東急ハンズの中の人が教える、Twitter運営の10か条とは?−SNSマーケティングセミナーレポート
「東急ハンズに学ぶ、SNS活用のポイント」と題したセミナーが2016年10月25日にコムニコ本社にて開催されました。登壇したのは、2009年から東急ハンズのTwitter公式アカウントの「中の人」として運用を担当する株式会社東急ハンズ 営業企画部 営業企画課 本田浩一氏。今回はセミナーの内容をお伝えします。
東急ハンズさんのソーシャルメディアアカウントの一覧は公式サイトにも網羅されているので、ぜひ記事を読む前にフォローしてみてくださいね!
Twitter運用歴7年!
Twitterのソーシャルメディアアカウント運用が注目され始めたのが2010年。東急ハンズではその1年前にTwitterの運用を開始されました。当時は「ちょっとやってみようか」という感じで運用を開始したそうですが、今はお客さまとの重要なコミュニケーションツールとして位置づけられるほどに、社内でも期待が上がっているそうです。
本田氏は、この7年間で部署を4回変わったとのことですが、その間もずっとTwitter運用を担っていらっしゃいます。7年間公式アカウントを運用しているというのは、日本では最長クラスなるのではないでしょうか。
企業のSNSアカウントの作法10か条
今回のセミナーでは、この約7年間のTwitterの投稿ノウハウを「企業アカウントの作法10か条」にまとめてくださったのでこちらを紹介いたします!
1.時間を決めて定期的にお決まりの投稿をする
朝のおはようの挨拶、ランチタイムの話題、週末や月末など、決まった時間、あるいはタイミングでお決まりの投稿をしています。
これは、ユーザが盛り上がっているタイミングに参加できること、そしてフォロワーからこの時間にいるな、と思ってもらえるという効果もあります。
また挨拶だけではなく都内の天気やキャンペーンなどのタイムリーな話題とともに投稿するのが、ハンズ流です。
おはようございます。今朝の東京都内は薄曇り。気温は、秋の深まりを感じる涼しさです。
— 東急ハンズ@今年で創業40周年 (@TokyuHands) 2016年10月29日
さて、東急ハンズ・ハンズ ビー全店で実施中の「 #ハンズクラブアプリ 限定10%オフ」はいよいよあと3日!https://t.co/XqPMdYlHaO
欲しいモノ、手に入れるなら今ですよー! pic.twitter.com/C2T0gAevR6
朝のツイートなどは、予約投稿で自動投稿するのも手です。しかし、天気などその時でないと入れられない情報を含めることで、人間味のあるやり取りがしやすくなるというメリットあるので、臨機応変に挨拶するのも手ですね。
2.臨場感のある投稿
Twitterはオンライン上でのやり取りだからこそ、本物の臨場感が必要です。写真は一緒に投稿したほうが反応がよいので、できれば一緒に投稿する方がよいです。紹介するものは、飲み物なら飲んでから、道具なら使ってから、投稿するべきだと本田氏は言います。というのも、体験せずに投稿している内容は「バレる」から。
こちらは、ららぽーと湘南平塚に出店した新しい店舗を紹介する投稿。自分で電車に乗ってお店まで行き、写真を撮影して投稿したそうです。体験があることで「ユーザ同士で共有したくなる情報」になるのですね!
平塚の銘品が勢揃い!「ジモトON」コーナー。 #HandsNow pic.twitter.com/92Eeo1VIwM
— 東急ハンズ@今年で創業40周年 (@TokyuHands) 2016年10月23日
3.自分のキャラを隠さず自然体で投稿する
東急ハンズのTwitterアカウントは、本田氏そのものだそうです。そもそも、自分とは別のキャラを演じるのが苦手だったことから、本人そのもののTwitterアカウントとして運用していることもあり、自分の言葉で伝えられることが強みになっているそうです。
もちろんキャラを演じるのが好きなら、そのキャラになりきって運用するのよいでしょう。どちらにせよ、自分が楽しめなければ、お客さんを楽しませることはできない、と本田氏は強調しました。
(´・ω・`).。oO(「情報発信の頻度が低い」とキビシイところを突かれてショボン…)
— 東急ハンズ@今年で創業40周年 (@TokyuHands) 2016年10月5日
4.エゴサーチをして、面白いものには積極的に返信
自社にまつわるキーワードで検索するエゴサーチを行い、ツイートしている人がいたら、自分から話しかけていくのも一つの手段です。
お客さんの立場から見れば、東急ハンズの看板を背負っている人から話しかけられる意外性がありますし、また「商品がない」とつぶやいている方に、商品探しをサポートすることで、ネガティブな気持ちの人をファンに変えることもできるからです。
例えば、先日とある駅の写真をアップして「東急ハンズどこだ?」といっているユーザを発見した本田氏。「その出口じゃないよーーー」というテキストだけのリプライをしました。
ここであえて、アクセスマップや住所を送らなかったのは理由があります。突然そこまで詳しい情報を伝えると、受け手によっては引いてしまうこともあるので、まずは軽く話しかけて反応を見るためです。
その後、相手からも返信があったので、その返信でアクセス詳細を送り、喜んでもらうことができたそうです。
Twitterならではの距離感のとり方の機微は運用している人ならうなずけますね。
5.投稿内容が偏らないように心がける
企業の情報発信ばかりでもダメ、個人のおしゃべりばかりでもダメと本田氏。常にバランスを意識して、およそ以下のような割合を意識するとよいそうです。
- 返信・会話:5
- おしゃべり:3
- 情報発信:2
6. 相手に合わせて会話の流れを壊さない
Twitterでは、相手にの発言内容や言葉遣いにあわせて、返事をするそうです。確かに、気軽なあいさつをしてくれた人に、丁寧過ぎる返信をしたら不自然ですよね。また、雑談でも盛り上がっていれば真剣に返信をすることも重要とのことです。
7.解決できない問題は窓口や最寄りの店舗を案内
「○○はXX店に在庫ありますか?」など、こうした質問も寄せられることがあるそうです。調べようと思えば調べられないこともないが、こういうときは、早く答えることを重視すると本田氏。店舗に直接問い合わせたほうがいいと伝え、連絡先を伝えることもあるそうです。
具体的な質問が寄せられるときは、基本的に「誰が答えるか」より「早く答える」ことを重視するという本田氏ですが、臨機応変に対応することもあるようです。お問合わせの主は海外の方。「金つぎ」という割れた茶碗を補修する接着剤を探していらしゃいました。
ツイートの主から「あなたに答えて欲しい」という熱意を感じ、自分で答えることにして、海外版のオンラインストアのアクセス方法を案内する、という対応もされていたそうです。
8.メンションやコメントにできる限り返信する
メンションやコメントは「お客さまに話しかけられたと心得る」。返信して距離を縮めることもできるからです。ただ、同様の内容が多数きたときは、「まとめてリプライ」をし、一つ一つには返信していないが、皆さんのコメントを見ていること姿勢を伝えることもあるそうです。
もうね、お答えしきれないのでまとめてお答えで大変失礼なのですけれど、東急ハンズに生鮮食品はありませんので、ご近所のスーパーで探すか、ロフトさんに聞いてみてくださいね♪
— 東急ハンズ@今年で創業40周年 (@TokyuHands) 2016年10月10日
9.SNSのコミュニケーションは店頭の接客と同じ
ネットとリアルを区別しない、一方で文字でのコミュニケーションであることを注意することだと本田氏は言います。文字なのでどこかを切り取られて発信されてしまうこともあるから注意が必要とのことです。
10.企業アカウントは凹んではいけない
ネガティブな投稿は百害あって一利なしと本田氏。「忙しい」「体調悪い」ということも前向きな言い方に変換してツイートする方法が有効とのこと。それができなければツイートはしないという判断も大切。SNSはファンとのつながりをつくるものなので、企業側が凹んで、ネガティブな発言をしてしまうことはあまり良い判断とは言えないですね。
まとめ:企業アカウントはビジターの立場で
セミナーでは、この他にも運用のコツが伝えられました。本田氏は、ソーシャルメディアは本来個人と個人のコミュニケーションの場であり、企業アカウントはビジターの立場と考えていると言います。
つまり、お客さまのコミュニティにおじゃましているのであり、そこで宣伝しても情報は広まらない。むしろ、そこにいる人達が共感できるようなコミュニケーションをしながら、ファンとのつながりを作っていくことを目指すべきだと、述べました。
企業アカウントは、戦略によって運用は異なりますが、企業アカウント=中の人の運用の場合、非常に参考になる点が多いのではないでしょうか。
ぜひ、東急ハンズさんの事例を参考にしてくださいね!
株式会社深谷歩事務所代表取締役。ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動、動画制作も行う。またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。
著書
『自社のブランド力を上げる! オウンドメディア制作・運用ガイド』(翔泳社)
『小さなお店のLINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)
『SNS活用→集客のオキテ』(ソシム)
『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』(翔泳社)
『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)