【高知県観光のSNS運用成果】フォロワーの3割が観光訪問し推定経済効果6.5億円*
企業や団体の公式SNSは、どのくらいユーザーの心理や行動を動かしているのでしょうか。
高知県では観光促進のため、TwitterとInstagramアカウントを運用しています。今回、SNS運用の効果を測るために、高知県観光SNSのフォロワーと非フォロワーを対象にアンケート調査を実施しました。
その結果、フォロワーの3分の1が高知県を訪れており、その推定経済効果は6.5億円*という驚くべき成果が明らかになりました。
*2019年7月上旬~2020年2月上旬(調査時点)の約半年間の実績
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高知県観光のTwitter・Instagramアカウント運用
SNS運用開始以前はテレビや紙媒体でのPRが主体でしたが、時代の流れにあわせてSNSによるデジタル媒体を通じたプロモーションを強化。SNSによって、ユーザーによる話題化(拡散)と観光促進、高知県のファンを増やすことが狙いです。
高知県では、「自然」をPRする「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」に合わせて、県内の自然や体験の魅力を多くの人に伝えることを目的としてTwitter、Instagramを運用しています。
高知には様々な名所がありますが、SNSで主に紹介するのは、知る人ぞ知るおすすめスポット。
以下の投稿例にあるような写真映えするような場所に加えて、高知の名産品を使ったグルメや地元民に長く愛されている郷土料理などを紹介しています。投稿文には、高知弁でメッセージを添えるなど、高知らしさを全面に押し出しています。
「四万十川源流点」を見たことある人はいますか?
— 高知観光official (@naturallykochi) March 30, 2020
雨水が年月かけて濾過され、湧き出る津野町不入山の源流点。
神秘を感じるこの場所で、大きく深呼吸。
ここでしか味わえない時間の流れを味わってみん?https://t.co/QFZtGP5bNu pic.twitter.com/AbFb0AHMCl
2019年7月には、Twitterで「リョーマの休日 #一生忘れられない高知旅行 ぷち体験キャンペーン」と題したプレゼントキャンペーンを実施しました。フォロー&リツイートで、合計100名に「高知県産品が購入できるオンラインクーポン」がその場で当たる(インスタントウィン)という内容です。キャンペーン終了時にはフォロワー数は当初の10倍となる1万8,000人に増加しました。
その後も定期的なキャンペーンを実施し、順調にフォロワー数を伸ばしています。Instagramでは、投稿へのコメント、写真の投稿で参加できるキャンペーンを実施し、こちらもフォロワー数の増加に貢献しました。
この記事では、We Love Socialを運営する株式会社コムニコが2019年〜支援している高知観光SNS運用支援について調査結果をまとめ、ご紹介紹介しています。
支援実績インタビューを読む:公益財団法人高知県観光コンベンション協会-フォロワー数が10日間で10倍に!キャンペーン後も高知県の魅力を発信し続け、長期的なファンを育成
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観光客誘致の成功事例:フォローのきっかけは「キャンペーン」
アカウントの運用開始から約半年後、SNSでつながることによるフォロワーの態度変容を調査するために、フォロワー、非フォロワーを対象にオンラインアンケートを実施しました。アンケートは、Twitter、Instagramの投稿で呼びかけ、有効回答数531名(フォロワー:365名 ノンフォロワー:166名)を得ました。
アカウントをフォローした動機についての調査では、「SNSキャンペーンに応募するため」が最も多い78%となりました。SNSキャンペーンはアカウントフォローの大きなきっかけになることがわかります。
Q:アカウントをフォローした理由として、当てはまるものを教えてください。(複数回答)
SNSによる態度変容:フォロワーの33%が実際に高知へ観光に訪れたと回答
SNSのアカウントをフォローすることで、どのような態度変容が起こるのでしょうか。フォローしてからの高知観光についての気持ちの変化を尋ねたところ、次のような結果となりました(複数回答)。
Q:公式アカウントをフォローしてから、高知観光について生じた変化として、当てはまるものを全てお選びください。
「高知観光に興味を持つようになった」が48%、「高知観光の魅力についての理解が深まった」が47%となりました。「特に変わったことはない」が約1割だったことから、フォロワーの約9割になんらかの好ましい変化があったと考えられます。
特筆すべきは、「高知観光に訪れた」が33%となり、実際の行動にも影響していることです。
観光平均消費額から推測すると、2019年7月〜2019年2月上旬(調査時点)の約半年間に6.5億円以上の経済効果があった(※1)と言えます。さらに、「高知観光の計画を立てた」は34%であり、今後の来訪見込みを含めるとそれ以上の効果があったと考えられます。
※1:当社試算において、Twitter・Instagram合計フォロワー数(3.8万人、調査時点)の1/3が、平均2人(「平成30年 県外観光客入込・動態調査報告書」では約86%が2人以上の旅行としているため)で観光に訪れたと仮定し、観光平均消費額(約2.6万円/人)を掛け合わせた推定経済効果です。
参考:平成30年 県外観光客入込・動態調査報告書(PDF)
どのくらいオススメしたい?:推奨意向度は「10」 が最多。ロイヤルティの高いコミュニティを形成
「高知観光を友人・家族・知人にオススメしますか?」というNPS調査(Net Promoter Score、推奨意向度を0〜10の11段階で評価。10が最も高く0が最も低い)では、フォロワーは「10」と答える人が最も多かったのに対し、非フォロワーでは「5」と答える人が最も多く、推奨意向で大きな差が出ました。
推奨意向と「今後10年間で何回くらい高知観光に訪れたいと思いますか?」という観光意向の設問とクロス分析したところ、推奨意向が高い人ほど観光したい回数が高い傾向にありました。推奨意向10(フォロワーのマジョリティ)」のグループでは、10年間の訪問回数予測は4.2回なのに対し、「推奨意向:5(非フォロワーのマジョリティ)」の訪問回数予測は1.5回となり、10年間の訪問回数予測に2.8倍の差が出るという結果となりました。
この結果から、SNSを通したファンづくりが将来の観光促進につながると考えられます。現在のような緊急事態宣言の発令による観光の自粛要請がある状況でも、SNSでフォロワーの興味・関心を維持することで、自粛要請が解除されたあとの観光客誘致の原動力となりそうです。
観光地の検討に影響を与える情報源:「公式SNS」と「口コミ」
高知県では、SNS運用開始以前はテレビや紙媒体でのPRを主体にしてきました。高知県の情報を得る媒体について調査したところ、次のような結果となりました。
Q:あなたが高知観光を検討した(する)際、影響を受けた(る)情報源は何ですか?当てはまるものを全てお選びください。
フォロワーと非フォロワーを比較すると、高知県の情報を得る媒体としてSNSの評価に差が見られました。SNSは各自治体が持つ観光サイトや広告の情報拡散としても活用できますし、投稿を通して、フォロワーに強い影響を与えることがわかります。
さらに、実際に口コミを行った回数を調査したところ、フォロワーは非フォロワーと比較して、対面で平均2.1倍、SNS上で平均3.4倍のポジティブな口コミを発信していることがわかりました。公式アカウントの運用で関係性を築くことで、フォロワーからの自発的な情報発信(口コミ)を誘発できることもうかがえます。
SNSでのファンづくりが観光誘致の鍵:人を動かす満足度の重要性
紹介したように、SNSの運用を通して高知県への観光意欲の向上に貢献できましたが、この背景には投稿に対するユーザーの満足度も影響していると考えられます。「投稿内容について、どの程度満足していますか?」という問いに対して、次のような結果が得られました。
Q:高知県観光公式SNSアカウントの投稿内容について、どの程度満足していますか?
「とても満足している」「満足している」を合計すると、フォロワーの約77%が満足している結果となりました。その理由については、「有名観光地以外のスポットを紹介してくれるので観光の幅が広がった」「高知についてよく知らなかったが発信を通して魅力を感じるようになった」という意見があり、投稿を通して高知の未知の魅力を伝えられていることがうかがえました。その結果が観光促進につながっていると考えられ、フォロワーの心を動かす投稿が必要であると言えます。
調査結果まとめ:現代ではSNSをきっかけに、観光へ訪れる
今回の調査により明らかになったことをまとめると、次のようになります。
- 約8割がキャンペーンをきっかけにアカウントをフォロー
フォロー&リツイートのような手軽に参加できるキャンペーンはフォロワー増加に大きく貢献します。 - フォロワーの9割に好ましい変化。実際の観光にもつながる
キャンペーンがきっかけでフォローした人でも、その後の投稿を通して高知観光への興味・関心を高めることができ、9割に対してよい意識の変化をもたらすことができました。しかも、そのうち3割は実際に観光に訪れるという大きな成果がありました。 - フォロワーの推奨意向(NPS)が高くなり、ロイヤルティが高まる
フォロワーは推奨意向の最大値の10と回答した人が最も多く、SNSの運用によって推奨意向の高いコミュニティが形成できたことがわかりました。彼らの今後10年間の訪問予測数は4.2回となり、将来の観光客増加が期待できます。
地域観光では、「繰り返し訪れたい」「積極的にオススメしたい」というファンを増やすこと、その仕組みを築くことが、本質的な資産となり、未来の力を蓄えることに繋がります。消費者とつながり、じっくりと観光意向・推奨意向の高いファンを育むため、SNSマーケティングに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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2018年に株式会社コムニコへ入社。コンテンツクリエイターとして、企業・自治体のSNS企画・運用・コンテンツ制作を行う。コムニコが持つ知見を広めるために編集経験を活かして「We Love Social」運営・編集・記事執筆などのコンテンツマーケティングを担当。一般社団法人SNSエキスパート協会認定講師としてSNSに関する安全で正しい知識の啓蒙にも努めている。