Pinterestは、画像や動画を検索し、そこから生活のあらゆるシーンのアイデアを発見できる「ビジュアル探索型」のSNSプラットフォームです。
ユーザーは、WebサイトやSNS上で公開されている画像やアップロードした画像を自らのボードにまとめて共有することができます。イメージとしては、自分の好きなものをまとめたコラージュブックのようなものが近いかもしれません。
つまり、気になる画像や動画を「ピン(保存)」して、自分だけのアイデア集(=ボード)を作成できる場所がPinterestというわけです。
こうしてつくられた様々なボードから、グルメやファッション、インテリア、ビューティなど、いろいろなジャンルについてのアイデアが見つかるようになっています。
2010年3月に米国でスタートし、現在は世界中で利用されてるPinterest。2021年6月からはPinterestのユーザーに広告配信ができる「Pinterest広告」をリリースし、企業からの注目度も高まっています。
どちらも主に画像を共有するプラットフォームですが、PinterestとInstagramはどう違うのでしょうか?
過去の出来事を共有するInstagramと異なり、Pinterestは「今後の計画を立てる」といった、「これからの未来」に役立つアイデアを見つけることに特化しています。
使い分けのヒントとなるよう、Instagramとの違いを簡単にまとめてみました。
項目 | ||
主な利用目的 | アイデア収集・ブックマーク(インスピレーションを得たい、未来の自分へのログ) | 写真・動画の共有とコミュニケーション |
利用シーン | 何かを探したいとき(料理レシピ・DIY・ネイル・旅行など) | 日常を共有したいとき、友人や家族とつながりたいとき |
ユーザー志向 | 未来志向(欲しい・やりたい・作りたい) | 過去・現在志向(見てほしい・知ってほしい) |
拡散の仕組み | 検索と関連ピン(SEO的) | ハッシュタグとアルゴリズム(エンゲージメント重視) |
コンテンツ形式 | ピン(画像または動画+リンク) |
写真・動画(投稿・ストーリーズ・リール) |
ビジネス活用 | ECやブログとの相性が良い(流入強化に◎) | ブランド認知・コミュニティ作り・UGC促進に◎ |
アルゴリズム | 興味関心ベースで表示 | フォロー・エンゲージメント・興味ベース |
Pinterestは画像特化型の検索エンジンのような使い方をされることがよくあります。しかし、いくつかの理由からSNSの特徴を持ち合わせた「ハイブリッド型SNS」といえそうです。
InstagramやX(Twitter)のような「コミュニケーション主導」ではなく、Pinterestは「アイデア共有・インスピレーション収集」を目的としたユーザーが多いのが特徴です。「SNS × 検索エンジン」「SNS × 画像ブックマークサービス」として、新しい情報の発見や情報共有・拡散性があるので、PinterestはSNSのひとつと考えてよいでしょう。
そのため、SNS黎明期から企業のSNS運用支援を行ってきた株式会社コムニコでもサポートしています。
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Pinterestの月間アクティブユーザー数(MAU)は、以下のようになっています。
世界のユーザーの42%がZ世代。利用目的は「商品やブランドの情報を探すため」となっており、他の年代よりも多く活用されています。
国内でのMAU:870万人(2020年12月時点)
日本のZ世代とミレニアル世代のPinterest ユーザーのうち、世帯収入が850万円を超えるユーザーは16%となっています。これは他媒体平均よりも1.2倍高い割合です。
注目したいのは、96%がブランドを指名しない「非指名検索」を行っていること。新しい商品・サービスを求めるユーザーはブランドに知名度を気にしておらず、新しいブランドやこれから認知拡大を目指したい企業にとって、Pinterestが活用しやすい媒体となっていることがわかります。
画像検索に特化しているため、ユーザー同士のコミュニケーションよりも、検索した画像からアイデアやインスピレーションを得る場として活用されています。
ホームフィードには、そのユーザーの興味に基づいた画像がランダムで表示され、一つの画像を閲覧すると、その画像に類似した画像がさらに表示されていく仕組みです。そのため、Google画像検索やInstagramと比較してもアイデアが見つけやすくなっているのが特徴です。気になった情報はまとめることができ、アイデア集めに向いているプラットフォームとなっています。
Pinterestは、アイデア探しや画像検索に使われるだけでなく、ビジネスにも大きな可能性を秘めたプラットフォームです。ここでは、企業やブランドがPinterestを活用することで得られるメリットを紹介します。
Pinterestでは、画像(ピン)に直接リンクを設定できるため、自社のECサイトやブログ、YouTubeなどにスムーズに誘導できます。InstagramのようにプロフィールリンクやDMに誘導する必要がなく、ユーザーが興味を持った瞬間にアクセスしてもらえる導線が魅力です。
Pinterestは「検索型SNS」のため、投稿してからも長期間にわたり閲覧され続けます。
投稿(ピン)はGoogle画像検索などにも表示されやすく、半年後・1年後でも流入が期待できるのが特徴です。
一度の投稿が長く活躍する、いわば資産型のコンテンツ運用が可能です。
Pinterestのユーザーは「(未来の情報を)探している人」が中心。
レシピ、DIY、ファッションコーデ、旅行など、何かを始めたい・買いたい・やってみたいという目的意識が強いため、コンテンツ次第で購買やサービス利用につながりやすいという傾向があります。
Pinterestは画像が主役のプラットフォームなので、ブランドの世界観や雰囲気を視覚的に訴求できるのがポイント。
文字だけでは伝えにくいコンセプトや、ライフスタイル提案型の商材とも相性が抜群です。
Pinterestでは広告出稿も可能で、検索キーワードや興味関心などをもとに、購買意欲の高い層へダイレクトにアプローチできます。特にECとの親和性が高く、適切な設定を行えば少額でも高い効果を見込める場合もあります。
Pinterestには、個人アカウントとビジネスアカウントの2種類が存在します。どちらも投稿ツールから画像や動画のシェアをできるのは同じですが、ビジネスアカウントの場合は、広告を管理できる「アドマネージャー」や分析管理ができる「インサイトとアナリティクス」、プロモーションなどの特典を受ける「クレジットとオファー」を利用することができます。どちらも無料で利用することが可能です。
ここでは、企業がビジネスアカウントを作成する方法を紹介します。
まずは、こちらからPinterestにアクセスします。もしくは PinterestのTOPページ右上の「無料登録」から登録しましょう。
企業がビジネスアカウントを作成する場合は、「無料のビジネスアカウントを作成する」から作成しましょう。
企業アカウントの場合は担当一人のメールアドレスではなく、チームで利用しているアドレスなどアクセスしやすいメールアドレスを設定しておくとよいでしょう。
Pinterestは13歳以上で使えるサービスなので、ブランドの誕生日などに設定すると利用できなくなる恐れがあります。年齢は設定しなくても問題ありませんので、設定せずに登録を進めます。
すでにアカウントを持っていて、ビジネスアカウントへ変更する場合は、「ビジネスアカウントに切り替える」から切り替えることができます。
ビジネスアカウントの場合は、社名/ブランド名をプロフィール名として設定することが可能です。また、ウェブサイトを持っている場合はここで登録します。ウェブサイトなどの情報は、ログイン画面>プロフィールを編集からいつでも変更することができます。
プロフィールの設定後、「貴社について」という設問に答えます。取り扱っている主な商材や運用目的を設定することで適切なおすすめを受け取ることが可能となります。
次に、ビジネスに合った業種を選択します。これもおすすめを受け取るためのものでいつでも変更可能です。
業種を選択した後、「Pinterestで広告掲載を検討されていますか?」というアンケートに答えて登録完了です。
Pinterestは、お気に入りのアイデアを「ピン」と呼ばれる画像ブックマークで集めていくサービスです。
ピンには画像・動画・商品などさまざまな形式があり、Pinterest内だけでなく、他のウェブサイトからも自分のアカウントに保存することができます。
しかし、企業がPinterestを活用する場合は、個人利用とは使い方が少し異なります。
たとえば、著作権の関係から、他者が作成した画像やコンテンツをむやみに集めて使うのは注意が必要です。
代わりにおすすめなのが、自社の資産を活かしたPinterestの運用です。
といった活用法が有効です。
Pinterestを通じて、ユーザーが「こんな暮らしがしたい」「こう使ってみたい」と思えるような
「アイデアのきっかけ」を提供する場として活用することが、企業利用のポイントです。
Pinterestは視覚に訴えるSNSです。特に「アイデアを探す」「比較して選びたい」といったニーズに応えるジャンルで強みを発揮します。以下では、Pinterest活用に向いている代表的な業種について解説します。
ファッションのコーディネート例、メイク方法、部屋のスタイリングなど、見た目で訴求したい商品との相性が抜群です。
Pinterestでは「春コーデ」「ミニマルインテリア」「ナチュラルメイク」など、検索ワードに沿って投稿が表示されるため、検索からの流入とブランディングを同時に叶えることができます。
Pinterestは「レシピ検索」でも活用されています。
時短料理、季節メニュー、特定食材を使ったアレンジレシピなど、ユーザーの「今知りたい」にマッチする投稿が保存・シェアされやすい傾向があります。
例えば、調味料や食材メーカーが、「使い方」としてレシピをを提案することで、商品理解と購買意欲を同時に高められそうです。
Pinterestは「未来の自分を描くためのツール」としても使われます。
結婚式の装飾・招待状・旅先の風景・おしゃれな暮らし方など、憧れや理想を具体化するコンテンツが特に好まれます。
Pinterest上で「こんな世界観が好き!」という共感を得やすいのが特徴です。提案型マーケティング活用がおすすめです。
ハウツー系やアイデア重視のジャンルもPinterest向きです。
いずれも「ためになる」「すぐ使える」投稿が保存されやすく、情報の発信源としての信頼を築くことができます。
Pinterest最大の特徴のひとつが「ピンにリンクを貼れる」こと。
ECサイトの商品画像に直接リンクを設置できるため、発見→興味→購入までをスムーズに誘導できます。
また、シーズン商品やセット提案も得意なので、バリエーション展開の多いEC業者にとってはピンの作り方次第でCV率UPも期待できます。
どの業種でも共通して言えるのは、「見た目」と「情報の有用性」をうまく組み合わせること。
Pinterestをうまく活用すれば、単なる認知拡大にとどまらず、購買・ブランドロイヤリティの向上にもつながります。
ビジネス用プロフィールでは、公開コンテンツと保存コンテンツの2種類が公開されます。
公開コンテンツ:Pinterest で作成したすべてのコンテンツ、または認証済みウェブサイトから保存したコンテンツ
保存コンテンツ:Pinterest やあなたが所有していないウェブサイトから保存した、すべてのコンテンツ
※企業アカウントの場合は、著作権などを十分考慮してピンを保存するようにします。
画像をアップロードしてコンテンツを作成し、タイトル、説明文、リンク先 URL を追加します。ユーザーのフィードで目立つよう、縦長で画質の良い画像が推奨されています。Pinterest推奨のアスペクト比は 2:3 (例:1000px × 1500px)となっています。
ウェブサイトのRSSフィードをPinterestのビジネスアカウントにリンクすると、ウェブサイトのコンテンツから自動的にピンを作成します。
参考:https://help.pinterest.com/ja/business/article/auto-publish-pins-from-your-rss-feed
アイデアピンとは、複数の動画、画像、リストやカスタムテキストをまとめたピンのこと。他のピンと同じく、公開したアイデアピンはあなたのボードに保存されます。アイデアピンでは次のようなものをまとめることができます。
参考:https://help.pinterest.com/ja/article/create-idea-pins
Pinterestのビジネス用プロフィールにウェブサイトを追加すると、あなたのウェブサイトから保存されたピンがプロフィールに表示されます。
Pinterestには、画像ピンや動画ピンのほか、アイデアピンやリッチピンなどさまざまなピンを作成することが可能です。
たとえば、料理名、分量、調理時間、レシピの評価、食べ物の好み、材料の一覧を表示できる「レシピリッチピン」や最新の価格、在庫状況、商品の詳細が確認できる「プロダクトリッチピン」などがあります。
参考:https://help.pinterest.com/ja/business/topics/create-content
保存したピンは、ボードの上でまとめて整理することができます。ボードは、ピンを保存するとき、またはプロフィールから作成できます。
ピンを保存するときにボードを作成する場合は、ピンをクリックして拡大表示したあと、「保存」ボタンの左隣にあるプルダウンボタンをクリックします。出てきたメニューから、「新規ボードを作成する」を選択します。
ボードの名前を設定して、「作成」を押下します。どのようなピンを集めたのかが分かる名前にするといいでしょう。
プロフィールから作成する場合は、ホーム画面の右上にあるアイコンをクリックして、プロフィールを表示し、ページ右側にある「+」をクリックして、「ボード」を選択します。
そして、作成したいボードの名前を設定し、「作成」を押下します。そこに、気に入ったピンを追加していきましょう。
Pinterestで広告を出稿すると、ユーザーの属性や興味関心に合わせて、ホームフィードや関連ピン、検索結果などに広告が表示されます。そこから、ユーザーをピンの詳細やLPに遷移させることができます。また、広告フォーマットは5種類から選ぶことができます。
ビジネス利用の場合は、商品に焦点を当て、商品やサービスがピンの主役になるよう工夫しましょう。クリエイティブの作成のポイントは以下です。
Pinterestで扱うコンテンツの推奨サイズも参考にしてください。(2025年4月情報)
画像ピン |
推奨画像サイズ |
1,000px × 1,500px |
推奨アスペクト比 | 2:3(縦長画像) | |
ファイルタイプ(拡張子) | PNGまたはJPEG | |
最大ファイルサイズ | デスクトップ 20MB アプリ内 32MB |
|
動画ピン | アスペクト比 |
スダンダード動画の要件: 1:2(幅:高さ)以下、1.91 : 1(幅:高さ)以上 ワイド動画の要件:正方形(1:1)またはワイドスクリーン(16:9) |
動画の長さ | 4 秒~ 15 分 動画アドの推奨の長さ:6~15 秒 |
|
ファイルタイプ(拡張子) | .mp4、.mov または .m4v | |
エンコード | H.264 または H.265 | |
最大ファイルサイズ | 最大2GB |
文字数制限については、タイトルが全角100文字まで(40文字までが表示)、説明文が500文字までとなっています。
Pinterest以外のSNS画像サイズも記事にまとめています。合わせて確認しておきましょう。
参考記事:SNS投稿に最適な画像サイズ一覧!Instagram・X(Twitter)・TikTok・LINEなど
ここからは、Pinterestに公式アカウントを開設し、運用している企業の事例をいくつかご紹介します。
https://www.pinterest.jp/hisjapan/
旅行会社であるHISの公式アカウントです。オウンドメディアのコンテンツから、旅先の風景やイベントの様子、いろいろな国の料理などの画像をピンとして掲載しています。画像のURLをクリックすると、その画像が入った記事に遷移することができます。
この景色を見たい、この料理を食べたいという視覚情報からも興味を持つことが多い旅行は、画像からインスピレーションを得るPinterestとの親和性が高いと言えます。
https://www.pinterest.jp/yamajitsu/
インテリア・雑貨・キッチン用品などの商品を販売する山崎実業。主に動画を使い、商品やその使い方を簡単に紹介しています。便利でありながら、生活の中に自然に溶け込むようなおしゃれ雑貨を探している人の目に留まりそうなピンです。
https://www.pinterest.jp/sonymusic/
様々なアーティストを抱える音楽レーベルのSony Music。Pinterestでは、様々なアーティストのグラフィックを公開しています。音楽だけでなく、デザインやイメージのアイデアのインスピレーションにも役立ちそうです。
https://www.pinterest.jp/sanrio/
商品の紹介やイラストの掲載、Instagramに投稿したコンテンツの紹介などに利用しています。ビジュアルで訴求するPinterestは、サンリオのようなキャラクター事業とも親和性が高いといえます。
https://www.pinterest.jp/gapjpn/
アパレルブランドのGapは、商品を紹介しています。Gapが作成しているボードはコレクションごとに分類されていて、カタログのように見られるのもユニークです。
https://www.pinterest.jp/lecreusetjapon/
キッチン用品などを扱うル・クルーゼは、商品をおしゃれに並べて紹介したり、商品を使ったレシピを紹介したりする形で活用しています。メニューを探しているときや、食卓をおしゃれにするアイデアを探しているときなどに興味を引かれるピンです。
https://www.pinterest.jp/camerakitamura/
商品の紹介やオウンドメディアの記事から抜粋した画像の掲載、フォトコンテストの応募作品の紹介など、幅広い活用を行っています。画像がメインのPinterestとカメラは相性が良いのがわかります。
他業界の事例も確認したいという方は、「Pinterest 業界別 企業アカウント事例集」をぜひダウンロードしてください。
Pinterestは、他のSNSとは一線を画す「未来志向型」のプラットフォームです。
ユーザーは商品やサービスを「今すぐ買う」のではなく、「いつかやりたい」「理想の暮らしを実現したい」という前向きな気持ちでアイデアを探しています。
📌 商品の使い方を提案したいECサイト
📌 世界観をビジュアルで届けたいブランド
📌 自社メディアの認知と流入を強化したい企業
このような場合、ストック型の集客チャネルとしてPinterestは非常に有効です。
Pinterestの特性を活かせば、広告に頼らずとも、検索や保存を通じて「ずっと見つけてもらえる」導線を育てることができそうだ、とお分かりいただけたのではないでしょうか。
とはいえ、「Pinterestに興味はあるけど、どう始めればいいかわからない」という方も多いかもしれません。
We Love Socialを運営する株式会社コムニコでは、SNS黎明期である2008年から企業のSNS運用をサポートしてきました。Pinterestを含むSNSの初期構築・運用方針策定・運用代行・分析などを支援しています。
Pinterestの活用で、「見つけてもらえるブランドづくり」を一緒に実現しませんか?