気象庁が5月20日に発表したところによると、今年6〜8月の気温は、地球温暖化の影響などで全国的に平年より高くなる確率が高いとされており、記録的猛暑になる可能性もあるでしょう。
また、近年は残暑が10月まで続く傾向もあります。言うなれば、1年のうち約半分が夏。マーケティング施策としても、夏が長期化していることを前提とした計画や企画が重要になります。
参考:https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?term=P3M
日経クロストレンドの「2025年消費&マーケ大予測」では、日用品や食品、アパレルなど季節性の高い商品を展開する業界において、昨今の異常気象に対応したマーケティングを展開する「異常気象マーケティング」の重要性が語られています。実際に、記録的な猛暑や残暑となった2023年と24年は、異常気象に対応したマーケティング展開の有無が業績に影響を与えました。
異常気象に対応したマーケティングとは、たとえば、冷感アイテムやひんやりメニューなど、夏向けの商材の販促を前倒し、かつ長期にわたって展開したり、暑さによって“屋内志向”が強まることから、屋内で楽しめる施策や商材を展開したりというものです。
猛暑や残暑によって消費や行動の動機が変化するため、「気温×行動心理」を改めて考え、それに合わせたマーケティング施策の打ち出しが必要です。
マーケターの肌感としても、暑さを意識したマーケティング展開が重要だと考え始めている人は多いのではないでしょうか。SNSにおいても、消費者心理を掴むポイントを押さえた投稿で、成果につなげましょう。
ここで紹介するポイントは3つあります。①共感 ②好感度UP ③話題化、それぞれ確認していきましょう。
多くの人の共感を呼ぶコンテンツは、エンゲージメントの向上やクチコミの誘発が期待できます。
たとえば、「暑すぎて◯◯した」「溶ける」といったように、暑いときに誰もが取ってしまう行動や思わず口にしてしまう言葉を用いた投稿は共感を生みます。SNSユーザーの共感を得ることができ、拡散にもつながる可能性があります。また、「中の人」(SNS担当者)の温度感やブランドの人格も感じられ、ブランドの親近感アップにも効果的です。
「今日は◯度超えたから◯◯のアイスを食べた」など、その日の気温に合わせた投稿を準備してみては。
SNS運用支援ツール「コムニコ マーケティングスイート」を活用すると、投稿の見栄えをチェックしながら社内確認作業を行うことができます。下書きを作成したり、各SNSで予約投稿したりといったことも可能になります。
おすすめツール:Instagram/X(Twitter)/Facebook/TikTok対応 SNS投稿管理ツール「コムニコ マーケティングスイート」
冷感アイテムやひんやりメニュー、外の暑さに関係なく楽しめる屋内施設やその活用法など、暑さ対策に効果的な商品やサービスの情報を投稿しましょう。また、涼しげな料理の画像とともにひんやりレシピを投稿するというのも、ユーザーの関心を引くのに効果的です。
「自社の商品やサービスには特に暑さ対策になるようなものがない」という場合は、暑さ対策の豆知識などを紹介しつつ、そこに自社の商品やサービスを関連付けるといった形で、好感度と売り上げの向上を狙いましょう。
何らかの形で「生活の困りごと」と商品をつなぐことで、コンバージョンにつながる導線になります。
静止画や動画を用いて視覚的に「涼しさ」を伝えると、より投稿の効果が高まりそうです。ビジュアルには青や白を用いたり、透明感や透け感を意識したりすると、涼しさが伝わりやすくなります。
参考記事:Instagram「リール」作成のコツ!投稿方法や活用のメリット、企業活用事例11選
TikTokやYouTubeショート、Instagramリールなどに掲載する短尺動画を作成する場合は、Metaが提供している動画作成アプリ「Edits」の活用もおすすめです。スマートフォンだけで完成度の高い動画が作成できます。
参考記事:【Instagramが開発した新アプリ】「Edits」解説|使い方・商用利用・SNS活用のコツ
動画作成ノウハウがない、広告などにも活用できる動画をプロに作成を依頼したい、という場合は、SNSマーケティングのプロフェッショナルが提供する動画制作プランの利用もご検討ください。
おすすめサービス:コムニコのショート動画制作プラン
②のような投稿を広告で配信すれば、より多くの人に注目してもらうことができます。単に広告配信を行うだけでなく、SNSキャンペーンやインフルエンサーマーケティングも組み合わせることて行うことで、話題化やCPF(Cost Per Follow/フォロワー獲得単価)の低減も同時に狙うことができるでしょう。
SNSキャンペーンは、リアルの事象とSNSを連動させることでワクワク感を演出し、注目度を上げることができます。たとえば、「◯度超えたのでRPも◯以上ほしいな。超えたらプレゼント考えます」など投稿すれば、暑さを楽しみに変換することができますし、ブランドの好感度アップにもつながるかもしれません。
また、UGC(ユーザー投稿)を生むユーザー参加型のキャンペーンは、話題化に非常に有効です。気候と商品を絡めたハッシュタグをつくり、キャンペーン内容への期待や感想、関連するエピソードなどを投稿してもらいましょう。
インフルエンサーによる投稿も、インプレッションの獲得や話題化に有効です。インフルエンサーを選定する際は、自社の商品やサービスと親和性があるか、フォロワーの属性がターゲットと合っているかといった点をしっかり検討し、適切な人選を行うことで、高い効果につなげましょう。
インフルエンサーマーケティングを行う場合は、景品表示法で禁止されているステルスマーケティング(ステマ)に注意してください。ステマについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
参考記事:ステルスマーケティング(ステマ)規制とは?インフルエンサー案件は要注意!
SNSキャンペーンの専用ツールを活用すると、成果の見える化や、工数の削減ができます。ツールですばやくPDCAを回しながら多くのキャンペーンを打ち、フォロワーとの関係構築に役立てましょう。
キャンペーンでは、「#猛暑日」「#夏バテ注意」など、暑い時期に用いられることの多いハッシュタグや投げかけコピーを活用することで、共感やフォロワー以外の閲覧を誘導できます。
おすすめツール:Instagram/X(Twitter)/TikTokキャンペーンツール「ATELU(アテル)」
おすすめツール:Instagram投稿コメントからDMでキャンペーンを含む自動コミュニケーションできるツール「autou(オウトウ)」
暑い時期、共感×好感度UP×話題化に成功した投稿事例をご紹介します。どれか一要素ではなく、複数の要素を組み合わせながら、自社ブランドや商品を紹介していることに注目してみましょう。
「暑いからカップヌードルが売れない」といって共感と憐憫を誘いつつ、その中でも夏に食べたいと言われている商品として、シーフード味を訴求しています。動画でも、とにかく暑そうな描写が正直で面白く、共感を呼びます。使用しているキャラクターや楽曲は、ゆこぴさんの楽曲『強風オールバック』をもとにしたもの。人気のあるコンテンツと暑さを掛け合わせることで、多くの反響の獲得にも成功しています。
カップヌードルは、暑い夏には思い出される機会すら少ない商品かもしれませんが、SNSで接点を創出することで、想起の機会の増加につなげています。
絵はがきのようなイメージで、ゲームに登場するキャラクターのイラストとともに暑中見舞いの投稿を行っています。イラストには、青や白がふんだんに使われ、爽やかさが感じられます。また、絵柄のタッチやテキストは優しい雰囲気で、暑くてイライラしがちな人の心を癒すようです。
夏といえばホラーも旬のコンテンツのひとつ。チーバくんを暗がりで下から照らした写真や不穏な雰囲気の漂うテキストで恐怖を演出しています。実際はそれほど怖くありませんが、涼を感じてもらいたいという思いが感じられ、好感度が上がります。
鋳物の工場で働く従業員のために行っている暑さ対策について投稿しています。大量のアイスを冷凍庫に補充する動画は圧巻です。アイスの支給だけでなく、いろいろな暑さ対策を行っていることが書かれており、企業として従業員を大切にしている様子が伝わって、好感が持てます。採用にもプラスになりそうな投稿です。
大阪にある海遊館で提供している「ジンベイソフト」を紹介しています。見た目も爽やかかつおしゃれで、夏の気分を上げてくれます。使用している画像は、一般のInstagramユーザーが投稿していたもので、ユーザー投稿をうまく引用した事例です。キャプションでは、『夏らしくて爽やか✨️と思った方は「🦈」のスタンプで教えてください🏄』と呼びかけ、ユーザーとのコミュニケーションも図っています。
8月下旬に、「残暑をかき氷で涼みませんか。」と、まだまだ続く暑さを見越した投稿を行っています。動画は素朴な雰囲気で、日本で伝統を育ててきたとらやのイメージにぴったり。大きな氷やかき氷をつくる過程を見ていると、これをおいしく食べて涼みたいという気持ちが沸き上がってきます。
暑い夏の外出には欠かせないハンディファンを紹介しています。商品のカラーバリエーションがオーロラカラーであることに掛けて、画像の質感もオーロラ風味にしています。写真としては他にあまり見られない色合いで、とても目を引きます。
東京の気温が35度を超えたことをきっかけに、猛暑対策に使えるグッズのセットをプレゼントするキャンペーンを展開しました。気温35度と聞けば暑くて嫌だなと感じる人が多いと思いますが、通常であればマイナスに感じるニュースをプラスに捉えられるキャンペーンで、ブランドの好感度リフトにも効果的です。
暑い夏こそアイスを食べてほしいという訴求で、5日間にわたってデジタルギフト券が当たるキャンペーンを展開しました。金券を賞品にすると参加者は増えやすいものの、懸賞目的の人も集まってきやすいという懸念がありますが、自社の店舗のみで使える金券であれば、来店の増加も狙えて一石二鳥。キャンペーン期間中は毎日参加できるとしたことで、ユーザーがサーティワンを想起する機会を毎日つくり、ギフト券が当たらなくても「今日も暑いからサーティワンが食べたい」という気持ちを盛り上げています。
「暑いからお風呂に浸かりたくない」と考えがちな夏ですが、冷房で身体が冷えやすい季節でもあるため、「暑い夏こそ逆にフロ」という逆張りの訴求で、需要を生み出すことを狙っています。応募はフォロー&リポストのみでも可能ですが、「夏のオフロを楽しむアイデアをリプライする当選確率アップ」としてユーザーにもアイデアを寄せてもらい、そのアイデア見た人にも「夏のお風呂もいいかも」と思ってもらえるといった、さらなる需要を生み出す仕組みにしています。
汗や皮脂が出やすい夏のメイク崩れに悩んでいる人に向けて、くずれ防止に強い商品の訴求をキャンペーンで行っています。画像で、商品の強みについてもしっかり伝えており、商品理解を深める機会も創出しています。また、リプライではユーザーのメイク崩れの悩みを募集することで、次のキャンペーンアイデアや商品開発アイデアにつながるヒントも得ています。
X(Twitter)やInstagramでSNSキャンペーンを実施する際は、「ATELU」などのキャンペーン支援ツールを活用して、作業の効率化と成果の向上の両方を叶えましょう。「ATELU」では、インスタントウィンを含むX(Twitter)キャンペーンやInstagramキャンペーン、TikTokキャンペーンに対応しています。
おすすめツール:Instagram/X(Twitter)/TikTokキャンペーンツール「ATELU(アテル)」
暑さ対策レシピキャンペーンとして、フォロー&いいねの簡単な応募条件で、ブランドのマスコットキャラクターのぬいぐるみをプレゼントしました。それに加えて、自社商品であるゼスプリキウイを使ってつくった暑さ対策キウイレシピの写真の投稿も促し、キウイの消費を促しています。また、ブランド側からも暑さ対策キウイレシピをひとつ提案し、その写真による訴求も行っています。
Instagramでユーザーのコメントを募集する際は、Instagramチャットボットツール「autou」の活用がおすすめです。「autou」は、コメントやメッセージに含まれるキーワードに応じて、DMによる自動返信を行います。これによって、ユーザーとのコミュニケーションを図ったり、販売促進に役立てたりすることができます。
おすすめツール:Instagram投稿コメントからDMでキャンペーンを含む自動コミュニケーションできるツール「autou(オウトウ)」
タイガー魔法瓶&アデリアレトロのコラボで、昭和レトロなデザインのステンレスポットとグラスのセットのプレゼントキャンペーンを実施しました。ステンレスポットは、保温はもちろん冷たい飲み物の保冷にも使えるもので、グラスも冷たい飲み物を注ぐとプリントの柄が変化するというユニークなもの。懐かしく、そして暑い夏が楽しくなるプレゼントの提案で、幅広い世代のユーザーの興味関心をうまく引いています。
夏の衣類は生地が薄いため、下着が透けてしまうことを不安に思う人に向けて、その対策となる商品を提案しています。キャプションでは、透け対策だけでなく汗対策にもなるという商品機能をしっかりと訴求。投稿時期も6月末と、本格的な暑さが始まる直前のタイミングで、購買行動を喚起しています。
SNSで暑さや夏に関連する投稿を行った際に、思わぬ炎上やトラブルにつながってしまわないよう、以下の注意点を確認しておきましょう。
災害級の暑さであるときや、何らかの大きな事件事故が起きたあとの投稿には注意が必要です。もしもその内容が不謹慎だと捉えられてしまった場合には炎上につながり、企業やブランドに対してマイナスイメージが拡散してしまう恐れがあります。投稿を延期するというのも、ひとつの重要な判断。もし投稿を行うのであれば、どのような視点で見ても不謹慎に捉えられないかどうかをしっかりと確認するようにしましょう。
以下の記事では、2024年に起こった炎上についてまとめてレポートしていますので、ぜひ一度目を通してみてください。
参考記事:【SNSリスク分析レポート】最新のSNS炎上を媒体別・性別・業界別・カテゴリ別に解説
参考記事:炎上を防ぐ!SNS投稿注意日・テーマ別7選
見落としてしまいがちなのは、SNSの投稿注意日です。投稿注意日とは、誰もが知る戦争関連の日や水害が起きた日など、過去に大きな事件や災害、事故などが起こった日のこと。一見何の問題もないような投稿でも、投稿日が原因で炎上してしまったケースがあります。そのためSNS投稿注意日には、プロモーション投稿を控える、あるいは投稿内容を普段以上に慎重に検討するといったことが、炎上リスクを避ける上で非常に重要です。
SNSの運用支援ツールである「コムニコ マーケティングスイート」では、投稿を行う前に投稿注意日を表示して注意を促しています。こうしたツールの導入で、できるだけ炎上リスクを低減させましょう。
投稿注意日の詳細や日付については、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:炎上を防ぐ!SNS投稿注意日・テーマ別7選
炎上やトラブルは、ユーザーによる投稿が原因となってしまう場合もあります。
特に最近は、リアルイベントや店舗で撮影された画像や動画の投稿がトラブルや炎上に発展するケースがよく見られます。それを未然に防ぐには、リアルイベントや店舗に来店したときの撮影ルールをあらかじめ定めておくことが重要です。スタッフの対応負荷を減らすためにも、そもそも店内やイベントでの撮影を許可しない、撮影していい場所を指定するといったルールを、ホームページや貼り紙などではっきりと提示するようにしましょう。
撮影ルールの整備について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
参考記事:【店舗向け】SNS時代の「撮影ルール」どう作る?事例と対応ポイントを解説
暑さを味方につけた投稿を行い、企業やブランドのSNSを盛り上げましょう。暑さに関連する投稿を成功させて効果につなげるには、以下の3点がカギとなります。
① 共感:暑さについて話題になる日に投稿を行いユーザーの共感を促す夏のSNS投稿は、「企業が届けたい情報提供」と「感情を動かすこと」を同時にもたらせる貴重なタイミングです。また、継続的な発信を行いつつ、成果をブーストさせる施策を実施するチャンスでもあります。
暑さをネガティブに捉えるのではなく、“熱中”を生む企画設計で、気温も、成果も、アツくしていきましょう🔥
そのために、まずはこの記事で紹介した成功事例を参考に、自社のターゲット顧客が共感するような「暑さあるある」をさっそくひとつ考えてみましょう。
もし、SNSのインサイト分析(ソーシャルリスニング)を行いたい場合や、ノウハウやリソースが不足していて運用企画をサポートしてほしいといった場合は、株式会社コムニコにご相談ください。
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