ホテル・観光業界がSNSを活用すべき理由を調査データから確認してみましょう。
SNS利用者数は年々増加し、その影響力も増しています。
総務省の調査による利用率の推移を見ると、全年代において「LINE」「X(Twitter)」「Instagram」「TikTok」の利用率が増加していることが分かります。旅行や宿泊先の検討は幅広い年代で行われるため、全年代で利用が拡大しているSNSは、ホテル・観光業界にとって重要な顧客接点となっています。
参考:令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
JTBの調査によると、旅行消費に関する情報検索の方法として「生成AIに質問」が昨年の9.7%から28.8%へと約20ポイント増加し、存在感を高めていますが、「SNSで検索」は30.7%と、依然として高い水準にあります。
実際の写真や動画、利用者の体験談や口コミを確認できるSNSは、旅行先や宿泊施設を検討する際の意思決定に大きな影響を与える情報源となっています。
日本政策投資銀行および日本交通公社の共同調査によると、次の海外旅行先として日本の人気は高く、訪日意向・再訪意向ともに上位となっています。
写真や動画で魅力を伝えられるSNSは、海外ユーザーにも情報が届きやすく、インバウンド施策との相性が高いメディアです。インバウンド需要が高まる今こそ、海外向けのSNS活用が重要になっているといえるでしょう。
参考:アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査2025年度版
次の章からは、「ホテル」「旅行会社」「自治体」「テーマパーク・レジャー施設」の4つのカテゴリに分類し、最新のSNS活用事例を解説します。
ビジネス、観光、ラグジュアリーなど、利用シーンが多岐にわたるホテル。
宿泊予約の獲得やファン化といった明確な目的に合わせ、各媒体の特性を活かした独自の導線設計やUGC活用の工夫をご紹介します。
【注目の施策】インスタントリプライ(自動DM)、UGC(ユーザー投稿)活用
ホテルの訴求ポイントをシーン別で分かりやすくまとめているリール投稿です。キーワードをコメントすることで自動DMを送信する手法を使い、ユーザーの自発的なアクションを引き出しつつ、DMでは紹介したホテルの予約サイトへの遷移を促す導線までをスムーズに構築しています。
自社に関する一般ユーザーのツイートを引用リポストで紹介する、UGC活用を上手く行っている事例です。「絶対にインキーしないホテルがある」というユーザーからのフリをユーモアを交えて拾うことで、企業としての親しみやすさを演出しつつ自社のメリットを自然にアピールできています。
【注目の施策】非言語ブランディング、キャンペーンによる認知拡大
「桜×東京雲海」の絶景を高品質な動画で発信し、国内客のみならずインバウンド層にも視覚的な憧れを喚起する投稿です。キャプションでは英語も交えつつ、動画では非言語で「日本ならではの美」や唯一無二のブランド力をうまく表現しています。
蛍のシーズンに向けて実施された、フォロー&リポスト形式のプレゼントキャンペーンです。
賞品は宿泊券(1組2名様)だけでなく、季節限定商品も抽選で10名様に当たるとしたことで、ユーザーの参加ハードルを下げることができています。
SNS上でのキャンペーン実施時には、「ATELU(アテル)」などキャンペーン効率化ツールを活用してみましょう。
>>キャンペーン効率化ツール「ATELU」の資料をダウンロードする
【注目の施策】カルーセルでの情報まとめ、保存促進設計
全国のホテルからアフタヌーンティーをテーマにしてまとめたカルーセル投稿です。最後の画像にまとめ一覧を配置し、画像とキャプションで保存を促す分かりやすい設計になっています。
【注目の施策】公式キャラクター活用、アンケート(クイズ)機能によるコミュニケーション施策
公式キャラクターとアンケート機能を掛け合わせたクイズ投稿です。ワンタップで気軽に参加できることからエンゲージメント獲得を狙えます。親しみやすいキャラクター活用を起点にユーザーとの密なコミュニケーションを生み出し、強固なファン化へと繋げる独自性の高い運用事例です。
旅のインスピレーションから具体的なプラン検討まで、ユーザーの検討フェーズが幅広い旅行会社。
タイムラインで思わず手を止めてしまう「ユーザー参加型」の仕掛けや、次の旅の参考に「保存」したくなるガイドブック風コンテンツの作り方をご紹介します。
【注目の施策】コメント・リプライ誘導、動画による没入感醸成
美しい風景画像で目を止めさせつつ、キャプションの冒頭でアクションを促しユーザー参加型にすることで、見るだけで終わらせない工夫をしている投稿です。コメント数を獲得することで、発見タブへの露出も狙えます。
観光地にまつわる「視覚クイズ」を出題するユーザー参加型のコンテンツを発信している投稿です。画像をじっくり見せることで滞在時間を伸ばしつつ、選択肢の中からリプライで回答する設計になっていて、アルゴリズム上有利な指標を自然におさえながら、フォロワーとの親密度を高めているのが特徴です。
TikTokならではの全画面映像と、テンポの良い音楽・最小限のナレーションを掛け合わせ、圧倒的な没入感を生み出している投稿事例です。ユーザーを世界観に引き込んで滞在時間を伸ばし、「いつか行きたい」という動機から自然な保存アクションへと導いています。
【注目の施策】UGCを活用したガイドブック風投稿、ターゲット・テーマの絞り込み
雑誌の表紙のようにキャッチーな1枚目の画像が特徴的なカルーセル投稿です。美しい写真とこだわりの文字入れでユーザーの視線を惹きつけたあと、2枚目以降では一般ユーザーの写真(UGC)を活用して各スポットをガイドブック風に紹介しています。最初の視覚的なインパクトでユーザーを惹き込み、次の旅の参考として自然に保存を促す設計になっています。
「名古屋から車で行ける温泉」のように具体的なターゲットとテーマを絞り、観光地をまとめて紹介している投稿です。4枚の魅力的な写真とそれぞれの訴求ポイントをセットにして「ミニガイドブック」のように見せることで、週末のお出かけ先を探しているユーザーの保存を促す設計になっています。地域の魅力を広く発信し、観光誘致や関係人口の拡大を目指す自治体。
行政特有の堅苦しさを払拭し、エンタメ性の高いクリエイターコラボや、ターゲットの深い共感を呼ぶエモーショナルな発信手法をご紹介します。
【注目の施策】クリエイターコラボ、方言(ローカル要素)を交えた親しみやすさの演出
クリエイターとコラボしているリール投稿の好事例です。インパクトのあるタイトルや映像と、ユーザー目線のキャッチーな企画で認知を広げつつ、キャプションにはアクセスや予約方法を明記。自治体の施策をエンタメとして届けつつ、たくさんのいいねやコメント獲得に成功しています。
土佐弁(方言)をテキストにふんだんに取り入れていて、地元民のような親しみやすさを全面に押し出している投稿です。あえて公式感を崩し温かみのあるキャラクターを確立することで、ユーザーとの心理的距離をグッと縮めているのが特徴です。【注目の施策】体験フォーカス、エモーショナルライティングによる共感獲得
美しい絶景だけでなく体験にフォーカスしたリール動画で大きな反響を獲得しています。表紙に、五感を刺激するコピーを大きく配置してユーザーの興味を引きつつ、キャプションには体験料金や予約方法などの実用的な情報を明記。たくさんのいいねやコメント獲得に成功しています。
地元食材をハート型に並べたインパクトある画像とともに、新年度に地元を離れる人へ向けたエモーショナルなメッセージを発信した投稿です。Instagramの洗練された見せ方とはあえて変え、X特有のユーザーとの距離感が近い親しみやすい口調や絵文字を活用することで、ターゲットの深い共感を引き出している好事例です。
現地での「体験価値」をいかにリアルに伝え、来場へと結びつけるかが鍵となるテーマパークやレジャー施設。
非日常のワクワク感を可視化する縦型動画の構成や、ファンとの強固な絆をつくる独自のコミュニケーション術をご紹介します。
【注目の施策】シーン訴求、AI音声・トレンド音楽の活用
色彩豊かでトレンド感のある美しい写真を用いたカルーセル投稿です。風景だけでなく人物を画角に入れることで、ユーザーがイメージしやすいシーン訴求を行っているのが特徴です。キャプションでは写真撮影の楽しみ方やコスプレ用の更衣室の案内を明記し、テーマパークならではの体験価値を提示して実際の来場意欲へと結びつけています。
開催中のイベントに合わせたポップな音楽とナレーション(AI音声)を活用し、冒頭1秒でユーザーの心を掴む動画の好事例です。前半でロケ映像を用いてイベントの熱量をリアルに伝えたあと、後半では食事や同時開催のワイン祭りをテンポ良く紹介。最後は「ハウステンボスならではの景色を眺めながらの食事シーン」で締めくくる完璧な構成で、ユーザーの「行ってみたい!」という感情を最大化させ、実際の来場意欲へと結びつけています。
【注目の施策】ユーモアを交えた会話型投稿
お客様とスタッフの実際の会話をユーモラスに切り取った投稿です。一見、公式らしからぬ言葉選びで笑いを誘いつつも、実は「入場券(チケット売場)を買うこと自体が最大の応援(課金)になっている」という施設側の本音と感謝をお茶目に伝えています。ファンとの強固な絆を築きながらも、いやらしさを出さずに現地への来場を促すという、マーケティング的にも非常に計算された高度な投稿です。
TikTokでは、テンポの良い音楽とナレーションに合わせて、開館前の様子を公開しています。「裏側見れるのいいですね」「なかなか見ることができない動物の生態を教えてくれてありがとうございます」などユーザーからも好意的なコメントが多く寄せられています。
【注目の施策】ループ再生を狙った動画演出、問いかけによるコメント欄活性化
人気キャラクターたちが館内を全力で追いかけっこする、コミカルで愛らしいリール動画です。思わず微笑ましいツッコミを入れたくなるような演出で動画のループ再生を狙いつつ、コメントでは「おすすめの寒さ対策」を問いかけてコメント欄の活性化を促しています。キャラクターの求心力だけに頼らず、エンゲージメントを高める工夫をしているのが特徴です。
ホテル・観光業界のSNS運用において、ユーザーの目を引く美しい写真や動画といったビジュアル訴求は今も重要です。
ただ、現在の成功事例に共通しているのは、そこからさらに一歩踏み込んで、ユーザーに「コメント」「クイズへの回答」「保存」などのアクションを促す設計を組み込んでいる点です。
魅力的なビジュアルで「行ってみたい」という憧れを喚起しつつ、ユーザーのアクション(エンゲージメント)を原動力にすることで、各SNSのアルゴリズムに評価され、さらなる潜在層へレコメンド(発見タブやおすすめ表示)される好循環が生まれやすくなります。
参考記事:【最新】Instagramのアルゴリズム解説
参考記事:【最新】X(Twitter)のアルゴリズム解説
アカウントを開設したばかりの時期は、広告やプレゼントキャンペーンで認知を広げることも有効です。
高知県観光公式X(Twitter)、Instagramアカウントで実施したアンケートによると、プレゼントキャンペーンをきっかけにフォローしたユーザーが多く、アカウントフォロー後に有名観光地以外の情報(通常投稿)も継続して見ていく中で、高知への観光意欲を高めていったことがわかりました。
実際にフォロワーの33%が観光で訪れたと回答しており、観光平均消費額から推測した経済効果は約6.5億円*という結果が出ています。*2019年7月上旬~2020年2月上旬(調査時点)の約半年間の実績
参考記事:フォロワーの3割が観光へ訪れた!推定経済効果6.5億円*高知県観光のSNS運用成果
ホテル・観光業界におけるSNS運用は、ユーザーの目を引く美しいビジュアルでのアプローチに加え、「保存やコメントなどのアクションを引き出す投稿設計」と、「業界・媒体ごとの特性に合わせた使い分け」が成果を左右する鍵となります。戦略的なSNS発信とUGC(口コミ)を掛け合わせ、比較検討の際に「選ばれる理由」を強固にしていきましょう。
しかし、X、Instagram、TikTokといった複数媒体を連動させ、アルゴリズムの動向を追いながら運用を続けるには、専門的な知見や相応のリソースが必要です。「社内に運用のノウハウがない」「日々の業務に追われて人員を割けない」といった課題をお持ちの企業様も多いのではないでしょうか。
コムニコでは、ホテル・観光業界をはじめ、3,000件以上のSNS運用支援実績(2026年3月末時点)があります。
戦略的なアカウントの初期構築から、日々の運用支援、SNS広告の運用、社内向けガイドラインの策定やセミナーまで、ソーシャルメディアに関するお悩みを総合的に解決します。どうぞお気軽にお問い合わせください。