アーティストのファンを味方に!『ベストヒット歌謡祭』Twitter運用成功の裏側
放送日を含め、2週間で3回のTwitterトレンド入りを果たした「ベストヒット歌謡祭」。そのトレンド入りは、入念な準備をして達成したものでした。ファンの心をつかむための投稿のコツは、企業の公式アカウントを運用している方にも参考になるはずです。
今回は、讀賣テレビ放送株式会社 編成局マルチメディア推進部・東京駐在 多鹿雄策さんに、ファンの心をつかむSNS運用のアイデアや投稿のポイントについてうかがいました。
フォロワー数は目安。目指したのはエンゲージメントの深さ
-読売テレビのSNS活用状況について教えて下さい。
局の公式アカウントや、読売テレビが制作しているドラマ・バラエティ・アニメの番組アカウントなどがあります。SNSでは、テレビ離れの傾向がある10~20代を取り込むことを目指しているため、Twitter、Instagram、LINEを中心に活用しています。特に、Twitterはリアルタイム性と拡散力があり、テレビとの相性が良いため、力を入れています。その他、番組によってはYouTube、TikTokを活用することもあります。
-多鹿さんが担当されている業務は?
讀賣テレビ放送株式会社 編成局マルチメディア推進部・東京駐在 多鹿雄策氏
私が運用しているのは、全国放送の単発番組「ベストヒット歌謡祭」と「鳥人間コンテスト」です。あと、読売テレビの各アカウントのSNS分析、戦略サポートを担当しています。
-Twitter運用では、どのような指標をゴールにされていますか?
企業アカウントではフォロワー数を目標にすることも多いと思いますが、私はフォロワー数よりも話題度(一般の方が番組関連ワードを投稿した数)、エンゲージメント(いいね、RT、コメントの合算値)を重視しています。フォロー&リツイートキャンペーンを実施したときはフォロワー数を評価しますが、普段は目安程度に考えています。というのは、フォロワー数は運用の結果であり、目標にはならないからです。
2019年11月放送の「ベストヒット歌謡祭」では、特にエンゲージメントを深めることを意識し、公式アカウントへのコメントを重視して運用した結果、コメント数は去年と比較して1万件増えました。
全出演アーティストのファンになり、ファンを理解する
-「ベストヒット歌謡祭」は複数回、Twitterのトレンド入りするなど、話題になりましたね。コメント数を増やすために、具体的にどんなことをされたのでしょうか。
とにかく、ファンマーケティングを意識しました。まずは出演アーティストのファンが日々どんなことをツイートしているのか、どんな時間にツイートするのかを、ソーシャルリスニングツールを使って調査しました。例えば、アーティストAのファンは、日曜の夜10時にツイートが増える、アーティストBのファンは日曜の深夜0時に増えるなど、明らかな特徴がありました。全アーティストのファンの傾向を調べて、投稿時間を組みました。
-アーティストによって、ファンが活性化する時間帯があるのですね。
はい、あとハッシュタグの使い方にも力を入れました。ソーシャルリスニングからアーティスト名と一緒によく使用されるハッシュタグを調べたところ、同じアーティストでも、略称や語順などが異なる複数のタグが使われていることがわかりました。なので、それらのタグを全部入れて投稿するなど、ファンを取り逃がさないようにしました。
特に外せないのは、アーティストとファンが使う独特の用語ですね。例えば、ファンの呼び方、メンバーカラー、アーティストを表す絵文字など、ファンにはわかる符丁のようなものがあるので、それを投稿に取り入れました。アーティストとファンの「共通語」を理解するために、私自身が出演アーティスト24組のファンになりましたし、それを見たファンから「公式さんが推し色使ってくれてる」「中の人はファンなのでは」という反応があり、コメント数のアップにつながりました。
-24組ものファンになるというのは、すごいですね!
「ベストヒット歌謡祭」が他の番組のアカウントと違うのは、取り込めるアーティストのファンのボリュームが大きいことです。そのため、0からファンを作るのではなく、すでに存在するアーティストのファンのボリュームを仮に100とした時、100集めて、彼らに宣伝部員になってもらうことを目指しました。いわば、100×24アーティストを味方につけて、拡散に協力してもらったのです。
トレンド入りは「狙った」。話題量を増やす企画を綿密に構築
-放送日だけでなく、放送前にも番組名がトレンド入りしたのは、こうした多鹿さんの思いがあるのですね。
トレンド入りは、番組を知らない人や音楽好きの人など、公式アカウントからの発信だけでは、どうしても届かない層にリーチできます。放送前にもトレンド入りしたのは偶然ではなく、トレンド入りを目標に狙って企画を実施しました。
1回目は、出演者発表と番組観覧招待のフォロー&リツイートキャンペーンを同時期に実施してトレンド入りしました。2回目は、LINE MUSICさんと連携して、アイドルグループの歌詞クイズを実施しました。その同日に追加の観覧招待キャンペーンなど、話題になる情報を複数発信しました。
放送1日前には、アーティストに番組への意気込みを話してもらう動画を短い時間幅で投稿していくことで、トレンド入りを達成しました。これらの企画では、エンゲージメントの深さだけでなく、拡散性を意識しました。
-投稿時間や画像などで意識したことはありますか?
去年から実施している出演者のハッピーバースデー企画です。今年は、アーティストの誕生日を祝うオリジナルの画像を用意して、午前0時ちょうどにおめでとうのメッセージを投稿しました。誕生日当日、アーティストの誕生日が話題になったときに、一番乗りで祝っている状態であることを意識しました。
番組の公式アカウントで誕生日を祝うことがファンに響き、「祝ってくれてうれしい」「ありがとう」というコメントが寄せられました。
TVを見ない層でも見るきっかけになる「裏配信」
-Twitterの運用は、番組の視聴にも影響しましたか?
定量調査を毎年行っていますが、その中で「ベストヒット歌謡祭の告知、PRを見た場所」を聞いたところ、Twitterは電子番組表や新聞のテレビ欄に迫る割合でした。他のSNSと比べても高い割合でしたので、これは大きな成果だと言えます。
特に、普段テレビを見ない層へのアプローチができました。テレビの視聴頻度でヘビー、ミドル、ライトに分けて番組視聴のきっかけを調査したところ、テレビ上での宣伝はヘビー>ミドル>ライトの順で効果がありましたが、Twitterは逆でライト層に最も効果があったことがわかりました。
-インターネット同時生配信=裏配信についても教えて下さい。
裏配信は、番組のリアルタイム放送と同時に、芸人さんをMCに出演者が登場して、フリートークや本放送へのコメントをするインターネット上の番組です。
裏配信を見ると、テレビの本放送を見なくなるのでは、という危惧があるのですが、調査をしてみると逆で、裏配信を見た人のうち60%前後は本放送の視聴時間が長くなる傾向がありました。
Twitterの運用の観点からいうと、Twitterから地上波のテレビに結びつけるには、視聴端末(TV or スマートフォン)も視聴環境(室内 or どこでも)も異なります。そこに、スマホから見られる裏配信が加わることで、地上波のテレビを見るきっかけになります。つまり、Twitterから裏配信に誘導することで、その先のテレビにつなぎやすくなるのです。
Twitterでの裏番組の告知では、出演アーティストにクイズを出してもらって、答えは裏配信で発表という企画をやりました。裏配信を見る動機を事前に作ることで、視聴数も大幅アップしました。
-ありがとうございます。では最後に、多鹿さんが考えるTwitter運用のポイントとは?
日頃から番組や出演者のファンがSNS上でどういう会話をしているのか把握することが大事です。新しいコンテンツを作ってゼロを1にするというよりも、話題になりそうな「火の出どころ」を見つけプッシュして、100にしていくことを考えています。
そして、投稿時間や投稿の見え方を意識することも重要です。この2つは、運用ツールとして利用しているコムニコ マーケティングスイートが大いに役立ちました。
お話したように、ファンが活性化している時間や、誕生日を一番に祝うなど印象に残りやすい時間を狙って投稿しましたが、予約投稿機能を使うことで、その時間にピンポイントで投稿できます。日付が変わる0時0分まで待機していなくてもいいですし、うっかり時間を過ぎてしまうこともありません。
また、Twitterはツイートの見た目が内容のわかりやすさにつながります。改行や絵文字、写真など、どのように表示されるのかを本番投稿する前に、コムニコ マーケティングスイートのプレビューで確認できるので便利でした。
*讀賣テレビ放送様のコムニコ マーケティングスイート活用について、詳細はこちらのインタビューをご覧ください。
まとめ
今回は、読売テレビ『ベストヒット歌謡祭』Twitter運用のコツをおうかがいしました。
まとめると、
・すでにいるファンのことを研究し、自分もファンになりきる
・話題になりそうなネタを見つけ、積極的に取り入れる
・1日で話題になるトピックを複数投稿し、トレンド入りを狙う
・投稿管理ツールを活用し、投稿時間や投稿の見え方を工夫する
などが重要なポイントと言えそうです。
讀賣テレビ放送様にご導入いただいているコムニコ マーケティングスイートは、SNS運用担当者の作業負荷を減らすために開発したSNSアカウント投稿・分析ツールです。無料トライアルもありますので、ぜひお問い合わせください。
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2018年に株式会社コムニコへ入社。コンテンツクリエイターとして、企業・自治体のSNS企画・運用・コンテンツ制作を行う。コムニコが持つ知見を広めるために編集経験を活かして「We Love Social」運営・編集・記事執筆などのコンテンツマーケティングを担当。一般社団法人SNSエキスパート協会認定講師としてSNSに関する安全で正しい知識の啓蒙にも努めている。