スマホで見ることに特化した短尺縦型の「ショート動画」。利用者が増え、ビジネスでの活用をお考えの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ショート動画の専門家にビジネス活用方法を伺い、目的別の考え方や媒体に合わせた分析方法をまとめました。教えてくれたのは、短尺メディア運用でさまざまな受賞歴がある、株式会社meme三吉 康貴氏。SNSメディア売却やプロモーション企業立ち上げを行ってきたショート動画のプロが考え方を解説します。
ショート動画が注目される理由
企業のマーケティング活用においても、ショート動画が注目されているのはなぜでしょうか?TikTok等ショート動画に詳しい株式会社memeの三吉氏に話を伺いました。
|
株式会社meme 三吉 康貴 氏 SNS総合プロモーションを行う(株)memeを設立。2022年12月より、(株)ラバブルマーケティンググループと資本業務提携を開始。現在は、SNS運用事業の他にマイクロインフルエンサーへのサポート事業、東南アジアでのサービス業などに力を入れている。 高校時代にSNSメディアの売却経験があり、YouTubeでは、音楽系のクリエイターとして半年で15万人フォロワーまでグロース。その後、TikTokに挑戦し、3ヶ月でフォロワー50万人(当時日本で7番目の記録)を達成。 |
ショート動画とは、スマートフォン画面で「縦型」で見る「60秒〜数分」の動画のことをいいます。
短時間で手軽に情報を得ることが求められている現代社会において、ショート動画が注目されることが増えてきました。ニールセンの調査によると、2023年にはネット上でのコンテンツ消費の約半数が、短い時間で視聴できるショート動画となると予想されています。
ショート動画は、わずか数秒から数分程度の短い時間で、視聴者にメッセージを伝えることができ、SNS上でのシェアや拡散がしやすいことから、広告主や企業にとっても効果的な宣伝手段となっています。さらに、若年層を中心に人気が高く、ビジネス活用においても注目を集めています。
ビジネス活用のために必要な考え方
ショート動画は、認知度を高めることに特化したコンテンツ形式です。
短い時間で視聴者に強烈な印象を与えることができる一方で、コンパクトに内容をまとめる必要があるため、YouTubeなどと比べると訴求力には限界があります。そのため、ショート動画はコンパクトに内容をまとめる必要があるため、ニッチな商材よりも大衆に刺さりやすい商品と相性が良いと言えます。ビジネス活用においては、この点に着目し、マーケティング戦略を展開することが大切です。
ショート動画のビジネス活用において、成果をあげていくためには、CVをとる施策と並行して利用することが重要です。例えば、購買を目的に活用する場合であっても、ショート動画だけで「TikTok売れ」のようなものを目指すのではなく、EC動線の強化やリスティング広告など、ほかの部分においてもしっかりとマーケティング戦略を展開していくことをおすすめします。
具体的な目的別活用方法とそれぞれの分析方法は次の章で解説します。
ショート動画の活用目的別・分析方法
ひとくちにショート動画といっても、ビジネスで活用する目的はさまざまです。主なショート動画の活用目的として、認知を得る・UGCを増やす・購買数を高める・ブランディングを強化する、といったものがあげられます。
コンテンツ作成のポイント | 分析指標 | |
認知 | トレンドに合わせた質の高い動画作成 | 投稿後一定期間の再生数 |
UGC |
高頻度な動画投稿 |
動画の再生数に対するコメント率 |
購買 | 質の高い動画編集 継続した長期的な投稿 |
他媒体へのフォロワー転換率 |
ブランディング | 統一感のあるコンテンツ作成 | プラットフォーム内での言及を確認 (ソーシャルリスニング) |
目的が変われば、どのようにコンテンツ作成をすべきか、その手法や分析指標も変わってきます。
認知を目的とした場合は、プラットフォーム上で流行っているトレンドに合わせた質の高い動画作成が重要です。トレンドに合わせることで、より多くのユーザーにリーチさせるようにします。そのため、投稿後の再生数を追っていくのが良いでしょう。
UGC(口コミ、言及数)の増加を目的とする場合は、ユーザーコメントに応える形の動画投稿などを行う高頻度な動画投稿が求められます。ショート動画を使ってユーザーとコミュニケーションを取ることをイメージしてください。こうした場合には、動画の再生数あたりのコメント数、つまり、コメント率やコメントの質を確認しましょう。
購買の場合は、先述した通りショート動画だけではなく、他のマーケティング手法との組み合わせが必要となります。そのため、質の高い動画編集を継続的に行うことが重要になってきます。指標としては他媒体へのフォロワー転換率を確認します。投稿後に他媒体のフォロワーが増えたかどうか、ということを確認して分析します。
ブランディング目的の場合は、他のSNSプラットフォーム同様、統一感のあるコンテンツ作成が重要となってくるでしょう。この場合、他のユーザーが自社名やブランドについてどう言及しているか、どのようにハッシュタグが使われているかソーシャルリスニングをして分析します。
目的に合わせたコンテンツを作成し、分析を繰り返していく、ということは他のSNS媒体と変わりません。
主要ショート動画プラットフォームまとめ
|
TikTok |
YouTube ショート |
Instagram リール |
LINE VOOM |
国内ユーザー数 |
950万人以上 |
6,900万人 |
3,300万人以上 |
9,500万人 |
特徴 |
10代と20代が半分以上を占め、若年層中心 |
年齢問わず幅広い年齢層で利用が広がる |
リール視聴時間が伸長し、ビジネス活用も増加中 |
日本人口の70%以上が利用している |
アップロード上限 |
10分まで |
60秒まで |
15分まで |
20分まで |
主要なショート動画プラットフォームとして4つご紹介します。このほかに、SnapchatやFacebook Reelsなどのショート動画プラットフォームもあります。
「これからショート動画を始めたい」と考えている場合、すでに運用しているプラットフォームのフォーマットに合わせてショート動画に取り組んでいくことをおすすめします。
MP4形式で出力しておくと、どの媒体でも利用できて便利です。アップロード上限はプラットフォームやユーザーごとに異なる場合がありますが、一般的には「縦型」「60秒以内」の動画にしておくとよいでしょう。
以下の資料に制作上の注意や表示サイズをまとめています。TikTokやYouTube Short、Instagramリールの表示可能箇所がわかるテンプレート(画像ガイド)をダウンロードできます。ショート動画制作にご活用ください。▶︎フォームが表示されない方はこちら
次の章からは、4つのプラットフォームのおすすめ活用方法や分析方法について媒体ごとに紹介します。
TikTokの活用と分析方法
TikTokとは、ByteDanceが提供する若年層中心の縦型動画サービスです。「ショート動画といえばTikTok」を想像する方も多いのではないでしょうか。
フォロワー数がいない段階であっても再生されるため、認知に強く、「SNS運用はしていないが、これからショート動画をビジネスで活用したい」という方におすすめです。投稿後すぐから結果が出るため、PDCAを回して運用していくとよいでしょう。アカウント開設初期は特に再生数を確認し、再生回数が増えない場合はコンセプト見直しからアカウント再設定が必要となることもあります。
Instagramリールの活用と分析方法
Instagramリールは、Instagram上で確認できる動画フォーマットです。90秒までの動画投稿が可能ですが、15分までの動画投稿もリール扱いとなっています。リールタブや発見タブからの流入も見込めるため、ビジネス活用も増加しています。「これまでInstagram運用をしてきた」企業であれば利用しない手はないでしょう。
Instagramリールの場合は、リールの平均再生あたりのフォロー率に注目して分析するとよいでしょう。フォロー率が高いということは、視聴者がコンテンツに長期的な興味を持っていることになり、好意形成やブランディング向上に役立ちます。
YouTube ショートの活用と分析方法
YouTube ショートは、YouTube上に最大60秒までの縦型動画が投稿できるサービスです。Google社が運営する世界最大の動画共有サービスYouTubeで活用できるフォーマットのひとつで、国内6,900万以上のユーザーにリーチできる強みがあります。
ショート動画を使って新規ユーザーへリーチし、そこからロング動画へ誘導させることでチャンネル登録者数を増やすことが可能です。他の短尺動画プラットフォームとは異なり、過去投稿した動画が突然再生されるようになる可能性も高いのが特徴です。そのため、投稿数を増やしておくことが重要となります。
LINE VOOMの活用と分析方法
LINE VOOMとは、LINEアプリ上で確認できるSNSプラットフォームです。友だち同士でつながってメッセージを送るLINEとは異なり、フォロー関係でつながるサービスであることが特徴です。最大で20分までの動画投稿が可能です。
企業活用は目立って広がっていませんが、他媒体でショート動画を活用し、LINE運用も行っているという場合には活用するようにしていきましょう。LINE VOOMの分析は、平均再生時間を確認するとよいでしょう。
まとめ:企業の取り組み方
今回は、ショート動画のビジネス活用法について紹介しました。短時間で手軽に情報を得ることが求められる現代社会において、注目度が増してきています。特に、認知を高めることに特化したコンテンツ形式です。
ビジネス活用の際は、その他のマーケティング戦略とあわせて展開していくとよいでしょう。ショート動画の活用目的に応じて、プラットフォームの選び方や活用方法・分析指標が異なるため、戦略を立て、トレンドに合わせた展開で活用していくことが重要です。
しかし、戦略設計やトレンドに合わせた動画作成が難しい場合もあるでしょう。ノウハウやリソースが足りない場合は、SNSマーケティング支援を行うコムニコへご相談ください。媒体特性に合わせた運用代行、コンサルティング、インフルエンサー活用まで、課題にあわせてオーダーメイドのご提案をいたします。
-1.jpg?width=90&height=90&name=S__14540804%20(1)-1.jpg)
児童雑誌・書籍をメインに4年間の編集執筆活動した後、コムニコ入社。SNS企画運用・コンテンツ制作を行う。趣味はドラムとよさこい。