まずは、医薬品業界がSNSを活用すべき理由を確認してみましょう。
一般消費者にとってなじみの薄い製薬会社でも、SNSを通じて親しみやすさや誠実な姿勢を発信することで、企業やブランドへの信頼感を高めることができます。
自社のサイトやオウンドメディアに記事を掲載するのとは違い、SNSではより幅広い層に情報を届けられます。
そのため、特定の疾患に関する正しい知識や、セルフケアの情報を発信することで、受診を検討している潜在患者やその家族に気づきを与えられます。
SNS上でソーシャルリスニングやファンサーベイ(アンケート調査)を実施することで、患者や消費者が日々の生活で抱えている悩みや、製品への率直な感想を把握できます。収集した声は、製品開発やマーケティング施策の改善に活かせます。
なお、メディカルマーケティングマガジンが行った、製薬会社20社を対象にした調査によると、20社全てがSNSで情報を発信しています。
現在多くの企業が活用するSNSですが、製薬会社にとっても、重要なコミュニケーション施策の一つとなってきていることが分かります。
次の章からは、「OTC医薬品(一般用医薬品)の認知拡大・ファン育成」「疾患啓発・健康情報の発信」「企業ブランディング・サステナビリティの発信」「採用ブランディング」といった4つの運用目的に分けて、医薬品業界・製薬会社の最新のSNS活用事例を紹介します。自社の目的に近い事例を参考にしながら、運用のヒントを見つけてみてください。
OTC医薬品(一般用医薬品)を生活者にアピールする上では、いかに宣伝色を消し、ユーザーの共感を引き出すかが鍵となります。押し付けがましくならず、上手にアクションを促している事例を紹介します。
Xの「カンバセーションボタン」を活用し、ユーザーとのコミュニケーションを図った事例です。
「元気な人」にはリポストを促し、「かぜ気味の人」には画像下部の選択ボタン(カンバセーションボタン)からの投稿を促しています。ターゲットを限定せず、誰もがアクションを起こせるように設計することで、拡散力を最大化しています。
エイプリルフールに絡めて、空中を漂う花粉が見える「アレジオンARメガネ」を開発しました、と投稿した事例です。
花粉が漂う様子を「黄色い地獄」とユニークに表現し、ユーザーの表現を掻き立てています。リプライや引用ポストにつながりやすい、絶妙な余白設計がポイントです。
「商品名は有名だけど企業名は認知されていない」という弱点を逆手に取ったキャンペーンの事例です。
「製品に関するエピソードも添えていただくと当選率がUP」と記載することで、熱量のある体験談を引き出し、スレッドが良質な口コミ一覧となり、製品への認知につながりました。
製品(キングスライム型の目薬)がベルトコンベアを流れていく、工場の製造ライン動画を投稿した事例です。
視覚的な心地よさで視聴維持率を高めるほか、「早めに捕まえてあげてくださいね」とゲームの世界観に合わせたキャプションで、広告感を消し去り、購買行動をゲームのような楽しい体験に昇華しています。
製品名を直接出さなくても、特定の疾患に関する知識や、健康に役立つ情報を届けることで、企業やブランドへの信頼感を醸成できます。疾患や健康についての情報を、分かりやすく効果的に届けている事例を紹介します。
「かぜ薬っていつまで飲めばいいの?」という多くの人が抱く悩みをテーマにしたリール動画です。
ユーザーにとって実用性が高いため、「あとで見返そう」と保存のアクションに繋がりやすい事例です。LINEのような吹き出しを使ったUIで、次々と展開するテキストを追うことで、自然と動画を最後まで見てしまいます。
「がん」という深刻なテーマを、感情移入しやすいマンガを活用して啓発している事例です。
「4月9日は子宮の日」というモーメントと、「子宮頸がんは20〜30代女性がかかるがんで1位」という具体的なデータを掛け合わせ、Instagramのメインユーザーである若年女性に当事者意識を抱かせています。
企業としての姿勢や裏側、ESGに関する取り組みを発信することで、ステークホルダーへ効果的にアピールすることができます。SNS投稿を通じて企業価値の向上につなげている事例を紹介します。
「6月14日はアルツハイマー博士の誕生日」と、自社の事業に直結するモーメントをフックにした事例です。
単に「新薬を開発しています」とPRするのではなく、歴史的な背景や先人への敬意を入口にしているので、社会課題解決に挑む企業の姿勢をエモーショナルに伝えることに成功しています。
宣伝用の綺麗な画像ではなく、担当者が手作りした「キャラ弁」の画像を投稿した事例です。
企業アカウント特有の宣伝色を消し、担当者が頑張って作ったという温かみを出すことで好意的な反応を引き出しています。
「5月20日は森林の日」とモーメントに合わせて、自社の環境保全活動について発信した事例です。
「のべ約800人が参加」「フクロウの生息を確認」など具体的なファクトと、実際の作業風景を見せることで、取り組みに対する透明性と信頼感を高めています。
新卒での就活生や転職希望者に向けて、SNSを通じた自社ブランディングを行う企業も増えています。働く環境の魅力を効果的に伝えている事例を紹介します。
若手社員を起用したリール動画で、学生が知りたい「等身大のリアルな声」を発信した事例です。
学生にとっては具体的な業務内容を想像しにくい「MR(医薬情報担当者)」という仕事を動画で見せることで、働く現場の空気感をわかりやすく伝えています。
Instagram投稿を「魅力的な表紙」として割り切り、インタビュー本文は、長文を読むのに適した外部のWebサイトに掲載しています。
ストーリーズハイライトを活用してWebサイトに誘導するとともに、複数のコンテンツを回遊させる仕組みを作っています。
社員のパーソナリティを引き出すインタビュー記事を、noteを使って発信している事例です。
noteを活用することで、他のSNSのように情報が流れてしまわず、過去の良質な記事が検索経由で読まれ続けるため、長期的に採用活動へ貢献できます。
SNS運用を始める前に、発信して良い内容や、誰が最終チェックを行うのかなどを明確にしておきましょう。投稿内容をチェックするにあたってのマニュアルやガイドラインも整備し、属人化を防ぐことも大切です。
万一炎上してしまった際や、予期せぬコメントが寄せられた際にどう対応するかのエスカレーションフローも、忘れずに準備しておきましょう。
投稿内容の事前チェックや承認フローの設定、ユーザーからのコメント管理には、SNS投稿管理ツールを導入すると、炎上リスクを大幅に軽減できて安心です。
X(Twitter)・Instagram・TikTok・Facebookに対応した「コムニコ マーケティングスイート」なら、投稿予約・管理から分析、コメント管理までを一元化できます。承認フロー設定やメモ機能も備わっているため、ブランドセーフティを重視する企業の方にも安心してお使いいただけます。
医薬品のプロモーションにおいては、「医療用医薬品の一般向け広告の禁止」など、厳格な法規制が存在します。
効能効果の表現を逸脱しないためのライティングの徹底や、ユーザーからの個別の相談(リプライやDM)への対応方針をあらかじめ定めておくことが不可欠です。
参考記事:インフルエンサーの投稿も注意!SNSで知っておきたい薬機法の基本と対策チェックリスト
医薬品業界のSNS運用には、ターゲットに寄り添った丁寧なコミュニケーションが求められます。まずはSNS運用の目的を明確にし、ルールを守りながら、自社らしい発信でユーザーとの信頼関係を築いていきましょう。
コムニコには、医薬品業界をはじめ、3,000件以上のSNS運用支援実績(2026年3月末時点)があります。
戦略的なアカウントの初期構築から、日々の運用支援、SNS広告の運用、社内向けガイドラインの策定やセミナーまで、ソーシャルメディアに関するお悩みを総合的に解決します。
SNS運用が気になる…という方や、SNSに関するお悩みを持つ方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。