「お堅い業界」こそSNSが効く!?金融・保険業界のインフルエンサー活用事例

あらゆる業界でSNS活用が進む昨今、硬派なイメージのある金融・保険業界も、それは例外ではありません。
しかし、SNSを運用するにあたって「商品が難しく、SNSでの伝え方がわからない」「信頼性と親近感の両立が難しい」といった悩みをお持ちのマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、インフルエンサー活用です。
一見、情報発信を第三者に託すのは壁が高そうに思えますが、企業と生活者の間にインフルエンサーが介在することで、難しい情報を生活者の視点で噛み砕いて伝えてもらえたり、広告では届かない若年層に情報を届けたりできるというメリットがあります。
本記事では、金融・保険業界でインフルエンサーを活用した事例をご紹介します。ぜひ施策検討の参考にしてみてください。
なぜ今、金融・保険業界でインフルエンサー活用が「注目されている」のか
商品・サービスの仕組みや法規制が複雑な銀行や証券、生命保険などの金融・保険業界でも、より多くの人に情報を届ける手段としてSNS活用が進んでいます。しかし、SNSで複雑な情報をわかりやすく伝え、若い世代も含めて自分事化してもらうというのは、そう簡単なことではありません。
そこで昨今注目を集めているのが、インフルエンサーの活用です。
インフルエンサーにイベントやオリエンテーションを通して商品やサービスについて理解してもらい、あらためてその良さや魅力をいち生活者の視点から語ってもらうことで、一般の生活者にもわかりやすく伝え、金融や保険の商品も身近なものだと感じてもらいやすくなります。インフルエンサーには、いわば「複雑な情報の翻訳者」の役割を果たしてもらうことができるのです。
また、特に若年層は、企業が発信する広告や投稿を敬遠したり、懐疑的に捉えたりする傾向があります。
Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)の調査によると、広告をZ世代向けに制作しているにもかかわらず、そうした広告を見た後のZ世代の行動として、最も多かったのは「特に何もしないが、心の中では冷めた気持ちになる」という回答でした。次いで、「すぐにスキップしたり、非表示にしたりする」 、「そのブランドの他の投稿を見る気がなくなる」と続きます。

こうした反応から、若年層には「広告離れ」が起きているだけでなく、広告自体がマイナスに働いてしまうといったことにもつながりかねないことがわかります。
加えて、以下のように、広告や企業のSNS投稿を見ても、Z世代の自分事化にはつながっていないことがわかるデータも。

一方で、Z世代が信頼できると考える情報源について聞いた質問では、最も多くの人が、企業が発信する広告やSNS投稿よりも「UGC(一般のユーザーや友人の投稿)の方が圧倒的に信頼できる」と回答しています。「UGCの方がやや信頼できる」と回答した人も合わせると、「UGCの方が信頼できる」と回答した人は53%にのぼり、「企業広告の方が信頼できる」(23%)を大きく上回りました。

また、株式会社コムニコがショート動画について独自に実施した調査では、信頼できる投稿の2位に「おすすめに流れてきた知らない人(フォロー外)の投稿」、3位に「インフルエンサーの投稿」がランクインしています。

参考記事:【ショート動画 × 購買行動】 TikTok・Instagram・YouTubeユーザーの意識データ|600名調査レポート(2025)
以上の結果から、インフルエンサーの活用は、情報の信頼性の向上や自分事化に非常に有効であると言えます。他業界も含めて、インフルエンサーの活用方法も確立しつつある今、これを活かさない手はありません。
金融・保険のインフルエンサー施策でぶつかる「3つの壁」
一方で、金融・保険業界の企業がインフルエンサーを活用する際には、さまざまな壁にぶつかることがあります。
まとめると、大きな壁は次の3つです。
①法規制・コンプライアンスの壁
広告や公式情報を発信する場合と同様に、金融商品取引法や保険業法における広告の表現規制、銀行法の誤認防止義務などの法規制は、インフルエンサー施策においても遵守する必要があります。また、生活者からの信頼を失わないために、コンプライアンスの徹底が重要です。
そのため、業界の専門家ではないインフルエンサーが発信する場合であっても、法的なリスクやコンプライアンス違反を防ぐ方法を考える必要があります。
②心理的抵抗・警戒感の壁
投資や保険に対するユーザーの心理として、どうしても抵抗感や警戒感を持たれてしまうことがあります。インフルエンサーによる投稿であっても、広告のような雰囲気になりすぎてしまうなど、伝え方によっては抵抗感を持たれることがあるため、生活者視点や親近感といったインフルエンサー施策の利点を最大限に活かす工夫が必要です。
③情報の正確性・専門性の壁
インフルエンサーの視点で情報を伝えてもらうといっても、誤った伝わり方になってしまえば、元も子もありません。そうならないために、インフルエンサーには情報をしっかりと理解してもらい、発信情報の正確性を担保できるようにする必要があります。
【目的別】金融・保険のインフルエンサー活用事例
上記のような壁を乗り越え、インフルエンサーを有効活用している事例を、施策の目的別にご紹介します。
ぜひ自社の目的にあわせた企画立案の参考にしてください。
保険の必要性を実感させる
■アフラック(Instagram)
アフラックは、インフルエンサー自身の人生や経験の「ストーリー」に乗せて、闘病やサポートの重要性をエモーショナルに伝え、自分事化を促しています。ご紹介する2つの事例では、どちらもインフルエンサーをイベントに招き、実際に体験した感想をインフルエンサー自身の言葉で伝えてもらっています。
以下は、新しい医療保険「あんしんパレット」発売記念に合わせたインフルエンサー施策。「あんしんパレット」の発売記念で開催したイベントにインフルエンサーを招き、家族で体験する様子を写真とともに投稿してもらっています。イベントの感想を綴ったテキストも含めて、ユーザーに人生や保険によるサポートを考えるきっかけを与えています。
続いてこちらは、がん保険に関するイベントにインフルエンサーを招き、その様子を投稿してもらっています。インフルエンサーは、体験の感想を自身の家族の経験も踏まえて伝えており、リアルな質感で闘病の辛さや保険によるサポートの大切さが感じられる内容になっています。
■マイシュアランス/キャンセル保険(Instagramリール)
マイシュアランスは、やむを得ず旅行をキャンセルしなければならなくなった場合に、キャンセル料を100%負担するという「キャンセル保険」の商品をインフルエンサー施策で訴求。それぞれのインフルエンサーの視点から、小さな子どものいる家族であれば思わず「あるある」と頷きたくなる実体験を交え、キャンセル保険の有用性を伝えています。
資産形成・住宅ローンの理解を促進する
■モゲチェック(Instagram)
住宅ローンの比較・シミュレーションサービスを提供するモゲチェックは、ファイナンシャルプランナーとして節約の仕方などを発信するインフルエンサーを起用。住宅ローンの金利がお得になるキャンペーンを、具体的な金額を引き合いに出すなどわかりやすく発信してもらうことで、節約に興味のあるユーザーにダイレクトに情報を届けています。
日常接点からサービスへの興味関心を高める
■三井住友カード(Instagramリール)
ハローキティデザインのクレジットカードの登場を紹介するインフルエンサー施策。インフルエンサーの日常を切り取ったVlogのような動画に乗せて、カードのメリットも訴求しています。日常でカードを使う様子をイメージさせる内容で、サービスへの興味関心を高めています。
■モバイル保険(Instagram Reels)
スマホの修理費用を補償するモバイル保険は、ガジェットを紹介しているインフルエンサーを起用して、サービスを訴求。「スマホの画面割れ」という、誰にとっても身近なリスクを例に、それをお得に補償してくれるサービスを紹介しています。保険の適用範囲はスマホだけでなく、Bluetoothにつながる機器であれば3台まで対象となるため、ガジェットに興味があり、そうした端末を多く持っているであろうフォロワー層にぴったりの訴求となっています。
「金融・保険×インフルエンサー」施策成功のポイント
ご紹介した事例も踏まえて、金融・保険業界の企業がインフルエンサー施策を成功させるためのポイントをまとめます。
まず重要なのは、インフルエンサーとしてどのようなクリエイターを起用するか。インフルエンサーにはさまざまなタイプのクリエイターがいて、それぞれが異なるフォロワー層を抱えています。その中でも、金融・保険業界の場合は、「誠実性」や「ターゲットとの相性」を重視した人選が重要です。
たとえば、アフラックの事例では、クリエイターが自身の経験や思いも含めてテキストでしっかりとサービスの重要性を語るなど、投稿からも「誠実さ」が感じられます。また、モゲチェックの訴求ではお金の専門家であるファイナンシャルプランナーを起用し、その人の口から直接語られることで情報の確実性や信頼感を高めています。
ターゲットがそのクリエイターのフォロワーに多く含まれることも重要です。マイシュアランスは、キャンセル保険を必要としやすいターゲット像に「小さな子どものいる旅行好きな家族」を定め、そうしたフォロワーを多く持つであろうクリエイターを起用しています。また、モゲチェックは節約に関心の高いフォロワー層、モバイル保険は保険の対象となるガジェットに関心の高いフォロワー層と、こちらもターゲットとの相性の良さがうかがえます。
加えて、インフルエンサー施策では「売り込み」ではなく、ユーザーの悩みを解決する「文脈づくり」を意識することが大切です。情報を詰め込みすぎるのではなく、各クリエイターの得意領域や実体験も含めた独自の視点で、それぞれのフォロワーに寄り添った文脈を考え、納得感のある伝え方にしましょう。
また、コンテンツの投稿前には、コンプライアンス管理の徹底も必要です。
投稿内容に誤った情報が含まれていないか、PR表記が適切に行われているかなどは、事前に必ず確認しましょう。
Instagramの「ブランドコンテンツツール」や、Xの「有料パートナーシップ」など、各プラットフォームが提供する機能の活用もおすすめです。
参考記事:Instagramのタイアップ投稿ってなに?ブランドコンテンツツールの使い方や分析方法
参考:Xヘルプセンター「有料パートナーシップポリシー」
まとめ:信頼を獲得し、行動へ繋げるために
金融・保険業界は「お堅い」からこそ、法やコンプライアンスの遵守、情報の正確性などを担保した上でインフルエンサーを活用すれば、さらなる信頼感の醸成や自分事化につなげることができます。
また、インフルエンサーの選定や投稿内容の確認といった重要なポイントをしっかりと押さえれば、インフルエンサー施策でぶつかりがちな壁にもしっかりと対処できるため、むやみにインフルエンサーの起用を怖がる必要もありません。
株式会社コムニコでは、さまざまな業界の企業に対してSNSの運用支援やインフルエンサー活用支援を行っており、豊富な実績を持っています。インフルエンサー施策に関するお悩みはもちろん、複雑な商材をSNSを通じてどのように届けるかお悩みの際や、人手が足りないといった際にも、SNSに関することであれば何でもコムニコにご相談ください。

SNS運用コンサルタントとして様々な企業のSNSマーケティングを支援してきました。現在はマーケティングプランナーとして「We Love Social」の編集やセミナーの企画を担当しています。








