【マーケター必見】AI時代のブランディング最前線|Meta Festival 2026注目セッションレポート

InstagramやFacebookを提供するMetaが、広告主向けイベント「Meta Festival 2026」を開催。AIの進化によって生活者の情報消費スピードが加速する今、企業にはこれまでの広告手法からのアップデートが迫られています。Metaが提唱するブランド構築手法「コンパウンド・ブランディング」をキーワードに、マーケターが今おさえるべき最先端の知見が詰まったイベントの模様をお届けします。(2026年5月26日開催)
はじめに|Meta Festival Japan 2026とは
「Meta Festival Japan 2026」は、Metaが2026年5月26日に開催した広告主・企業向けのイベントです。一部のパートナー企業を対象にした招待制の形式で実施されました。
オープニングでは、Meta日本法人 Facebook Japan 代表取締役 味澤 将宏氏が登壇。「Together creates better - Metaで広がる無限の可能性」と題して、プラットフォームの概況や、AI技術のアップデート、クリエイターを活用したブランディングについて語りました。登壇内容を元に、We Love Social編集部が要点をまとめます。
Meta Festival 2026で押さえておきたいポイント
-
AI時代は「コンパウンド・ブランディング」が効果的
-
短尺動画を多面的に発信することが重要
-
クリエイターとの共創が成果につながる
-
データを活用した広告設計が求められる
動画コンテンツが牽引する「Instagram」
Metaが展開する全アプリ(Instagram、Facebook、Threads等)を合わせたデイリーアクティブユーザー(DAU)は35億6,000万人に到達。実に世界人口の約半分が、毎日何らかのMetaアプリを利用している計算になります。

また、日本国内のInstagramユーザー数は今なお伸長を続けており、生活に根付いたプラットフォームになってきています(編集部注:2023年11月時点で6,600万人以上となっており、その後も伸び続けています)。

Instagramの成長を支えているのが動画コンテンツで、Instagramの滞在時間の60%を動画視聴が占めていることが発表されました。 そのうち「リール」は、グローバルでは1日45億回以上シェアされており、なかでも短尺動画が多く視聴されています。
急成長を続ける「Threads」
昨年に引き続き、急激にユーザー数を伸ばしたThreads。グローバルでは月間アクティブユーザーが4億〜5億人に迫る勢いの中、日本は最も成長が早く、エンゲージメントが高い最重要マーケットです。2025年4月からは広告機能が導入され、企業のマーケティング活用も急速に拡大しています。
AI投資がもたらす「安全」と「共創」の可能性
「すべての人のためのAI」を掲げ、AI技術に惜しみなく投資を行ってきたMeta。アップデートや成果、AIを活用した新しいマーケティングの形が共有されました。
アップデートと投資成果
日常のコミュニケーションを劇的に変える最新テクノロジーの動向から、マーケティングを支えるAI投資の裏側まで語られました。
-
新AIモデル「Muse Spark」
2026年4月にローンチされたばかりの「Muse Spark」 は画像と文字・言語を同時に高度処理できる「マルチモーダル」に優れたAIモデルです。今後、InstagramのDMやMessenger、WhatsApp上で利用できるようになります。

-
AIグラス「Ray-Ban Meta」日本上陸
かねてよりMetaが開発を進めてきたAIグラス。その中の「Ray-Ban Meta」が日本でも販売開始しました。見たものを認識して翻訳し、日本語の音声で答える機能などが搭載されています。2026年6月には、ライブ翻訳機能がアップデート予定です。

-
「Advantage+」が示した投資成果
AIによるリアルタイム最適化と行動予測を活用し、「商品が人を見つける」状態を実現する広告プロダクト「Advantage+」。Metaの調査によると、そのROAS(費用対効果)が昨年比22%向上しました。
安心・安全への取り組み
昨年グローバルで削除された約1億6,000万件の詐欺広告のうち、92%はユーザーから報告される前にAIが自動で事前検知・削除していたことが発表されました。また、日本やタイの警察と連携し、東南アジアの詐欺ネットワーク摘発にも貢献。今後も安全面への投資は継続される予定です。

「コンパウンド・ブランディング」とクリエイター活用
Metaが提唱する、AI時代の新しいブランド構築手法が「コンパウンド・ブランディング」です。
多様な価値観のコミュニティが無数に生まれているInstagram。Metaは、1つのビッグアイデアを1つのクリエイティブで発信するのではなく、短尺動画を中心とした多量・多様なコンテンツを、AIの力で各コミュニティに広く届ける手法を提唱しています。
コンテンツのバリエーションを広げるにあたって、クリエイターの重要性も示されました。Metaのデータでは、利用者の71%が「Instagram等でクリエイターのコンテンツを見た数日以内に商品・サービスを購入した」という結果が出ており、同じ価値観を持つクリエイターへの信頼が購入の強いきっかけになっていることがわかります。

「このイベントが、新しい価値を生み出すヒントとなれば」。そう結んだ味澤氏の言葉通り、Metaが推し進めるAIテクノロジーの進化は、単なるビジネスの効率化を超えて企業と人の結びつきを強め、豊かな関係性を生み出す未来を予感させるものでした。
Instagramで実現する、AI時代の新たなブランド構築
本セッションでは、株式会社ビデオリサーチ シニアフェロー 吉田 正寛氏、クリエイター atsuyan氏、Facebook Japan 執行役員 営業本部長の南 勲氏、同社クライアントパートナー岩崎 譲二氏が登壇。
生活者起点に立ち、短尺動画の継続的な積み重ねやクリエイターの世界観を活かして多面的にアプローチする新手法「コンパウンド・ブランディング」の重要性と実践方法が語られました。
AI時代がもたらす生活者の変化と「届かない広告」の課題
AI時代へと移行する中、生活者を取り巻くメディア環境は激変しました。現在は高度なパーソナライズが進み、生活者は自身の興味に特化したコンテンツを好む傾向を強めています。
これに伴い、自分ごと化できない強制的な広告はスルーされやすくなり、従来の広告手法が利きづらくなっているのが現状です。

この背景には、生活者の脳の進化と、それに伴う情報処理スピード・受容方法の変化があります。
-
情報処理スピードの向上
人間の脳はわずか0.4秒でモバイル広告を認識・判断しており、若年層は年配層の3倍のスピードでコンテンツを消費することがわかっています。
-
「任意視聴」の価値
ユーザー自らが広告を選択して見る「任意視聴」は、強制的に見せられる広告よりもブランド想起率が高くなります。
-
「短尺×複数回」の累積効果
Metaのデータによると、動画を1回継続して視聴する「継続アテンション」よりも、短い動画に何度も接触する「累積アテンション」のほうが、広告想起のリフト単価が23%低く、売上成果にも21%貢献することが分かっています。
情報が爆発的に増えるAI時代において、企業は「短尺・断片的」な消費環境を前提とし、いかに生活者に能動的に選ばれ、視聴体験を積み重ねてもらうかという視点へのアップデートを迫られています。
コミュニティと共創する新戦略「コンパウンド・ブランディング」の実践
「コンパウンド・ブランディング」を実践する上で、Instagramは以下の点において、きわめて親和性の高いプラットフォームであると言えます。
-
ユーザーの「好き」や「欲しい」が蓄積していくストック型のアルゴリズム
-
アイデアを表現できる多様なフォーマット(フィード、ストーリーズ、リール)
-
多彩な広告ソリューション

コンテンツの多量・多様化が要である「コンパウンド・ブランディング」においては、プラットフォーム上でコンテンツを生み出しているクリエイターとのコラボレーションが鍵となります。
重要なのは、企業の訴求したいメッセージを強調するのではなく、各コミュニティのカルチャーを熟知したクリエイターの世界観を尊重して表現を委ねること。一生活者でもあるクリエイターの目線を持ったコンテンツを共創することで、「任意的に」選ばれ、生活者の心に深く刺さる広告となるのです。
資生堂のコンパウンド・ブランディング実践事例
本セッションでは、資生堂ジャパン株式会社 ブランドマーケティング本部 伊藤 成彦氏、クリエイター 志村 美希氏、株式会社博報堂 田端 和弘氏、Facebook Japan マーケティングサイエンスパートナー 倉迫 有沙氏、同社クライアントパートナー 小﨑 勉氏が登壇。
2025年から2026年にかけてInstagramを軸にマーケティングを展開し、「季節性商材」からの転換をはかった資生堂アネッサブランドの事例を語りました。
2025年:「日常使いのアネッサ」を目指すクリエイティブ戦略
資生堂の日焼け止めブランド「アネッサ」は、夏やレジャーのイメージが強すぎるあまり、日常使いのブランドとして選ばれにくいという長年のジレンマを抱えていました。テレビCMや店頭施策だけでは生活者一人ひとりの日常の文脈に入り込むことが難しかったため、同社はInstagramの活用を大幅に強化。2025年には、ブランド広告とパートナーシップ広告を併用し、日常におけるベネフィットの訴求を目指しました。

ブランド広告:クリエイティブの多様化
資生堂は、商材のベネフィットを細かく切り分け、それぞれ異なるクリエイティブを制作して広告配信を行いました。さらに素材を「短尺・縦長」に変更し、フィードやストーリーズ、リールなど、プレイスメントごとの最適化を徹底して行いました。
パートナーシップ広告:インサイト分析を活用
クリエイターのキャスティングにインサイト分析を活用した結果、日焼け止めユーザーの検索行動から、美容やアウトドアだけではなく、「プレ花嫁」など想定外のコミュニティとの関連性を発見。このインサイトを元にクリエイターへのオファーを行い、これまでリーチできなかった新規層へアプローチする戦略的な基盤を整えました。
クリエイターとのコミュニケーション
ブリーフィングでは、企業がマストで訴求したいメッセージは明確に伝えつつも、クリエイター自身の世界観を理解し、尊重する「共創」の姿勢を徹底。志村氏からも「普段の私生活の中で自然に商品が写り込む見せ方が、最もフォロワーに響く」と語られ、クオリティの担保には企業とクリエイターの対話が不可欠であることが示されました。
2026年:評価指標・配信手法のアップデート
前年の取り組みを経て行われたのが評価指標のアップデート。一般的な指標であるクリックや完全視聴といった項目はビジネス成果に直結しないという観点から、Metaリフト調査やデータクリーンルームでの詳細分析の結果を反映したプランニングが行われました。

データに基づいた配信設計
詳細分析の結果、実購買率が向上した5項目は以下の通り。この項目を網羅するべく、2026年の広告配信手法に反映していきました。
-
複数アセット・フォーマットに重複接触する
-
複数クリエイターの広告に接触する
-
フリークエンシーを重ねる
-
最適化されたターゲットに配信する
-
ブランド広告→パートナーシップ広告の順に接触する
さらに、最新の広告ソリューションも活用することで、ブランド効果の最大化を狙いました。
その結果、Instagram内での会話量は70%増加し、実購買においても日常使い用の2つの製品の売上が、それぞれ前年比プラス190%超、290%超を記録。長年の課題を突破し、劇的な売上アップを達成しました。
生活者インサイトへの深い理解と実購買データに基づく緻密な戦略設計によって、長年抱えてきたビジネス課題の解決を成し遂げた資生堂。
伊藤氏は最後に、「プロジェクト当初からコンパウンド・ブランディングを実践したいと考えていたわけではない」と語っています。地道に一つひとつの取り組みを積み重ねることが、結果的に時代に即したブランディングを形づくり、大きなビジネス成果を生むことを示したセッションとなりました。
クリエイターマーケティングの広告ソリューション
これ以前のセッションでも語られてきた通り、コンテンツの多様化を目指すにあたって、クリエイターを起用したパートナーシップ広告は非常に有効な手段のひとつです。
本セッションでは、Facebook Japan Partner Solutions Manager 山谷 道裕氏によって、パートナーシップ広告の活用方法やメリットが、ブランド・クリエイター双方の視点から語られました。
成果を最大化する「戦略的パートナーシップ」の構築と実践ノウハウ
現代は個人がカルチャーや影響力を形成する時代であり、企業のメッセージは信頼される「クリエイターの声」と融合することで、より大きな成果を発揮します。Metaの調査では、対象者の53%が「クリエイターが宣伝していれば購入可能性が高まる」と回答。クリエイターは単なる認知獲得にとどまらず、購買行動にまで影響を与えるフルファネルの強みを持っています。

「パートナーシップ広告」のメリット
クリエイターの影響力をビジネス成果へ確実に繋げる手法が「パートナーシップ広告」です。従来のオーガニック投稿(通常の投稿)と比較すると、以下のような違いがあります。
-
オーガニック投稿
リーチ範囲やターゲティングはアルゴリズムや既存のオーディエンスに依存し、ブランド側でのコントロールが難しい
-
パートナーシップ広告
Metaの高度なターゲティングシステムにより、届ける相手やボリュームをコントロールすることが可能
Metaの調査でもその効果は実証されており、通常広告にパートナーシップ広告を追加すると、「Z世代の受容性」や「購買意欲の向上」などの項目においてスコアの上昇が見られ、平均クリック率(CTR)においては13%向上するという結果が示されています。
企業のメッセージにクリエイター特有の表現が加わることで、従来の広告には反応しなかった新規層へ効果的にリーチできる点が、最大のメリットだと言えるでしょう。
クリエイターとの協業を成功させる「最大の鍵」
クリエイターとの協業を成功させる秘訣は、外注先ではなく「戦略的パートナー」として迎えることです。完璧な台本を用意するのではなく、アイデアを渡して表現を委ねる共創の姿勢が求められます。
-
過度な演出はNG
作り込まれた演出や、クリエイターの個性を消してしまうような細かい修正は、エンゲージメントを低下させる可能性があります。
-
自由な創作環境の提供
目的や必要最低限の情報を伝えた後は、クリエイターが自由に創作できる環境を提供することが、結果として成果物の質を高める近道となります。
クリエイターから見たパートナーシップ広告
ブランドとコラボレーションすることでクリエイターが得られるメリットは、収益面だけにとどまりません。広告としてブーストされることで、自身のコンテンツだけではまだリーチしきれていないユーザーにも届き、認知拡大、フォロワー獲得、クリエイターとしてのポジショニング強化といった、自身のブランド構築につながるのです。
ブランドとのパートナーシップ基盤を作るには、クリエイター側からの積極的な働きかけも重要です。ブランドにパートナーシップ広告の実施を提案する、エンゲージメント率や過去の実績を整理し、自分の価値を正しくブランドにアピールするといったアクションのほか、ブランドとクリエイターをつなぐプラットフォームを利用するのも有効です。
そのひとつが、Meta公式マッチングツール「クリエイターマーケットプレイス」。AIを用いた最適なパートナーの発見からデータによる効果検証まで、双方が持続的に成長できる環境をサポートしています。

クリエイターとのパートナーシップは、これからのSNSマーケティングにおけるスタンダードとなっていくと予想されます。アルゴリズムが激しく変化し、ユーザーの広告への目がシビアになる今、成果の鍵を握るのは「何を語るか」ではなく「誰が語るか」という信頼の文脈だと言えるでしょう。
その文脈に合わせた「共創の仕組み」に向けて舵を切ることが、ビジネス成果を次のステージへ進める第一歩となりそうです。
まとめ:AI時代を勝ち抜くSNSマーケティングのヒント
Meta Festival 2026の各セッションを通じて一貫していたのは、「AIテクノロジーの進化に伴い、企業のブランディング手法もアップデートしなければ広告が届かない時代になった」という強いメッセージです。
情報が爆発的に増え、生活者の情報処理スピードが加速する中、これからのSNSマーケティングで成果を出すための要点は以下の2つです。
- 「コンパウンド・ブランディング」の実践
- 「戦略的パートナー」であるクリエイターとの共創
これら2つの要素を地道に積み重ね、資生堂の事例のようにデータに基づいた緻密な配信設計へと落とし込むこと。これこそが、激変するAI時代の情報環境において、ビジネス成果につながる可能性のあるアプローチであると言えるでしょう。
しかし、目まぐるしく変化するアルゴリズムや新機能を捉えながら、ブランディングのゴールに向けて運用し続けるのは容易ではありません。時代の潮流をいち早く掴み、的確なマーケティング戦略を立てて進めるためには、トレンドとデータの双方に精通した専門パートナーの存在が不可欠です。
We Love Socialを運営する株式会社コムニコでもMeta広告やInstagram・Threads・Facebook運用支援・コンサルティングを行っています。SNS黎明期である2008年に創業し、これまで大手企業を中心に3,000件以上*の運用支援をしてきました。(*2026年3月末時点)
コムニコでは、この豊富な実績と最新の知見に基づき、お客様のSNSマーケティング戦略をトータルでサポートします。
「自社でもコンパウンド・ブランディングを実践したい」
「クリエイターの選定や、パートナーシップ広告の運用をプロに任せたい」
このような課題をお持ちの企業担当者様は、ぜひコムニコにご相談ください。
>>コムニコとは?サービス案内資料をダウンロードする
>>コムニコにInstagramなどSNS運用支援を相談する
<関連記事>
📌Instagramインサイトの分析・解析方法を徹底解説-リーチ、閲覧数(Views)、エンゲージメントの活用法
📌【Threadsアルゴリズム】伸びる企業アカウントの運用術 — Meta発表会で判明したThreadsのこれから

化粧品会社にてオウンドメディアの企画制作に従事した後、コムニコへ入社。コンテンツクリエイターとして、食品や医薬品など多岐にわたる業界のSNSアカウントを担当し、クリエイティブの企画制作・運用支援を行っています。







