブコミュニケーション導入診断」で、自社でもすぐに実施できそうか、調べてみましょう。当てはまる項目が多いほど実施のハードルも低く、おすすめです。
なお、当てはまる項目が少ないからといって、アクティブコミュニケーションに向いていないわけではありません。
まずはユーザーのクチコミ投稿を増やし、運用体制を整えるところから取り組んでみましょう。
関連記事 >> 企業のTwitter運用を成功させる10のポイント
おわりに
SNSが普及し、誰もが情報発信できる現代。企業とユーザーの距離は近くなり、これまで以上に企業には誠実さが求められています。苦情や悩みには真摯に答え、喜びの声には感謝を伝えるなど、ひとつひとつの声に誠実な姿勢を示していくことが、企業とユーザーとの良好な関係づくりにつながっていくことでしょう。
コムニコでは、アクティブコミュニケーションのコンサルティング・代行も行っています。マニュアルの作成やリソースにお困りの方は、こちらからぜひご相談ください。

2011年入社。セールス・コンサルタントとして、業種・業界問わず多くの案件を担当。2019年よりマーケティング領域も兼任し、コンサルタントとしての経験を活かした運用担当者目線のマーケティングを行っている。