月間ユーザー数が7,120万人を超える(2023年5月時点)など、日本人の日常に浸透する「YouTube」。現在は、従来の特色であった長尺動画だけでなく、短尺のYouTubeショートも盛り上がりを見せており、ますます目が離せない動画プラットフォームとなっています。
そこで当記事では、企業がブランディングやプロモーションでYouTubeを活用する際に役立つ情報をまとめました。中でも、長尺動画と短尺のYouTubeショートの違いについて解説し、その2つの特徴を学んだ上で、効果的に使い分ける方法をお伝えします。
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YouTubeの特徴
YouTubeとは
YouTube(ユーチューブ)は、Googleが提供するオンラインの動画共有プラットフォームです。
YouTubeでは、個人や企業、クリエイターがさまざまな動画コンテンツを自由にアップロードでき、それを世界中の人々が視聴できるようになっています。個人や企業、クリエイターは、視覚的なコンテンツを通じて情報やエンターテインメントを提供し、視聴者は自分のペースで動画を楽しんだり、コミュニケーションの場としてコメントを残し、クリエイターと対話したりすることができます。
企業やブランドがSNSプロモーションの一環としてYouTubeを活用する場合、その強みは、ユーザーが多いことや視覚的なコンテンツが提供できること、検索エンジンで表示頻度が高いこと、長い時間視聴されることなどが挙げられます。YouTubeは、広範のオーディエンスに対して深いエンゲージメントを生み出し、効果的なプロモーション戦略の展開が可能なプラットフォームと言えるでしょう。
YouTubeで使用できるフォーマットは、長尺の動画やライブ配信、短尺で縦型動画のYouTubeショートなど、複数種類が提供されています。それらを通じて投稿される動画のテーマやジャンルについても、多岐にわたることが特徴です。
YouTubeで利用可能なフォーマット例
- 長尺動画
- YouTubeショート(縦型短尺動画)
- ライブ配信
- オーディオ など
YouTubeの利用者数
YouTubeの国内月間ユーザー数は、日本人の65%以上の7,120万人を突破(18歳以上)しました。幅広い年代で利用され、YouTubeはますます日常に欠かせない存在になっています。
YouTubeの利用動向
視聴デバイスや動画コンテンツの形式も長尺動画・短尺動画・ライブ配信というように多様化しているYouTubeですが、2023年5月に行われた「YouTube トレンド調査」によると、Z世代(18〜24歳)のうち、70%がYouTube ショートを利用していると回答しました。これまでは長尺動画が主流でしたが、若年層を中心に短尺動画や縦長動画の利用が進んでいることがわかります。
参考:https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtube-recap2023-2/
YouTubeショートとは
YouTubeショートとは、日本では2021年7月13日にリリースされたサービスです。
世界で初めてリリースされたのは、2020年9月。2021年1月の投稿本数は8,296本と、YouTube全体で見るとわずか1.26%を占めるのみでしたが、その後、投稿本数は徐々に増加し、2年後の2022年12月には約10倍となる88,850本に到達しました。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000021986.html
また、2023年2月からは収益化が可能になったことで、注目度もより高まりました。
YouTubeショートの人気の理由として大きいのは、動画の制作や投稿が簡単にできるという手軽さ。マーケティングへの活用事例も増えており、実際に多くの企業が使い始めています。
YouTube動画とYouTubeショートの違いについて
YouTube動画とYouTubeショートをうまく使い分けたいという人に向けて、両者の違いを以下の表にまとめました。
YouTube動画 | YouTubeショート | |
投稿可能な時間 | 最大12時間(もしくは、データサイズが256GBまで) | 最大60秒 |
視聴方法 | 興味のある動画をクリックし閲覧 | スクロールして表示される動画を閲覧 |
画面の表示形式・動画の推奨サイズ |
横画面表示動画がメイン 画像解像度 |
TikTok同様の縦画面表示動画がメイン アスペクト比9:16 画像解像度 1080px × 1920px |
■YouTube動画の活用メリット
YouTube動画とYouTubeショートを比較したときに、YouTube動画を活用するメリットには、以下のものがあります。
1.詳細な情報伝達
YouTube動画には長尺の動画が投稿できるため、詳細な情報を伝えることに適しています。たとえば、商品の特徴や具体的な活用方法、使用した感想など、深掘りした内容を提供できます。
2.密度の濃い情報の発信
じっくり知りたい、理解したいという人に向けて、密度の濃い情報を発信することに適しています。
3.ストーリー性のある情報展開
ストーリーを展開し、視聴者を引き込むのに適しています。物語を通じて、感情や情報を伝えることができます。
■YouTubeショートの活用メリット
1.短時間でのインパクト
YouTubeショートは、短い時間で視聴者に強いインパクトを与えることができます。スクロール中に目を止めてもらえるよう、開始3秒までの間に注目を集める工夫を凝らしましょう。
2.エンターテイメント性の高い情報
短尺動画はユーモアやエンターテイメントの提供がしやすく、ユーザーを笑わせたり、それによって興味を引いたりすることに向いています。
3.トレンドに合わせた発信
作成から発信までが手軽で、短時間で行えるショートは、ソーシャルメディア上のトレンドの対応に適しています。流行に乗って話題を提供することで、多くのユーザーに視聴してもらうことができます。
活用メリットの違いについては、理解できたでしょうか。YouTube動画とYouTubeショートの特徴や目的に応じた使い分けは、後の章でも詳しく説明します。
ショート動画の出現によるニーズの変化
ユーザーの中でも特に若年層に、ショート動画を見る人が増えています。ショート動画は、空いた時間でパッと見ることができ、効率よく情報収集ができる、タイパの良い(タイパ=タイムパフォーマンス。かけた時間に対してパーフォマンスが高いこと)動画として需要が高まっているのです。
長尺のYouTube動画においても、そうしたユーザーニーズの変化に合わせて、動画の作り方に変化が見られてきています。
ニーズに合わせた動画作成のポイント
動画を視聴してもらうためには、ユーザーニーズの変化に合わせた構成を考えていくことが重要なポイントとなります。
- カット割りを細かくし、テンポを上げる
短尺動画に慣れてきたユーザーは、冗長な動画には飽きてしまうため、シーン毎の切り替わりを細かく行ったテンポのよい動画を作成すると、視聴数が伸びやすい傾向にあります。 - 取り扱うテーマや商品数を増やし、情報量を充実させる
おすすめの商品をまとめて紹介するような動画(例:おすすめ商品5選 など)では、動画内で紹介する商品数を増やすなど、一回の投稿で扱う情報量を充実させると、視聴数が伸びる傾向があります。
また、時短で情報収集したい人に向けて、長尺のYouTube動画を再編集して短くまとめ、ショート動画として発信することも効果的です。
YouTubeショートを含む短尺動画全般の使い分けや、TikTok・Instagramリールなど他媒体との違いについては、以下の記事もご覧ください。
参考記事:https://www.comnico.jp/we-love-social/shortmovie-business
YouTubeショートとYouTube動画の効果的な使い分け
企業の公式チャンネルにおいて、短尺のYouTubeショートと長尺のYouTube動画はどう使い分けていくべきでしょうか。
YouTubeショートの特徴
YouTubeショートは、短尺であるため、視聴ハードルが低いことが特徴です。実際に、暇つぶしのために利用するユーザーも多いようです。
また、自社のチャンネルをチャンネル登録していない人の画面にも表示されやすいため、これまでリーチできていなかった層の視聴の獲得や、新規チャンネル登録者の増加も期待できます。
このことから、YouTubeショートは新規ユーザーへのリーチを広げ、認知を拡大したり、チャンネル登録者数を増やしたりするという目的での活用に向いていると言えます。
YouTube動画(長尺動画)の特徴
YouTube動画は、ある程度の時間をかけてサービスや商品を訴求できることが特徴です。そのため、認知拡大や商品理解、エンゲージメントの向上、購買といった幅広い目的で活用されています。
スクロールして出てきた動画を視聴するYouTubeショートとは異なり、YouTube動画は、ユーザーが知りたい内容や特定のキーワードをYouTube上で検索して、動画を視聴します。さらに、そのチャンネルの動画に興味が湧けば、同じチャンネル内の他の動画も視聴し、チャンネル登録に至ります。
このことから、価格が高く購入ハードルも高い商品の場合は特に、じっくりと比較検討できる長尺動画を使って商品理解を深めてもらい、エンゲージメントを高めた上で、購買まで見込み客を育成(ナーチャリング)していくことができます。
逆に、低価格で購入ハードルが低く、認知から購買までの時間が短い商品の場合は、YouTubeショートのみを使うこともあります。
YouTubeショートとYouTube動画の使い分け
自社のYouTubeチャンネルを知ってもらいたい、広く商品認知を獲得したいという場合は、YouTubeショートを活用すると効果的です。
一方で、商品やサービスに対して密度の濃い情報を提供したい場合は、長尺のYouTube動画を活用して、見込み客を育成していくことが重要になるでしょう。
つまり、どちらか片方のフォーマットだけを活用するのではなく、目的に合わせてフォーマットを使い分け、バラエティ豊かなコンテンツを戦略的に展開していくことが、企業のYouTube運用を成功させるポイントだと言えます。
動画コンテンツの作成や戦略の設計が難しい場合は、コムニコなどのSNS運用代理店にぜひご相談ください。コムニコでは、YouTubeのほかにも、主要SNSを含む総合的なSNSプロモーションを支援しています。
企業におけるYouTube活用の成功事例
Kurashiru [クラシル]
クラシルは、様々なクリエイターが、レシピを中心とした料理に関する情報を発信する、新しいプラットフォームです。YouTube動画では、一流シェフがレシピ紹介を行う「シェフの料理帖」シリーズ、YouTubeショートでは、YouTube動画の切り抜きやシェフの愛用品を中心に紹介しています。
■YouTube動画(長尺動画)
ミシュラン一つ星シェフによる、ペペロンチーノのつくり方の紹介動画。シェフが実際に調理しながらそのポイントを解説することで、専門的な知識やテクニックが学べる内容となっています。
■YouTubeショート
シェフの愛用品をまとめて紹介しています。シェフ視点のおすすめポイントをテンポよく、わかりやすく紹介することで、ユーザーからの支持を得ています。
オーダースーツSADA
オーダースーツチェーンで日本一の店舗数を誇るオーダースーツSADAは、YouTube動画とYouTubeショートでテーマの使い分けは特別行っていませんが、YouTube動画ではブランドの裏側潜入や、スーツに関する詳しいHow to動画を、YouTubeショートではスーツの着こなしのポイントなどをテンポよく紹介しています。
■YouTube動画(長尺動画)
結婚式でのスーツマナーのNGを紹介。動画内でクイズを出したり、効果音をうまく入れたりすることで、視聴者を飽きさせないよう工夫しています。
■YouTubeショート
こちらでは、スーツの着こなし方のNGポイントを紹介。短い動画の中で、よくある間違いを3つに絞ってポップに紹介、訂正し、着こなしのポイントをわかりやすく伝えています。
LAND CRUISER CHANNEL / ランクルちゃんねる【トヨタ公式】
こちらは、トヨタ自動車が提供する大型クロスカントリー車「ランドクルーザー」のYouTubeチャンネルです。YouTube動画では、ランクルの機能を細部まで丁寧に紹介し、YouTubeショートでは、ランクルのポテンシャルが窺えるようなインパクトのある動画を中心に紹介しています。
■YouTube動画(長尺動画)
アメリカで日本の旧車を扱うレストア専門店のオーナーが、30年前のランクル70を解説した動画。30年前のモデルにもかかわらず、構造や耐久性に優れていることをプロ目線で語り、希少な情報でランクルファンを喜ばせています。
■YouTubeショート
オフロード競技会の一部切り抜き動画です。横転しかけたところをランクルの馬力を活かして回避したという、引きのある動画となっています。
アットホームTV
不動産情報の総合サイトであるアットホームは、YouTubeではYouTube動画をメインで運用し、街や住まいの魅力を発信する「座談会」シリーズや、住まいをよくする工夫を紹介する「ルームツアー」シリーズを中心に発信しています。
■YouTube動画(長尺動画)
こちらの動画では、東急東横線に注目し、地元の穴場スポットを紹介。効果音をテンポよく入れながら、約10分の動画内で5つの駅を紹介するなど、画面の切り替えポイントを多くすることで、ユーザーの離脱を防ぐ工夫を行っています。
わかさ生活
サプリメントなどを提供する総合健康企業のわかさ生活は、2023年に入ってから、YouTubeでの運用の中心を、YouTube動画からYouTubeショートに切り替えました。YouTubeショートでは、企業の宣伝っぽさをなくしたユーモアある投稿で、ユーザーの興味を引いています。
■YouTubeショート
目の総合健康企業だからこそ生まれた「錯視」の投稿。
ついつい目にとめて考えてしまうような参加型のコンテンツで、ユーザーが興味を持って何度でも見たくなる工夫がされています。
まとめ
18歳以上の日本人の65%以上が利用するなど、驚異のユーザー数を誇るYouTube。
この巨大なプラットフォームを、企業がブランディングやプロモーションに使わない手はありません。長尺動画だけでなく、ますます盛り上がりを見せるショート動画も、目的や用途に応じて使い分けていくことで効果的にプロモーションに活用していきましょう。
また、変化するユーザーニーズに合わせて興味を引く工夫をして飽きさせない動画構成にすることで、少しでも多くのターゲットに、深く届くコンテンツを制作することが重要です。
コムニコでは、目的やターゲットに応じたYouTube施策のご提案や実施が可能です。YouTube活用にご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
家電生活用品メーカーでBtoB営業と広報を担当した後、コムニコに入社。現在はアカウントプランナーとしてSNS支援事業に携わる。趣味はゴルフとhiphopダンス。